61-衆-建設委員会-5号 昭和44年02月26日

 

昭和四十四年二月二十六日(水曜日)

    午前十時四十一分開議

 

 

本日の会議に付した案件

 建設行政の基本施策に関する件

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○小川(新)委員 予算要求までしてこれがけられたということは、われわれ建設省関係に携っている者は、都市局長の心中察して、まことに残念無念、口惜しい、私も非常に同情いたします、ほんとうのこと言って。とにかくわれわれとしては、予算要求までしたものをけとばされる、これはまことに情ないということです。おかしくなっちゃうんですね。その辺のことはまたの機会にお譲りいたします。

 その次に、大臣、スラムの問題です。たとえば、東京には山谷のスラム、大阪の釜ケ崎のスラム、広島の原爆スラム、大阪の沖繩スラム、こういう問題がいま社会問題化しつつありますが、都市再開発計画のサイドから見て、これらの開発、特に山谷、釜ケ崎、原爆、沖繩の各スラムに対してはどのような予算措置を講じ、解決に当たっていくのか。特に一九七〇年の安保を前にして基地問題等があり、いろいろな問題で都市の治安という問題も考えられるときに、スラムクリアランスは何も外郭、周辺団地ばかりでない。先ほど岡本さんも申されましたように、市街地の中ほどスラムクリアランスをやらなければならぬ。そういうスラム街に対する考え方をちょっとお聞きしたい。

 

○坪川国務大臣 スラム街の住宅環境の整備ということは、住宅政策の中においては非常に大事な問題であろう、こう考えておる次第でありまして、小川委員と全く感をともにするのでございますが、御承知のとおりに、昭和四十一年、不良住宅地区の懇話会が建設省に学識経験者をもって設けられまして、その懇話会の結論の上に立って山谷あるいは釜ケ崎等の問題に取り組んでおるようなわけでございますが、釜ヶ崎の地区に対しましては、労働省、厚生省、文部省その他関係省と打ち合わせをいたし、また、地元の大阪府、大阪市等の協力もいただきまして過般起工式もいたしておるというような実情でございます。また、それに対しましての労働施設、医療施設等も、一体となって実施いたしております。山谷地区につきましては、東京都におきまして施設を設けてその対策が進められておるというような状態、また、沖繩スラムあるいは原爆スラムというような、大阪及び広島の中心部におけるところの不良住宅の問題につきましては、地元の府、市あるいは関係当局と打ち合せをいたしまして、住宅地区改良事業によって実施する運びに相なっておるというのが現在の時点でございます。

 

○小川(新)委員 住宅地区改良事業でやる、また市街地再開発法でやる、また公共施設改造法でやる、いろいろありますが、実際にはいつからどういう法律を使って、こういう山谷とか釜ケ崎、または、いま言った各スラムの不良住宅に手をつけられるか。

 

○大津留政府委員 釜ケ崎や山谷、それからいま御指摘の原爆スラムあるいは沖繩スラムというのと多少その性格が違うとも言えるかと思いますが、大体におきましては、住宅地区改良法に基づく改良事業といたしまして、それらの不良住宅を除却いたしまして新たな改良住宅を建設して、そこに入居していただくというやり方で進めておるようなわけでございます。全国に概数三十万戸のそういうスラム街があるという調査になっておりますので、これを逐次改良してまいりたいということで、さしあたりの住宅対策五カ年計画では改良住宅として織り込んだわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、改良住宅はいろいろ地元の調整に手間どるという性質上、これが計画よりおくれているという、のははなはだ申しわけないと思っておりますが、これをさらに強力に進めまして、将来は一掃すべく努力してまいりたい、こういう考えであります。

 

○小川(新)委員 将来一掃と言っても、いつまでも、将来一掃になってしまって、具体的にはいつかわからないのですが、これは具体的にまだ何年というふうには出ないのですか。

 

○大津留政府委員 五カ年計画でそのうちの十万戸は解消したいというもくろみでございましたが、なかなか進捗に手間をとりまして、そこまで行っておりませんが、次の五カ年計画においては、これを強力に進めまして相当数やりたいというふうに考えております。