80-衆-社会労働委員会-9号 昭和52年04月13日
昭和五十二年四月十三日(水曜日)
午前十時三分開議
本日の会議に付した案件
労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
雇用保険等臨時特例法案(枝村要作君外五名提出、衆法第二一号)
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○川本委員 結構です。大臣、行ってください。
そこで局長さんにお聞きをしたいのです。いわゆる法第四十九条の日雇い労働者の求職者給付ですか、これの自動改定の規定であります。この自動変更規定というのは、現在、一級、二級、三級とあって先ほど最初申し上げましたように、一級、二級、三級の中で、簡単に言いますと、二級の二分の一を三級に足し、二級の二分の一を一級に足して、その比率がアンバランスになったときには自動改定をするという規定だと私は思うのです。ところが、これは労働省の専門家が、自動改定にならないということを初めから十分承知をした上でこういう法律の条項をつくっておるということで私はふんまんにたえないわけです。なぜかというと、その被保険者数について調べてみますと、現在の日雇い労働者の被保険者数は、五十年までしかわかっておりませんが、五十年度末で二十万四千四百二十八人ですね。そのうち失業対策事業に従事する人の数が十二万一千六十三人、比率にして五九・二%を占めておる。その他の一般の日雇い労働者が八万三千三百六十五人、四〇・八%。こういう比率から見ますと、失業対策事業の労働者はほとんど第三級だ。そうすると、このバランスがどう崩れるのかということは、一にかかって失業対策事業に従事する労働者の賃金をどうするのかということとの因果関係があるわけです。これを変えない限り、いつまでたってもこのバランスが崩れないということはわかっているでしょう。局長、どうですか。
○北川政府委員 先生御指摘のように、日雇い失業保険につきまして失対労務者の占める比率が多いということは事実でございますけれども、日雇失業保険の給付の対象がそういう現実に立っておる以上、それを一つのメルクマールにして日額の改定を行うという現行制度は、私は決して不合理だと思っておりません。と申しますのは、一般の保険の場合のような毎月勤労統計というような確固とした頼るべき資料があればそれでいいのでございますけれども、日雇いの場合の改定の方法としましては、いまの一級、二級、三級の分布の状態によりまして、その変化によって改定をするということはやむを得ないところでございます。
なお、これと関連いたしますことですが、失対労務者の賃金につきましても、いま先生は三級とおっしゃいましたけれども、われわれの計算では大体二級給付日額に該当するのではないかと思います。
○川本委員 私は奈良県ですから、乙の安い方を思っていますから大体三級だと思っておったのだが、いわゆる六大都市とかあるいは甲の地域においてはあるいは二級になるのかもわからぬと思うのです。その点、間違っておったらお許しいただきたいと思うのです。
しかし、この自動改定の規定のキャスチングボートは一にかかって失対労働者の賃金をどうするかということでおのずから決定できる。そうなると、自動改定をやる気になったら、そのときに失対事業労働者の賃金さえ上げれば自動改定できるわけで、自動改定せぬでおこうと思ったら、労働省の方で失対事業労働者の賃金をできるだけ低く抑えてさえおれば、いつまでたっても自動改定にならぬというような結果になるのではないかと私は思うのです。そこで自動改定規定そのものがこういうような現実に合わないと私は思うのです。
たとえて言いますと、私どもの奈良県では林業の労働者はほとんどこれが適用されておる。ところが、この方々の賃金というものは現在日額でもう一万円前後です。ところが失業保険をもらいに行ったら二千七百円しかもらえない。このようなことでは、最初に申し上げたように、六〇%を保障するという雇用保険法の精神からいってまことに論外な話だと思うわけです。そこで私は先ほども申し上げましたように、こういう自動改定の規定はあるけれども、しかしこれだけでは不十分だから、一級の上に二つの級を設けて五段階につくるべきだ、こういう主張をいたしておるわけです。
