61-衆-社会労働委員会-1号 昭和44年02月04日

 

 

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 厚生関係の基本施策に関する件

 労働関係の基本施策に関する件

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○森田委員長 次に、先ほどの労働大臣の発言に関連し、昭和四十四年度予算の概要について、労働省会計課長から説明を聴取いたします。労働省藤繩会計課長。

 

○藤繩政府委員 昭和四十四年度労働省関係予算の概要につきまして、御説明を申し上げます。

 まず最初に、予算の規模でございますが、お手元にございます資料にありますように、一般会計は昭和四十四年度要求額千百四十三億二千九百万円でございまして、前年度に比較いたしまして四十五億二千六百万円の増額でございます。一〇四・一%でございます。労災保険特別会計は千八百七十一億六千七百万円でございまして、三百七十七億一千五百万円の増額、一二五・二%でございます。失業保険特別会計は二千三百八億八千七百万円でございまして、二百四十億七千万円の増額、一一一・七%でございます。石炭対策特別会計の労働省分でございますが、七十六億三千七百万円でございまして、前年度に比較いたしまして二十五億四千六百万円の増額、一五〇・〇%でございます。

 次に、おもな事項につきまして御説明を申し上げます。

 まず第一に、総合的雇用政策の展開でございますが、就業構造の変化あるいは新規労働力の供給の減少、人口構成の変化等によりまして、新たな積極的な雇用政策の展開が要請されるわけでございますが、その第一といたしましては、労働力の不足対策の推進でございます。そこで、最初は事務費的なものでございますが、そういった問題に対処いたしまして、雇用計画に関する調査研究あるいは雇用対策法に基づきます年次雇用計画の策定、推進といったような経費が計上せられております。

 それから次に、新たな施策といたしましては、労働力を輸出産業その他特に必要と認められる産業に誘導していくための施策といたしまして、その一環といたしまして、新たに共同福祉施設を設置するという考え方を打ち出しておりまして、来年度は十カ所に、一カ所三千万円の福祉施設、計三億円のものを設置するというものを新たに計上いたしております。

 三番目といたしまして、職業紹介の効率化の推進でございますが、その中身は、そこにございますような広域職業紹介業務の即時処理化の実施、それから雇用情報の作成提供などの雇用サービスの充実、それからパートタイマーのための講習会というようなものがおもな内容でございますが、特に第一の広域職業紹介業務の即時処理化でございますが、これは、広域紹介にあたりまして、求職者がみずから自分に適する遠隔地の求人内容というようなものをすみやかに知ることが必要である。それを知って、そうしてそこで即時に紹介ができるような体制を打ち立てるというために、御承知の労働市場センターを中核といたしまして、すでに整備を進めてまいっておりますが、これを非常にスピードアップをするという装置を、来年度は大阪地区二十九の安定所を結びまして試験的に実施してまいりたい。そして、それが成功すれば、さらに京浜、中京というような大きな労働市場について逐次進めてまいりたいというような関係の予算でございます。トータル十五億五千二百万円を要求いたしております。

 それから、四番目の雇用促進住宅でございますが、これは例年の規模で、来年度は一万戸の要求をいたしております。単価等の値上がりが増額分でございます。

 それから財政投融資の関係で、雇用促進融資の拡充改善でございまして、来年度は百四十三億を見込んでおります。内訳といたしましては、住宅関係が百十九億、福祉施設関係が十二億、通年雇用関係が七億、身体障害者関係が一億、職業訓練関係が四億というような内容になっております。

 次に、職業研究所の設置でございますが、懸案でございましたが、このたび雇用促進事業団にその設置を認められまして、新たに職員数十五人ということで発足が認められたわけでございます。

 その他、雇用関係の統計の整備というようなことをあわせまして、労働力不足対策の推進をはかりたいというのが第一でございます。

 第二は、地域の実情に即しました諸般の雇用対策を強化してまいるということでございまして、その第一は、大都市圏の雇用対策といたしまして、勤労青少年センターを東京の中野に建設するという考えでございます。三ページの右の上のほうにございますように、全体といたしましては六十一億六千二百万円で、四カ年計画でこれを実現いたしたいということでございます。前年すでに実は二十億の土地代が入っておりましたので、その関係で今度の予算では、六十一億を四カ年でやるということで、初年度十三億九千万円の計上になっておるわけでございます。

