58-参-大蔵委員会-16号 昭和43年04月18日
昭和四十三年四月十八日(木曜日)
午前十時三十一分開会
本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、控除は基礎控除だけではございませんで、給与所得者であれば給与所得控除がございますし、夫婦であれば配偶者控除がある、そういうことで各世帯に応じて控除ができておるわけでございます。基礎控除だけの適用があるという例はきわめて少ないと思いますが、この基礎控除は、御承知のとおり、一般的な観念からいえば、いわゆる最低生活に食い込まない前提に立っていると思いますけれども、これは全体としての世帯ごとの課税最低減として具体的には実現する問題でございます。そういう意味では、十六万円の基礎控除というものをそれだけ取り出して抽象的に生活に十分であるかどうかということは、各世帯別に課税最低減としてお考えを願えばいいのではなかろうか、かように思っておる次第でございます。
○戸田菊雄君 諸外国では、従前から、基礎控除、扶養控除、こういったものについては大体同額の体制をとってこられたと思うのです。日本の場合は、四十三年度で初めてそういう体制を一応つくられた。どちらも十六万円ということになりました。しかし、いまの実際総理府あたりでいろいろ生活統計その他をとっておりますが、生活保護基準以下になっておるのじゃないかと思うのですね。たとえば山谷、釜ケ崎、ああいうところへ行けばボーダーライン層といわれる人たちが生活している。こういった生活内容を調査しただけでも、優にこの基礎控除をこえているんじゃないか、あるいは扶養控除の金額というものをこえているんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、そんな低い控除額に日本の税制というものはあるんじゃないかと思うのですが、この辺の見解はどうですか。
○政府委員(吉國二郎君) 控除額が毎年引き上げられてまいりましたことは御承知のとおりでございまして、現在諸外国の控除を見ましても、わが国の控除は、ことしになりますと、大体近代諸国に追いついてきておると私は思っております。結局給与所得者の子三人の計算でまいりますと、一番高いのはアメリカで、百三十万円程度になっておりますけれども、ドイツが八十八万円程度、また、イギリスは、これはポンドの引き下げの関係もございましたが現在七十八万円程度になっております。大体しばしばいわれます百万円程度のところまでいけばほとんど世界の水準に達しておると思いますし、ことしの八十三万円という数字も、ほぼ現状から申しますと各国並みに近づいてきておると思います。ことに一人当たり国民所得がほかの国よりもだいぶ低いことを考えますと、かなり高いところまできておると私は思っております。