その点について、労働大臣が急いでおられたから私は労働大臣にも余り申し上げなかったのですけれども、安定局長さんからもう少しお聞きしたいと思うのですが、これについていまの雇用保険法の精神から考えれば、三五%以上の人が現在五千四百円以上の日雇いの労働者であるという実情を踏まえたときに、財政の問題や人員の問題や事務の問題は大臣が言いましたが、その問題はちょっと別にして、そういうことは法上放置しておけると思いますか、おけないと思いますか、その点ひとつお聞きしたい。
○北川政府委員 現在、日雇失業保険の適用をされておる人たちがどういう人で、その賃金日額がどうかということを勘案しないと先生に対するお答えにならないかと思います。それで、先ほど先生御指摘のように、約二十万の日雇いの失業保険の中で失対が約十二万近くでございますが、それ以外が、山谷、あいりん地区の日雇い労働者が二万五千人、それから競走、いわゆる競輪、競馬の関係の二万人と、それ以外にちょっと私たちではつかみ得ない約二万程度の日雇い労働者がいるんじゃないかと思います。
それで、それの賃金分布でございますが、先生のおっしゃるように非常に高い林業労働者というのがこの中に全然いないというふうに私は思いませんけれども、その比率は、先生に御説明申し上げましたように、いまの少なくとも受けております等級別の比から見ますと、一級の場合に二八%、二級の場合二三%、三級の場合四九%と、いわゆる日雇健保の場合とかなり分布が違っております。
この点、どうして違っておるかということが問題ですけれども、日雇健保の適用労働者の業種別等の分布を見ますと、七割近くが建設労働者ということで、その点が日雇健保と日雇雇用保険との非常な違いではないかと思うわけでございます。恐らく、建設労働者につきましては、雇用保険の場合には日雇いでなくて一般給付の方に回っておって、賃金水準の高い方はそれでカバーされておるんじゃないかと私は思いますが、ただ、一部でも、先生おっしゃるように、高い賃金をもらっておって、かつ大変低い保険金しかもらえないということは不合理でございます。したがいまして、大臣もお答え申しましたように、事務的な難点、財政的な問題、いろいろございますけれども、そういうものをできるだけ克服をいたしまして、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
○川本委員 ただいま、そういういろいろな問題点を克服して、趣旨に沿うように努力いたしたいということですので、私はひとつ大きく期待をして、少なくとも次の国会では――今度の一般給付の自動改定と同時にはできないと思いますけれども、若干ずれても来年度にはそのような形にできますように強く要望しておきたいと思います。
そこでもう一つだけ、日雇いの特例給付等の受給要件の問題なんです。現在、普通二カ月で二十八枚になりますが、六カ月以上継続して労働した場合は八十四枚になっておる。これに対して、先ほど申し上げた昭和四十九年五月の社労委で同じくわが党の先輩である川俣委員が大臣に質問をしておるわけです。そこで、この問題は七十八枚にすべきではないかということを言っておる。そのとき最後に長谷川大臣は、次の機会に改正いたします、こういうことを言っておる。これは明確に言い切っておる。本来であれば今度のこの雇用保険の改正のときに、その大臣の答弁の趣旨からいくとこの問題が当然出されてしかるべきだと思うのです。それが無視されて今日に至っておるということは、私は国会軽視もはなはだしいと思うのです。だから、先ほど申し上げました日雇い労働者の給付の等級の改定とあわせて、この八十四枚を七十八枚まで引き下げるということについては、同時にこの次に行いますというお約束をいただきたいと思うのですが、その点について……。
○北川政府委員 日額表の等級を上にふやすという点につきましては、私、先生の御趣旨に沿って最大限の努力をいたしたいと思います。
いまの支給要件につきましては、日雇健保の場合と日雇いの失業給付の場合とでは条件がかなり違うようでございますので同一に論ぜられないかと思いますけれども、先生御指摘のように、前大臣がそういう御答弁をしておるようでございますので、その点を踏まえて検討させていただきます。