75-参-社会労働委員会-7号 昭和50年03月20日

 

昭和五十年三月二十日(木曜日)

  

 

  本日の会議に付した案件

○作業環境測定法案(内閣提出)

○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○片山甚市君 もう一つですが、実は失対の人はよろしいのですが、上野の駅の地下道など多くの労働者が職を失ったまま眠りこけておる姿を、最近は池袋や新宿の駅までも見るところであります。私は戦争直後にまさるとも劣らないようなこのような実態を夜遅く見ました。日雇い労働者の、ことに失対を除く人々の就労状況はきわめて悪い。東京の玉姫、河原町、本所、深川といった職安の就労状況は月に何日ぐらいになっておるのか、お知りだったら言ってほしい。私が調べたところによると、月四日や十日というのでありまして、各種保険の受給資格も得られないことになってしまっておるわけです。これについて特別の措置を閣議決定でもいいから、とにかくこの際、健康保険だけは失わないような措置を、大臣とられることがこの日雇い労働者、――失対の方はよろしいです、失対は。民間の日雇いですね、はできないでしょうか、ひとつお答えを願いたい。

 

○政府委員(遠藤政夫君) いま御指摘になりましたいわゆる山谷あるいは横浜の寿町、ここらあたりでいわゆる登録をされております日雇いの人たちの就労状態が悪い、しばしばそういう話を聞いております。ただ、山谷の場合七千近くの人が登録しております。しかしながら、実際に表に出て手続を踏んで就労する人たちはそのうちの一割程度、一割以下でございます。そのほかの人たちはいわゆるいろいろなルートをたどって、まあ言われておる立ちん坊と言われるような形で、それぞれ独自の就労をしておられる人たち。そういう人たちがたまたま表向きの正規の手続を踏んで就労されるのが、月に一日とか二日とかあるいは三日と言われております。こういう人たちは自分たちの独自の就労経路というものを持っておりまして、どうしても正式のいわゆる公式の紹介ルートに乗ってこない人たち。で、私どもはこういった登録日雇いの人たちのうちで、通常この山谷あるいは寿町等で紹介あっせんをいたしております人たちの就労確保につきましては、先般来関係各省とも相談をいたしまして、公共事業の施行促進でございますとか、公共事業が施行される場合にこれは求人をできるだけ安定所で確保して、こういった人たちの職場を確保する、こういう措置をとっておりまして、同時に山谷の場合、例で申しますと、これは本来自治体がいろいろな就労等についてごめんどうを見るわけですが、東京都で以前から特別求人を持っておりまして、約三百程度の求人を持っております。これがことしの一月あたりから廃止されようとしておりましたので、これを廃止してもらっちゃ困ると、こういう山谷の特別対策としてこういう求人が出されておりますので継続してもらうことに話をつけますと同時に、そういった情勢でなおかつ就労が少なくなるということに対しまして、東京都にもこういった求人をふやしてもらいたいということを私ども申し入れまして、最近この情勢も好転してまいっておるようでございます。

 

○片山甚市君 私は説明を聞いたんですが、大臣、実はその就労日数がこのような状態で一カ月に四日とか五日とか八日とかいう程度では保険が使えないんですが、それはもう厚生省の所管だから関係ないと、こういうようなことでやられますか、それともこういう時期にこそ、そういう保険が使えるような特別の措置をとられないものでしょうか。それをお聞きしておるんです。

 

○政府委員(遠藤政夫君) これは日雇い健康保険の問題であると同時に、日雇い失業保険の問題でもあるわけですが、こういう人たちは確かに先生のお説のように就労日数が足りないから保険の対象にならぬじゃないかという御指摘かと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、そういった正規のルートに乗ってこない、いわゆる失業保険の手帳も出さないで就労をふだんしている、こういうことでございます。まあ健康保険の方も同じようなことが言えるかと思いますが、私どもはこういった人たちが正常な就労経路に乗ってもらいたいということで、大阪の釜ケ崎対策であるとか山谷対策を従来ともやってきておりますけれども、なおかつそういうルートに乗ってこない人たちの問題である、こういうことに御了解いただきたいと思います。

 

○片山甚市君 まあ、乗っておればそれは考えるということだととっておきます、乗っておればね。そういうふうに考えておきます。

 先日、社会労働委員会で採用取り消しの件について大臣に伺ったとき、企業の公表という措置の前にまず採用取り消しを撤回させるように運動したいとおっしゃられました。その後の状況はどうでしょうか。具体的にどのようにされてどういうようになっておるか、お伺いしたいと思います。

 

○国務大臣(長谷川峻君) こういうところでああした問題が出ましたこと、あるいはまたマスコミがそのことを報道したようなこと、そんなことで、私の方の各関係職業安定機関を通じてその撤回を求めて努力をしてきたところでありますが、その結果によりますというと、ある製紙メーカーが高卒者五十四名、それから電気メーカーが同じくあるところ五人、ある機械メーカーが同じく五人採用取り消しを未然に撤回したということがあり、また某電気メーカーは大卒者百六十名、某電気メーカー同じく十八名を取り消し、通知後にあらためてこれを撤回したということがあり、さらにはまた私大関係の先生方に私の方の役所に来てもらって実情を聞きますというと、大学卒業生の撤回は大分進んでいる、こういうふうな実情でございます。