58-参-予算委員会第三分科会-1号 昭和43年04月10日
昭和四十三年四月十日(水曜日)
午前十時十九分開会
本日の会議に付した案件
○主査及び副主査の互選
○昭和四十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○昭和四十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○昭和四十三年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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〔年長者梶原茂嘉君主査席に着く〕
○戸田菊雄君 私の聞いているのは、世帯居住の間数、面積ですよ。その割合を聞いておる。
○説明員(三宅俊治君) その戸数の中の平均の畳数というものは大体七・三畳が平均になっているわけでございます。
○戸田菊雄君 民間アパートの間数の平均は、確かにいまおっしゃられたとおりだと思います。ひどいのになりますと、四・五畳に住んでいるという、一世帯ですよ。これは厚生省発表で標準世帯数で四・八人ということになっておりますが、これが四・五畳に住んでいるものが五三%、それから六畳一間に居住しておられる人が二二%、それから便所共用が八〇%になっているのですね。浴場の設備のないものが九五%、ほとんどないのですよ。こういう、いわば貧困居住状況なんですね。ですから、全く私はスラム街に住んでいるという、いわば山谷や釜ケ崎のような、ああいう生活というものは一般世帯の中にもずいぶん持ち込まれている、数多く。そういう住宅難に悩んでいる人が一ぱいいるのじゃないか、こういうように考えるのですよ。だから、こういう問題について、政府は少なくとも、四十一年の五十二国会でございますけれども、ここで新五カ年計画というものを立てたわけでありますが、この実施状況ですね、これは一体どういうふうにいっていますか、予定どおり進んでいますか。
○説明員(三宅俊治君) 五カ年計画の実施状況でございますけれども、一応、昭和四十三年度計画の分が達成されると仮定いたしましての計算でございますけれども、公的資金による施策住宅、これで大体達成率五〇・一%、民間自力建設を合計いたしまして五二・八%ぐらいの達成率になるという計画を立てておるわけでございます。
○戸田菊雄君 これは私のいろいろ調査をしました調査でありまするが、時間がありませんから、こちらで読み上げますから、もし間違いがあれば訂正していただきたいと思いますが、四十二年度の政府施策の住宅建設戸数、これは国庫補助住宅、中身は第一種、第二種公営住宅、第一種の場合は四十一年度で二万八千八百戸、四十二年度が三万二千四百戸、比較増が三千六百戸ある。倍率で一・一三、第二種は四万三千二百戸、四十二年度は四万八千六百戸、比較増が五千四百戸、倍率において一・一三、合計七万二千、八万一千、九千、倍率で一・一三、こういう結果になっているわけです。もう一つ重要なことは、公団住宅で、賃貸住宅が三万二千戸、四十二年度が三万六千戸、それから比較増において四千戸である。倍率で一・一三、分譲住宅が二万一千、四十二年度が二万五千、これも同じく四千増で倍率が一・一九、まあこういうことになっていると思うのでありますが、こういう状況で進んでいったのでは、私は少なくとも新五カ年計画でやるこの七百六十万戸ですか、この建設は非常に計画が危ぶまれている、こういうふうに考えるのですが、その見通しは、大臣、どうですか。
○国務大臣(保利茂君) この住宅水準がいいか悪いか、これはしばらく別として、民間期待の五カ年計画の中に取り入れております四百万戸というのは、それにもかかわらず、建設意欲というか、民間の住宅建設戸数は予定よりも幾らかオーバーしているという状態でございます。政府施策住宅二百七十五戸、この進み方は多少こうでこぼこはあります。たとえば公営住宅にしても、公営住宅の建設戸数はまあ四十三年度になれば五四、五%になるのじゃないか。しかし、同時に、このスラム街の解消といったような改良住宅のほうの進み方が四九%何がしということで、五〇%に満たない。しかし、おおむね五〇%、やっとこさっとこのところまではこぎつける。そうすると、三年で五〇%、あと二年しかない。四十四年、四十五年度ではたして二百七十万戸の期待が達成できるかどうかということについては、危ぶまれる方は相当あるわけであります。予算委員会等においてもしばしば御論議をいただいたところでございますけれども、これは戸田委員よく御承知のように、こういう中長期の計画というものは、扱い方からいたしまして、後年度にウエートがかかってくるということからいたしまして、財政当局も――政府全体といたしましてもそのとおりでございますが、財政当局もよく理解いたしておりますから、あと二カ年、四十四年、四十五年をもってして必ず達成しなければならぬ。