58-参-商工委員会-17号 昭和43年05月09日

 

昭和四十三年五月九日(木曜日)

   午前十時二十七分開会

 

   参考人

       財団法人日本万国博覧会協会事務総長      鈴木 俊一君

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  本日の会議に付した案件

○産業貿易及び経済計画等に関する調査

 (神通川の鉱毒に関する件)

○日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な

 特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

 (内閣提出、衆議院送付)

○参考人の出席要求に関する件

○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関

 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、

 衆議院送付)

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○椿繁夫君 これはまあ話し合っていただくことは大切でありますが、設計に予算を合わせるか、予算に設計を合わせるか、いずれかを選ばなければならぬことになるのじゃないかと思いますが、しかし、いまお話の最中でありますから、これ以上聞くことはいかがかと思いますから、あまり予算のほうに設計を合わせることによって、万博の展示そのものが、その精神を失わないように、十分配慮されることを望んでおきます。

 それから労務対策でありますが、この建設工事を完工いたしますために、労務者の数、延べ四百十六万千二百三十人というような、なかなかこまかい計算をいたしておられるのでありますが、工事のピークのときになりますと、一日に五万人から従事をする人が出てくる。これに関連事業の労務者等を加えますと、これは別ですから、相当膨大な数にのぼることが予想されるのであります。そこで、労務動員をどういうことでやっておられるのか――これは労働省おいでになると一番いいと思うのですけれども、きょうはお見えになっていませんから――集まってきた人たちに対する環境の整備とか飯場の急増というふうなことが考えられます。環境衛生関係の整備などの問題でありますが、明治の末、大阪で勧業博覧会というのをやりまして、例の新世界の通天閣などがそのときのモニュメントとして残っているわけであります。ところが、時代は違いますけれども、例の釜ケ崎、いまの愛隣地区というのは、労務者がたくさん勧業博のために集中いたしまして、そうして飯場などが定着、固定化いたしましたのが、いま大阪における愛隣地区、俗にいう釜ケ崎の沿革のように聞いておりますそういうことの心配のないよう、十分な配慮が望まれます。その対策はいかん。

 それから急な一時的な労務の集中でありますから、労働基準法関係の完全実施などについての対策などについて、すでに各省間で、相談をされていると思いますので、心配な点を申し上げて、これまでの相談の結果をひとつ御説明いただきたい。

 

○説明員(橋本徳男君) 確かに労務の問題は、一番大きな問題でもございますし、また、われわれも非常に頭の痛い問題でございまして、なかなかすべてのいまの御質問に全部お答えできるようなまだ段階でないのでございますが、新規の労務者があの周辺地区におきましては、大体通常の場合は一旦二十七万人程度の労務者が働いておりますが、大体関連事業でピークのときには三万六千で、会場関係で約八千人ということで、大体五万人余りの新規の労務需要があるわけでございます。この新規の労務需要の確保というのは、いまおっしゃいますように、確かにこういう東京の地域と違いまして、労働供給のエリアがやや大阪は関東と比べて少ない関係で、非常にむずかしいとは思っておりますが、一つは大阪府下におきまして、万博専門のための職業安定所をつくりまして、そこで広域職業紹介をとにかく展開をしていただく。この広域職業紹介といたしまして、二十四の府県に労務の供出目標というのをつくってもらいまして、それからひとつ大阪の万博に労務者の供給をはかるというふうなことで、現在はその二十四の府県に労務協力員というのが設置されてございます。ただ、まだその労務につきましては、残念ながら二十四の府県に供出目標数までの設定の段階にまでならぬのでございます。といいますことは、関連公共事業につきましては、従来からの経験もございますので、ある程度従来のベースにおいて見通しはつくわけでございますが、問題の会場内につきましては、若干全般的なおくれがございます関係で、どの時点において、どういう職種の業種を、どの程度必要であるかということが完全に把握できないのが現状でございます。したがいまして、この点につきましては博覧会協会を通じまして出展者全員に呼びかけまして、できるだけ労務の安定的確保をはかるという意味において、将来のこういったかなりこまかい見通しを各出展者からいただき、それをもとにいたしまして二十四の府県からの労務の供給を受けたいというふうなことで考えておる次第でございます。その他、労務のそういった他府県からの確保のためには、住宅の問題がありますので、雇用促進事業団の資金によりまして、四十三、四十四年にわたり、一万戸の簡易住宅を建設するというふうな考え方を現在とっております。ただ、先生ただいまもおっしゃいましたように、その一万戸の簡易住宅をどの地域にどういうふうな形でつくるかということは、これが先ほどの話のように、おかしな形でつくりますればその地域に定着してしまうおそれもある。かといって、あまりこれを分散いたしますれば、労務管理上にも非常に問題が起きる。また建設途上においていろいろな社会的な問題も発生するというふうな点もございまして、現在大阪府の労働部を中心にいたしまして、どういう形においてこの一万戸の住宅をどういうふうに分散的につくることが適当であるかということを検討しておる段階でございます。間もなくそういった現地での結論が出るのではなかろうかというふうに考えております。

 それからまた労務のいろいろな厚生関係の点につきましては、大阪府におきましても、単にそういった労働宿舎だけではなしに、福利厚生施設をつくるというふうなことで、すでに大阪府といたしまして予算も確保して、現在建設業者の団体と、どういう形のものをどの程度つくるか、また建設業者からの協力をどういうふうに受けるかということの話し合いが進められております。

 それから労働の災害問題でございますが、これはもう確かにオリンピックの際もかなり工事が集中いたしました結果、災害が発生しております。したがいまして、こういった労働災害を防止いたしますために、労働基準監督署の分室を会場の中に設置して、そうして現地においてその監督を十分に徹底さし、かつまた不幸にして生じた場合には、会場内におきまして臨時診療所をつくるといろふうな形で、これは大体ことしの七月ころから協会のほうでもそういった態勢をつくるというふうなことで話を進めております。

 以上でございます。

 

○椿繁夫君 労働災害防止のため、一時的に、しかも急速に集中される労務管理、それから労働基準法の完全な適用などのために基準監督署の分室を会場内に設ける、それはもう話ができておるのですか。

 

○説明員(橋本徳男君) はい、できております。