 次に、地方の雇用対策といたしましては、開発拠点地域における勤労者総合福祉センターを建設するということで、前年一カ所認められておりましたが、四十四年度は二カ所、二年計画で設置をしてまいろうということでございます。

 それから中小企業のレクリエーションセンターにつきましては、前年に引き続きまして二カ所やってまいる。そのほかに新たに新しい個所二カ所につきまして若干の調査費を計上いたしております。

 それから新しい政策といたしまして、勤労青少年体育施設というものを一カ所三千万円、六カ所ということで一億八千万円計上をいたしております。そういうような諸般の福祉施設を地方の拠点地域につくっていくということによって、雇用対策の推進をはかろうというものでございます。

 それから第三番目の新規学卒者対策でございますが、御承知のような学卒の事情にございます。そこで新規学卒者に対する職業指導、職業紹介というものをさらに強化してまいることは当然でございますが、特に明年度以降におきましては、その新規学卒者が就職しました後のアフターケアの強化をはかってまいるということでございまして、その一環としまして、新たに、職場適応促進のための年少就職者相談員というものを新規に三百人、大都市を中心に配置をいたしまして、そういったアフターケアに従事せしめ、またそのために年少就職者の指導記録票というようなものを整備する、あるいは子供たちに「働く青少年手帳」を持たせる、さらに勤労青少年についての講座を開設するというような諸般の施策を進めてまいりたいというわけでございます。

 四番目といたしましては、中高年齢雇用促進対策の強化でございますが、この予算につきましては減額を若干いたしておりますが、内容は職業転換給付でございまして、最近の実績にかんがみまして、予算額としては減額いたしております。ただ、内容といたしましては、従来の職業転換給付の制度に加えまして、新たにいわゆる就職促進措置の対象とならないものにつきましても、三十五歳以上のものを中心にいたしまして、大いに職業訓練を促進するという意味におきまして、訓練手当を支給する、あるいは訓練所に入りますまでの間、訓練待期手当というようなものを支給するという制度の拡充をいたしております。

 それから、人材銀行でございますが、すでに五カ所ございますものに、さらに来年度二カ所新設をいたしたいというものでございます。

 五番目は、総合的な身体障害者職業対策の展開でございますが、その一つといたしましては、就職援護措置の充実ということで、身体障害者の社会復帰センターというものをつくってまいりたいという構想を持っておるわけでございまして、大きな公共職業安定所の建物に付設をいたしまして、もっぱら身体障害者の職業関係の相談あるいはアフターケアというようなものを専門的に、本格的にやってまいりたいということでございます。昭和四十四年度は上野の職業安定所の新設に伴ないましてこれを付設するという構想が認められまして、予算といたしましては土地代の二億五千万の二万の一が入っておるような次第でございます。

 そのほか、就職促進指導官の増員でございますとか、あるいは身体障害者に対する職業訓練の拡充ということで、新たに身障訓練所を一カ所新設することになっております。

 さらに、重度労災障害者に対しましては、リハビリテーション対策を強化するということで、北海道にリハビリテーションの作業所を新設するというような構想も入っております。

 六番目といたしまして、雇用の促進、安定のための諸般の特別対策でございますが、一つは愛隣地区における日雇い労働者対策の推進でございまして、愛隣につきましては、すでに本年度までに政府あるいは大阪の地元関係等で福祉センターを設けておりますが、来年度はそういった中に設けられております労働安定所の職員の増員というような経費が認められております。

 それから、港湾労働対策といたしましては、港湾労働福祉センターを増設するということでございまして、来年度は四カ所新たに要求をいたしております。それから港湾労働者の住宅も例年のように増設をしてまいりたい。それから、港湾労働法に基づきます雇用調整手当につきましても、そこに書いてございますように単価を引き上げまして改善をいたしてまいりたい。その他、労働条件の近代化、労働災害防止のための指導の強化、あるいは就職促進指導官の増員というようなものが港湾労働対策の中身でございます。

