164-衆-予算委員会第四分科会-2号 平成18年03月01日
平成十八年三月一日(水曜日)
午前九時開議
本日の会議に付した案件
平成十八年度一般会計予算
平成十八年度特別会計予算
平成十八年度政府関係機関予算
(文部科学省所管)
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○笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。
小泉内閣の五年、規制緩和政策が全面的に進められる中で、雇用労働分野で非正規雇用が増大しております。フリーターと呼ばれるアルバイト、そしてパート、派遣、請負、契約社員などが二十四歳以下では二人に一人、こういう状況になっている。
実は、昨日朝、NHKの「生活ほっとモーニング」という番組で「年収二百万円で暮らす 広がる格差社会」という特集がありまして、その数が一千万人以上になっていると。特に、青年のフリーターの低賃金、不安定な雇用関係で、食べるのもやっと、そして、ホームレスと紙一重ということで結婚もできない、こういう、文字どおり青年が使い捨てにされるという深刻な実態と、それに立ち向かうということで、個人加盟の青年ユニオンの組合活動を紹介しておりました。視聴者は、青年の雇用問題ということで、その解決、改善は日本社会にとって喫緊の政治課題であると感じたというふうに私は思うんです。
そこでまず文部科学省に伺いたいんですけれども、私、この首都圏青年ユニオンというところの組合を訪問しました。そこでの話なんですが、フリーターの青年から持ち込まれる相談の中で、慢性化しているサービス残業や、あるいは有給休暇が一日もとれない、労働基準法に幾つも違反している職場の実態が明らかになってまいります。そこで、どうしてこんな無法なことになっているのかと私が伺いますと、憲法や基準法で労働者が守られていることとか権利があるということについて若い人たちが全く知らなかった、ほかの社員も知らないので黙っている、それで、世の中はこんなものか、自分は能力がないので仕方がない、こうも思っていたんだという話もありました。労働基準法も、学校では単語としては確かに覚えた、記憶にあるんだけれども、内容は全然知らなかったという話もありまして、そういうケースがほとんどだということでありました。
このようなことから、相談を受けた担当者から、せめて高等学校の公民の教育の中で、もう少し労働者といいますか働く者の権利について、せめてきちんとした教育をすべきじゃないかという意見を聞いてまいりました。
そこで文部科学省にお伺いしますが、高校の公民の教科書で実際にはどのようにこの労働者の権利ということについて教えられているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○銭谷政府参考人 高等学校の公民科では、中学校での学習の上に立って、基本的人権の保障や雇用と労働問題などについて学習をするわけでございます。その中で、労働基本権など労働者の権利についても指導されております。
一例を申し上げますと、例えば現代社会の教科書の例でございますが、日本国憲法において、労働三権、すなわち、労働者が団結して労働組合をつくる権利、組合が賃金その他の労働条件の改善を求めて使用者と交渉する権利、要求が通らないときにはストライキなど団体行動を行う権利、この三つの権利が労働者の基本的権利として認められているといったような記述が見られるところでございます。
○笠井分科員 学校ではそういう形で教えられるんだけれども、働くという自分の問題との関係でいうと、実感として学ぶことはなかなか難しいのかなというところがあって、その辺が大いに工夫が要るところだと思うんです。そこで私、一週間前の二月二十一日になりますが、小坂大臣の地元である長野県に伺いまして、県庁の社会部労政課に伺って話を聞いてきました。
長野県では、高校生や専門学校、短大生に対して、就職する前に知っておくべき労働関係の基礎知識を労政事務所の職員が高校に出向いていっていわば出前の講座をするということで、新社会人ワーキングセミナーという授業をやっていると。伺いますと、東京オリンピックのあった昭和三十九年、一九六四年からずっとやっているという話でありまして、なるほどと思ったんです。学校側からの要請に応じる形で、ロングホームルームの時間などを使って、ここに持ってきたんですが、大臣にお渡ししてよろしいでしょうか。
「職場で必要なルールブック」ということで六十二ページの小冊子なんですが、これを配付して一時間余り講義をするということでありました。この冒頭に「はじめに」とあるんですが、「みなさんが社会人として最低限心得ておくべきマナー、」そして、「職場での権利や義務のことが定められた労働法のうち、自分の賃金や労働時間などの労働条件で直接関係してくる労働基準法を中心とした基礎知識、」そして、「最近若者の間でも増えているパートタイム労働者や派遣社員として働くときに知っておきたいことについてまとめた」「ぜひ、このパンフレットを手元において、職場に入ってからも、時には取り出してみてください。」そして、困ったときには相談にどうぞということで、労政事務所が案内されております。
私、これはいいものができているなと思ったんです。労働法とはどういうものか、労働者とは何ですかということから、女性労働者のどのような保護をされているかという問題、セクハラの問題を含めて多面的に書かれております。
伺いますと、昨年度、平成十六年度の実績では、高等学校と技術専門学校等の合計三十七校に対して出向いていって講義をした。前年度に比べると七百二十七人多い二千七百四十五人という若い人たちに話をした。それと別に、この小冊子のみを提供ということも三十五校あって、それで五千三百六十九部が活用されているということでありました。
そこで、小坂大臣、地元の長野県でこんな生きた教育が四十年以上も前からやられているということで、今も続けられているということを御存じだったかどうか。そして、御感想があれば伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。