と申しますことは、先ほど申しますように、何とかこの住宅の不足感、欠乏感、それで事は済むというわけではない、またおそらく四十五年、六年度から新しい五カ年計画でも策定をしていかなきゃならぬことはわかっておるわけでありますけれども、とりあえず、とにかくこのただいまの五カ年計画を達成すれば、何とか困難に悩んでおられる住宅の不足感、欠乏感から解放せしめることができるんじゃないだろうかという期待をかけておるわけであります。しかし、何さま人口の分散計画もはかられなければなりませんけれども、また世帯の細分化というものは予想以上に激しい、それから住宅需要が起きてくる。何とか人口集中を抑制しようという意図にもかかわらず、やっぱり東京、大阪に人が寄って来られる、そこで新しい住宅需要が起きる。したがいまして、相当本格的に住居条件を改善してまいるという、私どもの念願するよりよき住宅ということには、多少それには年月がかかろうと思いますけれども、まずもって、とにかく一応五カ年計画を達成すれば、御不満は御不満ながらも、どうなりこうなりというところまでこぎつけるのではなかろうか、それは何としても達成しなければならぬということは、しばしば政府全体として言明も、国会で約束もいたしておるのでございまして、達成いたすべく最善の努力をはかってまいるつもりでございます。そうすることによりまして、先ほど来御懸念、御心配、御指摘のございますこの民間住宅の住居水準の低劣な――いまそう言っちゃおれないから、しょうがなくそこへ入っておられる。いや、こんな家にはおれぬということになってまいりますというと、民間住宅のほうも当然改善されてくることは、住居者、需要者のほうに選択の自由が得られるようになってまいりまするから、買い手の自由に動かされてくるというようなところに早くこぎつけなければならぬというふうに思っております。
○田代富士男君 じゃ、その問題につきましてもすみやかに実現してもらうようにお願いをしておきたいと思います。
時間がありませんから、次の問題に移りたいとと思いますが、いま国鉄としましても第三次計画の一つに入っておりますが、最近の人口の移動というものは大都市周辺に集まってきております。いま論ずるまでもありません、いま話しがありましたから。まあ、ほとんどというものが、ドーナツ型の現象を呈しておりますが、朝夕のラッシュのときの輸送というものは、これはたいへんな輸送です。私も、この前、城東線にも乗ってみました、大阪で。どの程度の混雑であるかということも実地に見てみましたら、これはたいへんなことです。これに対して、運輸省も国鉄もいろいろ施策を講じていらっしゃると思いますし、おそらく輸送というものは限度に来ていると言っても過言でないじゃないかと思うのです。まあ、そうこうしまして、一番その状況のひどいのが東京中心と京阪神の関係じゃないかと思うのです。そこで、第三次計画を見てみますと、東京付近には五千八百億円の予算をつぎ込みまして今度の対策を講じようとしていらっしゃる。まあ、五千八百億を国鉄がお出したなられた計算でいきますと、一人当たり四十万円の負担がかかるのだ、これが今回定期料金値上げの一つの国鉄の言い分でございましたが、そのような金をつぎ込んで東京周辺の通勤の過密化の解消をはかっていきたいという趣旨はよく私たちも聞かされてまいりました。もちろん、東京の中央線にしましても、総武線にしましても、山手線にしましても、営業係数からいくならば黒字の線でございます。高崎線にしましても、東海道線にしましても。ところが、大阪の場合を考えますと、東海道線、山陽線は営業係数は黒字でございますが、大阪の内環状線の場合はいま工事が終わったところであります。まあとんとんと言うより、以下というような状態じゃないかと考えておりますし、そこから出ております片町線あるいは阪和線に至りましては、営業係数は赤になっていることは御承知のとおりだと思いますが、この二つを考えますれば、東京はこれだけの予算をつぎ込んで対策を講ぜられた。ところが、大阪の場合には、対策を講じていると言われますが、この比重の面においては、地元の声を聞きますと、国鉄は何だ、何ら対策を講じていないじゃないか、地域住民の声を聞きますと、片町線の通勤者、あるいは阪和線の通勤者の声を聞きますと、ひどいです。定期料金値上げをやったときなんか、たいへんなことです。私はじかに聞きました。天王寺の駅において、あるいは京橋の駅において片町線の人々に、天王寺では阪和線をおりてきた人に聞きました。阪和線や片町線に送られてくる車両というものは新車が入ったためしがないじゃないか、全部古い車ばかりじゃないか、何ももうからないと言うかわからぬけれども、そうして定期を上げるとは何事だ、運輸省、国鉄は大阪に対してどういう考えをしているのだ、そういう損益採算で考えていくような、そういう運輸行政はけしからぬというような、――ほかにもいろいろな声がありましたが、代表の声を一つあげるならば、そのような声がございましたが、こういう過密化に対する対策を講じていらっしゃると思いますが、特に大阪周辺の通勤、通学のこのような過密解消のためにどのようにお考えであるか、対処しておいでになるか、その点をお聞かせ願いたいと思うのでございます。