 それから、駐留軍関係でございますが、就職促進手当の引き上げ、それから新たに住宅確保奨励金の新設というような改善をいたしております。ただ、駐留軍関係につきましては対象人員が減っておりますので、そういう意味での予算額の減額はございますが、制度としては内容を充実いたしております。

 同和地区の雇用対策につきましては、就職促進指導官をふやす、あるいは新規学卒者に対するきめこまかな施策の強化というようなことをはかっておるわけでございます。

 次に、建設、出かせぎ労働対策の強化と万博の労務対策でございます。

 建設、出かせぎ労働対策につきましては、さらに実態調査を進めますと同時に、出かせぎ労働者手帳を発給あるいは台帳の作成、整備等を続けてまいります。そのほかに、新たに就職促進指導官の増員が認められましたし、また、出かせぎ相談所の新設も一カ所認められております。それから、積雪地帯におきまして、できるだけ出かせぎ労働者が年間を通じて雇用されますようにということで、通年雇用融資あるいは通年雇用奨励金というものをやってまいっておりますが、来年度におきましてはこれを大幅に拡充するということでございます。

 それから、万博関係におきましては、来年度がピークでございますので、労働者の確保対策というものをはかると同時に、災害防止の徹底、適正な労働条件の確保というようなものをはかってまいる。それぞれそれに必要な予算を計上いたしておるわけでございます。

 それから産炭地域の労働対策でございますが、このうち六ページから七ページにかけまして、(1)から(5)までは大体従来の対策の拡充でございますが、(6)が新たなものでございます。

 そこで(1)は緊就でございます。吸収人員を若干減らしておりますが、単価は二千三百円から二千五百円に引き上げてございます。

 それから雇用促進事業団、従来どおり援護業務を進めてまいる。

 それから広域職業紹介、転職訓練等、従来どおりでございます。

 それから就職促進手当は金額をごらんのように引き上げております。

 最後の産炭地域開発就労事業の実施でございますが、筑豊地区等に典型的に見られますように、産炭地域で諸般の離職者対策、振興対策が行なわれておりますけれども、なお、雇用安定というものの必要性の上に、地域につきまして特に開発就労事業を新たに行なうということにいたしまして、吸収人員三千二百人、事業費単価三千六百円、三分の二の補助でございますが、四十四年度は二十五億二千四百万円をもってこれを行なうという予算を計上いたしております。

 失業対策事業につきましては、ごらんのように、最近の就労対象者の状況あるいは雇用情勢等にかんがみまして、一日平均吸収人員を十四万七千といたしておりますが、労力費単価は一二%引き上げておるというようなわけでございます。それから特別失業対策事業につきましては、金額は例年どおり四十一億でございますが、吸収人員を四千から三千にいたしております。

 その他雇用奨励制度等は大体従来のとおりでございます。

 さようなことで、失対事業は全体といたしまして四百十八億三千九百万円という規模でございます。

 以上が雇用対策でございます。

 第二は職業訓練制度の全面的改正でございまして、技能労働力の不足、技術革新というようなものに対応いたしまして、訓練制度を全面的に改めようというわけでございます。

 1はその訓練制度を体系づけるわけでございまして、それらに要する若干の事務費でございます。

 2といたしまして、企業内職業訓練の振興、これが今度の改正の一つの重点であることは、先ほど大臣からも申し上げたところでございますが、特に指定職種に重点を置きまして、そこにございますように、企業内の訓練につきましては、対象人員を増加いたしますと同時に、特に補助単価につきまして前年の千六百円を三千二百円と倍額にいたしまして、その飛躍的拡充をはかったわけでございます。そのほかに、職業訓練施設の補助につきましても単価を引き上げておるわけでございます。そういうようなことで、内容は二億九千九百万円ということになっておるわけでございます。

