72-衆-予算委員会第三分科会-5号 昭和49年03月09日

       

昭和四十九年三月九日(土曜日)

    午前十時開議

 

 

本日の会議に付した案件

 昭和四十九年度一般会計予算中厚生省、労働省

 及び自治省所管

 昭和四十九年度特別会計予算中厚生省、労働省

 及び自治省所管

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○小川(新)分科員 あと三分ばかりございますので、まず違う問題で一つお尋ねいたします。

 インフレから国民生活を守るための春闘共闘委が、生活保護世帯や身体障害者など社会的に弱い立場にある人のためのインフレ手当を要求しております。これに対して政府はどのように考えているのか。生活保護者に対する特別一時金、社会福祉施設入所者の処遇改善のための特別一時金、心身障害者、母子世帯に対する給付金、全体で一人当たり最高幾らになるのか、こういった問題について概略お尋ねしたいと思います。(長谷川国務大臣「厚生省来ておりません」と呼ぶ)

 そうですか。それじゃちょっと問題が違ったようですが、私は山谷の労働者の方々の問題を取り上げたいのですが、この問題の実態と対策についてお尋ねしたいのでございます。

 

○佐藤(嘉)政府委員 山谷地区の労働者の問題でございますが、私どもといたしましては、山谷地区に私ども労働省の出先でございます労働出張所もございます。また東京都が設けました無料の職業紹介機関もございます。これらの機関の連携によりまして、これらの地域に居住されておられる方々の就労あっせんに努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のございました山谷地区等の日雇い労働者の対策につきましては、福祉の問題、住宅の問題、医療等、こういった関係機関の協力を得ながら総合的な対策を進めてまいる必要があると私ども考えておるわけでございます。特に労働対策の関係につきましては、健全な労働市場を形成いたしまして民間雇用に就職すること、これが基本でございますので、私どもといたしまして、先ほど申しましたような無料職業紹介機関の設置、また国の機関でございます労働出張所等を活用して就職あっせんに努力をいたしておるところでございます。

 現在の実態でございますが、最近において日雇い求人数が若干減少したというようなことがございますけれども、ことしの年始め、いろいろな問題があったことは私ども十分注意をいたしてまいったところでございます。私どもといたしましては、今後これらの地域、山谷だけではございません、釜ケ崎とかいろいろございますので、このような地域に対しては、安定機関の総力を結集いたしまして求人開拓を強化するということで、その就職あっせんに万全を期してまいりたい、かように考えております。

 

○小川(新)分科員 実態を見ますと、正月の六日の場合は、求人わずかに四名であり、あぶれた人は二百二十七名、失業保険法の適用はゼロでありました。また三月二日の例をとりますと、求人は五百七十三名にふえたというものの、あぶれた人は百二十一名、失業保険法の適用を受けられなかった人が八十四名にのぼっております。

 これは、現行の失業保険法第三十八条の九に定める失業保険金の認定の基準が、今日のような異常なインフレ、緊縮財政、金融の引き締めのもとではきびし過ぎるのではないかという考えを私は持っておりますが、この問題について失業保険法の適用基準を緩和する考えがございますかどうか、大臣、この問題、いかがでございますか。

 

○佐藤(嘉)政府委員 日雇い失業保険の受給要件は、先生御案内のとおり、前二カ月間に二十八日の就労、月に十四日の印紙が張られておれば前二カ月二十八日ということになりまして、あぶれた場合に日雇い失業保険金を受給できるわけでございます。この月十四日、十四枚の日雇いの失業保険の印紙、二カ月を通じて二十八日というのは、保険制度といたしましては無理のない最低限度の要件でございまして、通常の日雇い労働者の就労日数というもの等勘案してみまして、決して無理のない数字でございまして、保険制度としては最低限の要件だと私ども考えておる次第でございます。

 

○小川(新)分科員 時間がまいりましたのでこれで終了いたしますが、二カ月間で二十八日間働けた人のみが対象になっておりますが、総需要の抑制、公共事業のストップ、石油危機の問題等からからみ合わせて、いまの基準がはたして妥当であるかどうか。失業保険の問題には非常に敏感に反映してまいる日数の問題が出てまいります。働きたくても働けない問題が出てきますので、この点についてお尋ねして、終わらしていただきます。

 

○佐藤(嘉)政府委員 山谷地区につきましては、特に無料職業紹介所の付近におられます労働者の方々の中には、日雇い失業保険の手帳をまだ受け取っておられない方もおるわけでございます。そういった面から、まず失業保険の手帳を受け取っていただいて、あぶれた場合、私ども現在いわゆる適用拡大といいますか適用促進を努力しているのが一点でございます。

 それから東京都は非常に広い地域でございまして、安定機関はお互いに連絡をとっておりますので、ある安定所での状況というものでその地域の求人を振り向けるというような形で現在努力をいたしておるわけでございまして、これによって私どもは何とか失業保険の受給要件を満たさないという事態は出ないであろうということで鋭意努力をしている実情でございます。