○説明員(仁杉厳君) 大阪付近におきましても、決して通勤輸送をないがしろにしているわけではございませんが、ただいま先生から御指摘がございましたように、東京付近の込み方は非常に激しいものでございますので、それに比較しますと、やや見劣りがするというような感じがないでもございません。その点につきまして具体的に申し上げますと、東海道本線では、いま非常に困っておりますのが草津から京都の間、これは複々線の工事をただいま鋭意進めておりまして、四十五年の春にはでき上がるというつもりでおります。それから、ただいま先生から御指摘がございました内環状の問題でございますが、これは天王寺−今宮間が関西線と一緒になっておりまして、線路容量がないというので、ただいま鋭意天王寺−今宮間の線増をいたしております。ただ、この辺は御承知のように、釜ケ崎の近くでございまして、多少用地買収に手こずったようでございますが、大体ことしじゅうに何とか解決をするというようなことで進めておるわけでございます。それからもう一つ、この環状線で問題になりますのは、編成両数の増加の問題でございまして、これも八両にするという計画を持っておりますが、これがいろいろ資金の事情で多少おくれておりますが、もうじき着工いたしまして八両運転に直してまいりたいというふうに考えております。それから片町線では鴫野−四条畷間につきましては、ただいま単線でございましたものを複線に直すという工事を鋭意進めております。この片町線につきましては、そのほかに、まだ計画が具体化しておりませんが、もう一つ福知山線の塚ロ−宝塚間の線増複線化がございますが、これと結びつけるような地下鉄をつくりたいということで、総裁から昨年に大阪市長にお願いをいたしまして、東京でやっておりますように、国鉄と地下鉄との相互乗り入れ、これが福知山線から大阪市の地下鉄を通りまして片町線に抜けて、それが四条畷のほうに行くというようなことを考えておるわけでございます。それから大阪外環状はいろいろ問題がございまして、まだ着工しておりませんが、先ほど先生からお話がございましたいろいろ踏切等の問題もございますので、今年度から踏切除却というようなことを頭にまず置きまして、前向きに検討をしてまいりたいというふうに努力しております。それから山陰線につきましては、京都−園部の間におきましてやはり同じような問題がございまして、複線にしなければならないというのでございますが、これも大体事務的な話が煮詰まってまいりましたので、ことしから前向きに取り組んでまいりたいというふうなつもりで努力をいたしておるわけでございます。
以上簡単でございますが、具体的にお答えいたしました。
○田代富士男君 私が申し上げたいことは、いまの御説明を聞きましても理解できましたが、なぜこのように大阪の問題を強く取り上げるかと申しますと、御承知のとおりに大阪は昭和四十五年に万博を控えております。いまの推定人員は一日に最低十七万、最高四十万の入場者が予定されております。そのような大ぜいの人々をやはり整理するには、交通問題というものが一番ひっかかってくるのではないかと思うわけであります。そうした場合に、この十七万、四十万の人を運ぶために、大阪市におきましては大阪府と協力いたしまして、この交通事情対策として地下鉄の建設、道路交通網の整備等、いま全力をあげております。それに対しまして、やはり万博というのは国をあげての一つの事業でございます。これはやはり各省が最高の技術、最高の英知をしぼり、そうして各省が団結をしてこれを成就していかなければならないと思うわけです。それに対しまして現在通勤通学だけでもこれだけの状態であるのに、万博を控えてどうなるであろうか。そこで地元はやはり現在大阪市の事情を考えてみますと、大阪市の衛星都市、すなわち万博が開かれるのは吹田市でございます。衛星都市の吹田市、それから東大阪市それから大阪の東の方向ですが、旭区、都島区、城東区それから東住吉区、こういうところの人口というものは、市役所の調べによりましても、どんどん大阪の区の中で一番伸びております、全部の人口というものは。どうしてもここにおきまして、何とかこれらの人々がスムーズに安全に輸送されるのにはどうすればいいか。それには外環状線という声が出ております。これは新線建設と違いまして、新線建設の場合にはそれぞれの審議会を経なくてはなりませんが、すでにいま貨物線が走っているわけです、城東貨物線が。