 公共職業訓練につきましては、まず第一には、一般訓練所と従来いっております職業訓練施設につきましては、大体前年どおりの規模で進めてまいりますが、高等職業訓練施設、従来総合訓練所といっておりましたものでございますが、これにつきましては新たに七カ所、特に七カ所のうち一カ所は沖繩にこれを設置するという計画を持っておるわけでございます。職種も若干ふやしております。それから身体障害者の職業訓練施設は、先ほども申し上げましたが、一カ所新たに増設をするという内容になっております。

 能力再開発訓練、これは従来、転職訓練といっておりますものでございますが、これも訓練手当の増額等をはかっております。

 それから次に、職業訓練指導員等の資質向上と養成確保ということでございますが、特にこの中でも職業訓練大学校の充実ということが重点でございます。現在の職業訓練大学校は小平にございまして手狭でございますので、適当なところに本格的な大学校の施設を移したいということでございまして、総額十九億八千万円、約二十億の予算が認められまして、十万坪の敷地を確保したいということでございます。これを二カ年計画で確保するということで、一年度分九億九千万円が計上されておるものが主たる内容でございます。その他は、そこにございますような養成課程の充実等でございます。

 それから次に、新規訓練職種の開発と訓練内容の充実等でございますが、これもそこにございますような、技術革新が進んでまいりますのに対応いたしまして新しい職種をつくる、あるいは既存の職業につきまして再検討いたしまして訓練基準をつくるというようなこと、あるいは養成訓練を終わりました者につきまして一種の卒業試験のような技能照査という制度をつくっていくというようなことが内容でございます。

 それから、技能検定の拡大を特に重視するということが今度の改正の重点であるということも先ほど大臣から御説明申し上げましたが、従来、技能検定は国と地方公共団体が直接やってまいりましたが、その職種も増加してまいりますので、検定体制を本格的に整備する必要があるということで、今回技能検定協会というものを中央、地方に設立いたすことにいたしました。明年度は年度途中からこれに着手するということで、六カ月分一億五千五百万円の予算が認められておりまして、それが中心でございます。

 それから、職業訓練による国際協力の推進でございますが、技能オリンピックが近く開かれるわけでございまして、すでにその施設につきましては、四十三年度予算でも相当拡充をいたしております。そこで明年度はさらに、大集会場の整備あるいは冷暖房の整備というような整備費を計上をいたしておるわけでございます。それから、そこにございますようなブルーカラーの労働者の海外派遣あるいは海外からの受け入れ、職業訓練専門家の交流、あるいは海外に職業訓練の調査団を派遣するというような諸般の施策によりまして、国際交流を推進したいということでございます。

 それから最後に、従来やっております卓越した技能者の表彰ということも拡充をしてまいりたいというわけでございます。

 以上が職業訓練でございます。

 第三に、産業構造、社会環境の変化に対応する労働基準行政の展開でございまして、労働者の都市集中あるいは技術革新の進展等に対応いたしまして、労働態様につきましても著しい変化が見られます。それに対応しまして、第一に労働基準に関する基本的な調査研究をやってまいる。単年度限りではございませんで、少し時間をかけまして、労働基準に関する法制的、実態的な研究を進めたいということで、その関係の若干の経費を計上いたしておりますと同時に、従来からやっております単調労働対策、労働時間対策の推進をさらに進めるというのが第一でございます。

 それから第二番目といたしましては、近代化のおくれた分野、社会的な問題となっている分野の労働者に対する施策でございまして、一つは、最低労働条件確保のための監督体制の充実、特に最近重点を置いてやっております自動車運転者の労務管理改善対策というようなことにつきまして重点を置いてやってまいりたい。それから最賃につきましては、改正法に基づく最賃の普及をはかってまいりたい。それから重度障害者につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、労災の面で特にこれを強化してまいりたい、リハビリテーションの作業所もふやしてまいりたいということでございます。それから、遺族に対します援護の強化ということで、生活の実態調査、それから葬祭援護施設の設置、これも前年度から引き続きやってまいりたいということであります。

