75-参-社会労働委員会-2号 昭和50年02月27日

 

昭和五十年二月二十七日(木曜日)

   午前十時十七分開会

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  本日の会議に付した案件

○労働問題に関する調査

 (労働行政の基本施策に関する件)

 (昭和五十年度労働省関係予算に関する件)

○作業環境測定法案(内閣提出)

○参考人の出席要求に関する件

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○小平芳平君 労働省は先ほどの局長の御答弁では総理府の発表、完全失業者は十二月八十三万人、 一・三%というふうに申されましたですか、これ以上の数字は持っておりませんというふうにおっしゃってたですが、そういうことで政府の政策立案上、ちょっと困ることがありませんか。労働省のほうでいまのような雇用調整給付金にしましても、あるいは失業給付の一律延長にいたしましても、労働省がいろんな政策立案をしなければならない、しかし、その基礎になるデータというものは、総理府は推計すると、それに対して新聞には労働省の遠藤局長はそんな推計は当てにならないみたいに出ていた新聞もあったかと思いますが、しかし、いずれにしても、総理府の発表以外数字ありませんというふうにおっしゃっていて、先ほどのような御答弁で大丈夫かどうかということです。

 

○政府委員(遠藤政夫君) 私は完全失業者についてのお尋ねでございましたので、完全失業者の具体的なデータとしては総理府の労働力調査による数字しかございませんということをお答えいたしたわけでございます。ただ、私どもは、実はこの完全失業者につきましては、いま大臣からお話ございましたように、総理府のほうで十二月の八十三万に対して統計学上一定の方程式を使って類推をすれば、一月は百六万になるだろうと、こういう数字が一応学問的と申しますか、統計学上、そういう数字が出るという報告があったようでございますが、私どもは去年の夏以来こういった経済情勢からいたしまして、例年のいわゆる十二月−一月、それから一月−三月の季節的要因を考えあわせますと、おそらく完全失業者というデータが百万を超えるであろうことは当然予想しておかなければならないし、それに対応するだけの私どもは行政的な措置、予算措置を講ずるという考え方で行政を進めてまいったわけでございます。そこで、具体的に私どもはむしろ完全失業者のデータよりも、失業保険金の受給者の推移を見てまいっております。十二月は五十三万でございますが、一月は九十万という数字が出ております。この九十万の中には、いわゆる御承知の季節的受給者が三十数万含まれておりまして、実質的にはやはり五十四、五万あるいは三、四万という数字になっておりますが、こういう人たちに対して今後の再就職あっせんなり失業保険金の支給あるいは給付延長といった問題が起こってくるわけでございます。ただ、先ほど来の御質問で、一−三月から四月以降どうかという傾向についての御質問でございましたが、この失業保険の受給者のデータにいたしましても、十一月まではかなり急激にいわゆる失業保険の受給者が増加しておりましたが、十二月から一月にかけまして大体横ばいで、対前年比で一三・四%程度にとどまっております。二月も恐らく同じような程度の発生率にとどまるんではないかと思っておりまして、これはまさしく雇用保険法によります雇用調整給付金制度によって歯どめが効いた、私どもはこういう判断をいたしておりまして、こういう情勢が続くならば、かつ、加えて一−三月が底で、今後経済情勢も横ばい、本年度後半になって上向いてくるであろう、こういう予測が行われておりまして、そういう情勢を考えあわせますと、先ほど申し上げましたような、お答えいたしましたような雇用・失業情勢で推移できるんではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。

 

○小平芳平君 労働大臣としましては、現在のこうした労働情勢を踏まえまして、総合的雇用対策の推進という立場から、今後の経済運営につきまして何か発言されたように新聞で伺ったこともありましたが、過去のことはけっこうですから、現時点でどのように考えられますか。

 

○国務大臣(長谷川峻君) 私は経済対策閣僚会議に労働大臣として入りまして、これはまあ役所の諸君の話を聞きますと、そういう経済閣僚会議などに従来は労働省からは入っていなかったと、それを重視するゆえんのものは、やはりこういう大事なときであるから内閣全体が労働省を考えてくれたものだ、それというのも、やっぱりこういう不況とインフレと、そして雇用不安ということでございますから、私は私の立場からしまして、とにかく物価の一五%というものが最大、とにかく経済政策の最大なものである、これをとにかくあくまで実現してもらうように経済官庁はやってもらいたい、たとえば年末年始の個別物資の上がらないようにすること、でありますから汽車が妙な運行をすればそういうことにどれだけ響くか、大雪が降ることによって東京に、すぐ野菜が上がってくる、野菜、食料品はお互いの生活の中の四〇%を占めておりますから、そういうきめ細かい、私は発言などもし、一方にはこういう情勢ですから雇用保険によって、皆さんのおかげでこれだけ期待もされ、実効も上げておりますが、さて、この滞留する、何というのですかね、山谷とか釜ヶ崎とか、そういうところの諸君がやはり滞留したんじゃ困るから、そういう中小企業の一般的手当てもするだろうけれども、そういう雇用関係については特にひとつ重視して考えてもらうように、こんな発言なども従来してまいりました。いずれにいたしましても私は中小企業あるいはもっとそういう毎日働く諸君、こういう問題についてこうしたときに特に配慮するように時折発言もしているわけであります。

 

○小平芳平君 その発言される御趣旨はわかりますが……。

 それでは、次の問題へまいりますが、最低賃金制度について、もう先ほど来お話が出ておりましたが、大臣の所信表明の中では、わが国の「最低賃金制につきましては、制度の対象となる労働者のほとんどにその適用が及ぶに至っており、」というふうな所信表明でありまして、それで制度そのものに、労働団体からの要請にもかかわらず制度そのものに検討を加えようというような御趣旨は全くないように受け取れます。実際問題現在の、局長から御説明いただきたいことは現在の最低賃金は地域別、産業別にどのくらいの金額で決まっているか。

 

○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘がございましたように、現在地域別、それから産業別に最低賃金を実施しておりますが、申し上げるまでもなく公・労・使三者構成によってその金額を決定し、それを尊重して決めるわけですが、まず地域別最賃について申し上げますと、大体千六百円から千七百円台が多くて、中位数で千七百十八円ということになっております。それから産業別では千八百円台から二千百円台が多くて、中位数では二千六十九円程度ということになっております。