その城東貨物線がすでに走っているその線路に対して、客車を走らせてもらいたい地元の要望でありますし、万博を控えるならば当然のことじゃないかと思います。言うならば、いま運輸省としましては、新線建設に対して赤字覚悟の上の新線建設をやっているところもあります。私はこの前岩目線の問題を取り上げました。営業係数も七四〇という赤の営業係数です。そういうところの地域開発のためという大義名分ですが、それであるならば、地域開発のためあるいは地域住民のためと言うならば、こういう万博を控え、国家的事業をスムーズにするためにも、あるいはそういう国土資源あるいは人口の密度を考えるならば当然であります。土地の買収等につきましては、もう少し努力をするならば、これは見通しがついております。たとえば、いま総武線のあのような複々線化が準備されているのに、新線のためには四割強の土地代だけの費用がかかっていると聞いております。山手線は、当時建設費用の中で土地代は一割そこそこであったということを聞いておりますが、城東線の場合は、新線建設で悩みになっている問題等は、これはもう削除してもよいくらいの状況になっているわけです。地元からも要望が強い。これは私一番最初に申し上げましたとおりに、地元の声というものを反映さしていかなくちゃならない。もちろん、全部の声を聞くというわけにはまいらないと思うわけなんですが、地元としても熱意を示しまして、昭和三十九年には六億の利用債も大阪市と大阪府が負担しまして、何とか実現しようと努力しておりますが、そのままになっているわけです。これに対して、万博を控えまして、万博に対しまして運輸省は協力をするのかしないのか。どういう面で協力をしていくか。地元は地下鉄の建設、道路整備をやっているのに対して、運輸省はどのようにして対処していくか。その点の御見解を運輸大臣からまずお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 運輸省は万博完成のためには全面的に協力しようと思っております。そのために万博会場に至る新しい鉄道すら建設するようにいま努力しておる最中でございます。ただいまのお説の路線がそれに対していかなる意味を持っているか、私はまだ技術的によく承知しておりませんので、その辺は責任者に答弁させることにいたします。
○政府委員(増川遼三君) 大阪中心の都市圏につきましては。大阪市営の地下鉄六路線九十九キロ及び神戸高速鉄道の二路線七・八キロと、こういうものの整備を現在着々と進めておるわけでございます。かつ、これと接続いたします各施設の整備も都市交通審議会の答申の線に沿い、現在第三次輸送力増強計画に踏み込んでおる次第でございまして、これらが大体昭和四十五年度には大部分が整備を完了し、四十六年度ぐらいにはほとんどの答申の線に達し得るのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。また、ただいま大臣の申されましたように、万博に対しましては特別に北大阪急行という会社もつくりまして、これは地元の大阪府、それから大阪市あるいは阪急等の資本が入りまして特別な会社をつくりまして、万博輸送に対しましては万全を期しておるわけでございますし、また、阪急線の増強ということも行なわれております。また、関係国鉄の各線につきましても、それぞれ万博当局とも打ち合わせをいたしまして、輸送力増強並びに設備の改善あるいはサービスの向上という点から万全の対策を講じておる次第でございます。
○説明員(仁杉厳君) ただいま先生からお話がございました大阪環状線でございますが、これを万博までにというお話がございました。この線はもう二十数年前からのいろいろ御要望のある線でございまして、われわれも三次計画の中で何とか実現をしたいというような考えを持っておりましたのですが、全般的な資金の関係もありまして、とても万博までには間に合わないということでございます。しかし、先生からさっきお話しがございましたように、三十九年度、四十年度には六億の金でもって大阪府内の用地売収をやり、さらに昨年、ことしにかけまして吹田市の区画整理と相まちまして土地売収を行ない、実際には昨年まではできませんで、本年度あたりになるかと思います。そういうような具体的な歩みがございますが、ただ現在の単線のままで電車輸送をするということは非常にむずかしいということで、電車で旅客輸送をするためには複線にしなければならぬというふうに考えております。ただ、複線にいたしました場合、たとえば加美から放出の間のような所は、これはただいまのところ、先ほど先生から踏切のお話がございましたが、これを単に踏切を二線分にふやすというかっこうでは、ちょっと都市の発展から申しましても、踏切事故の防止の面から申しましても、非常にむずかしいというふうに判断をいたしております。実は今年度から、できますれば加美−鴫野放−出加−美間ぐらいにつきましては、まず現在の線を上に上げるという作業を始めまして、それに引き続いて複線化をするというような段取りで仕事を進めてまいりたいと考えまして、ただいま前向きに検討を始めておる段階でございます。