 総合的家内労働対策につきましては、家内労働法を制定し、そして最低工賃制あるいは安全衛生措置等の家内労働条件の適正化を進めるということで、労働基準局、若干、婦人少年局の分も入っておりますが、そういった必要な経費をふやしておるわけでございます。

 それから、合理的な賃金制度の推進ということで基本的な検討を進めますと同時に、賃金相談室をさらに十局分ふやしまして、相談機能の充実をやる、実態調査をやるというような経費でございます。

 勤労者の財産形成につきましても、前年度に引き続きまして、諸般の調査、PR等をやってまいる予算でございます。

 次に労働災害防止のための抜本的対策の確立と推進でございまして、技術革新によりまして、新しい種類の災害、職業病の発生というような危険が高まっております反面、労働力不足に関連いたしまして、未熟練労働者、高齢労働者等がふえてまいっておりまして、そういう意味でも労働災害の防止ということが特に重視されるわけでございますが、施策の内容といたしましては、労働災害防止計画、法に基づきます計画の普及促進ということ、それから安全衛生関係の意識の高揚、教育の促進というようなことをさらに進めてまいる。それから産業安全研究所、労働衛生研究所の研究活動の強化あるいは機械設備の安全性の向上、技術基準の開発、さらには科学的災害調査の体系的実施というようなことを進めてまいる。それから、職業病の対策につきましても、ここにありますような、有害環境の実態把握、それから特定有害業務の従事者に対する作業基準等の健康管理対策を進める、あるいは産業医に対する職業性疾病特殊健康診断手法の指導というようなことをやってまいるというような、従来の施策をさらに一段と進める経費でございます。最後の安全衛生技術の国際交流のところにあります国際労働衛生会議でございますが、本年の九月に日本で行なわれますものにつきまして、二千万円ばかりの政府から経費の援助を行なおうというものでございます。

 それから、災害防止サービス網の確立、中小企業、危険有害業務企業等に対する指導援助の積極化でございまして、災害防止サービス網の整備確立といたしましては、安全衛生コンサルタントの活動等、労働災害防止協会がございますが、これに対する育成をさらに強化する。それから、安全衛生サービスセンターというものを本年度も一カ所新設していくというようなこと。それから、当然のことでございますが、災害多発危険有害事業所への重点的な監督指導を行なっていくというようなことが中身でございます。

 それから、婦人の能力の有効発揮と福祉対策でございますが、まず第一に、婦人の労働能力の有効発揮と地位の向上につきましては、中高年齢婦人の雇用の円滑化ということでございまして、先ほども雇用対策の面で触れましたように、こういった雇用のさらに活用という見地から、その雇用の円滑化をはかるという経費でございます。そのほか、そこにございますような、短期職業講習の拡充でございますとか、家事サービスの訓練の充実とか、あるいはパートタイマー対策というようなものをさらに進めてまいるという経費でございます。

 それから婦人の地位の向上につきましても、婦人週間のやり方につきまして検討を加えまして、新味を出していこうという予算になっておるわけでございます。

 それから、特に婦人労働者、労働者家族の福祉増進といたしまして、働く婦人の家を増設していこうということで、そこにありますように、来年度は四カ所の働く婦人の家をつくっていこうということでございます。A級七百五十万円、B級五百五十万円のものでございます。それから内職の補導所を二カ所つくってまいりたい。それから、労働者家族及び家族従業者の福祉増進といたしまして、いろんな実態把握の調査というようなものをやってまいりたいという予算でございます。

 それから一五ページに参りまして、勤労青少年のすこやかな成長のための総合的施策の樹立推進でございまして、先ほど雇用政策のところでいろいろ触れましたようなものと重複いたしますが、新規学卒者に対しまして、先ほど申し上げましたような年少就職者相談員の新設でございますとか、あるいは働く青少年手帳の配布でありますとか、勤労青少年講座でございますとか、そういうものをさらに進めていくということ。

 それからもう一つは、勤労青少年に対する福祉施設を拡充するということでございまして、これも、先ほど触れましたような中野のセンターでございますとか、あるいは地域の勤労者総合福祉センターでございますとか、あるいは体育施設でございますとか、そういうものを拡充いたしますほかに、婦人少年局の所管といたしまして、一六ページの上にございます勤労青少年ホーム、これはA級とB級、先ほど働く婦人の家で申し上げましたような、A級七百五十万円、B級五百五十万円の単価でございますが、これも大幅に拡充をしてまいりたいというわけでございます。

 その他、勤労青少年の余暇活動、従来どおりの指導援助を進めてまいりたいということでございます。

 七番目といたしましては、社会経済情勢の変化に即応する積極的労政行政の展開でございまして、一つは、労働経済などに関する長期的展望に基づく労働政策の樹立ということでございまして、政治、経済、社会の変化に対応いたしまして、労使関係あるいは労働運動の動向の把握というような点、それから国民経済と労働運動の関連における労働経済の総合的な把握、分析、長期展望というようなことで、諸般の調査、分析を進めてまいるという関係の事務的な予算でございます。

 それから次の労使関係の安定促進は、労働委員会あるいは日本労働協会等への助成等の経費も含めまして、労働教育関係の予算でございます。

 それから三番目の中小企業労働対策でございますが、これも従来からやっております中小企業集団に対します助成というものも一千万円ばかりふやしてございますが、そのほかに、中小企業退職金共済事業団をはじめとする共済事業に対する助成をふやしてまいっております。

 次に労働保険制度の改善でございますが、大臣の説明にもありましたように、労災、失業保険の零細企業への適用拡大その他の内容を含みました改正案をいま検討中でございまして、ただいま中央職業安定審議会あるいは社会保障制度審議会、その他関係の審議会におきまして御検討をいただいておりますが、やがて今国会に提案の上、御審議をいただくことになっておりますが、そういった法改正の中身を盛りました予算でございまして、そこに計上してございます九十八億七千七百万円という数字は、そういった制度の改善分でございます。

 制度改善といたしましては、零細企業における労働保険の段階的な適用拡大をはかるということ。それから失業保険受給者に対する給付の適正化、就職促進というようなことでございます。それから三番目といたしましては、失業保険給付内容の改善ということでございます。これに関連いたしまして、失業保険財政の現況にかんがみまして、失業保険料を千分の一引き下げるということも考えておるわけでございまして、そういう予算になっております。

 それから、失業保険給付内容の改善といたしましては、一般保険におきましては、低い等級の者の日額の引き上げでありますとか、扶養加算額の改定でありますとか、あるいは非常に長期な被保険者に対する給付日数の延長でありますとか、そういう内容をいま考えておるわけでございます。日雇い失業保険につきましては、保険日額の改善をはかるというようなことを考えておるわけでございます。さらに福祉施設におきましては、従来の就職支度金という制度がございますが、これにつきましても思い切った拡充をはかる。それから移転費につきましても、着後手当というようなものを新設する等々の改善を検討をいたしておるわけでございます。そのほか、従来からいわれております季節的な失業保険受給者に対する対策、あるいは労災、失保両保険の適用徴収の一元化というようなことを検討いたしております。

 それから予算的には、労働保険相談員というものを、そこにございますように二百五十人新規に設置いたしまして、諸般の相談に応ずるような体制も整えたいということでございます。

 以上が労働保険制度の関係でございます。

 最後に、国際労働行政の関係でございますが、まず第一にはアジア地域における発展途上国に対する技術協力の推進でありまして、ILOのアジア労働力計画というものが検討されておりますが、それに対する協力あるいは研修員の受け入れ、専門家の派遣というようなものを職業訓練について行ないます経費というものを計上いたしておりますほかに、ILOに対する協力というようなことの予算を計上いたしております。特に四十四年度はILOの五十周年に当たりますので、その関係の記念行事の予算も若干計上いたしております。

 それから、ブルーカラーの海外派遣とか、あるいは技能オリンピック開催体制の整備というようなことは、先ほど職業訓練に関連して申し上げたようなことでございます。

 それから最後に、海外情報の収集及び海外啓蒙活動の強化というのに若干の予算を計上いたしております。

 簡単でありますが、以上が来年度の予算の概要でございます。