○田代富士男君 もう時間があと五分だという連絡が来ておりますから、肝心かなめのところで時間が来て、なんでございますが、いま第三次計画の中では何とかやっていこうと努力したけれども見通しが立たないし、万博までには間に合わないというようなことでございますが、まあ考えてみるならば、この地域は、北のほうから行けば、大阪の交通というものは、東西には非常に便利でございます。京都−大阪間は、国鉄あり私鉄は京阪がございます。そして、片町線が東に延びておりますし、近鉄が延びておりますし、近鉄だけでも二、三本延びております。このように東西の線は非常に便利なんです。ところが、都市部に入ってから、北のセンター、南のセンターに行くのにはたいへんなんです。この新大阪から杉本間の環状線ができますならば、住宅、アパート、公団住宅はじめどんどん建っておりますが、これはよその、まあこういうことを言えば差しさわりがあるかもわかりませんが、赤字路線を建設する地域があるならば、価値論の上から判断して、これは当然黒字になることはもう目に見えております。もうこれは時間がありませんから数字はあげません。次回に譲りたいと思いますが、だから、優先的にやはり赤字を何とか解消しようとして経営に悩んでいらっしゃる国鉄当局であるし、運輸省としても、そのような地域開発のため、あるいはそういう過密交通の解消のためにも努力しているならば、一番先に私はやるべき問題じゃないかと思いますが、とりあえず、杉本町までできないとするならば、いま申されました加美までということでございますが、土地の問題は加美の周辺だけが残っているということを聞いております。あとはほぼ見通しも立って、土地の問題がその点だけだということでございますが、加美の近くには、御承知のとおりに、操車場もございますし、いろいろまだ検討する余地等が多々あると思いますが、何としてでも、東大阪のふくれ上がった人口に対しまして、あるいは東西に対して便利、南北に対する交通機関というのは吹田から八尾へ走っている国鉄のバスだけでございます。このような大都市圏における南北の交通は、国鉄のバスだけに、一日十何本の国鉄バスにかかっていると、こういうばかげたことはないと思うのです。だから、何としてでもことしじゅうに加美−放出間の線路を上げる作業にかかると、そういうことでございますが、ことしはそうでございますが、何としてでも万博まで、すべて大阪の地下鉄とかそういう道路、そういうものが整備されているときに、この外環状線ができるならば、機能というものは倍加されるのじゃないかと思うわけなんです。まあそういうわけで、それぞれの国鉄の方針もあるかと思いますけれども、できないときめつけずに、まだ、一応現時点ではそうであるけれども、四十三年度の中においても新線建設の赤字線と見比べて、そうしてまた、こちらよりも、国家的施策の上から、万博という大きな問題を控えて、新線を阪急と連絡をしまして新大阪駅から向こうにつくるということも聞いておりますが、それよりももっと大事なのは外環状線じゃないかと思うわけなんです。ただいま成田の問題も言いましたが、できないときめつけてしまったならば、もうできるものじゃありません。何とか努力していこう、万博という国家的事業のためにはそのような機能を発揮していこう、それが大阪の通勤者あるいは通学者のための益を与えることになるというならば、これはより以上の効果あらしめることにもなるのじゃないかと思うわけです。そういうわけで、私は大阪のことだけを取り上げるわけじゃありませんが、国鉄全般の上から、赤字解消のためから言っても、黒字線となるべき線は、そのように建設していくのが赤字解消の一環にもなるのじゃないかと思うわけなんです。そういう面に対しまして、ただ単にそのようにできないときめつけずに、それじゃ見通としてどのくらいになるのか、あるいは鋭意努力していくならば、どの程度まで進んでいくのか、ひとつ時間もありませんから、大臣並びに関係当局の方からお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大阪の外環状線は、大阪全般から見れば確かに必要であると思います。ただ、どの程度の工事量を、国鉄予算との関係において、つぎ込むかということは、国鉄にまかしてやらせたいと思っておりますが、よく検討してみたいと思っております。
○説明員(磯崎叡君) 城東貨物線の電化複線化につきましては、大体総工費は約二百五十億でございます。私どもといたしましては、先ほど来お話しのいろいろなことを、通勤輸送あるいは保安対策等、いろいろな方面に金を使うことが多々ございまして、とにかくことしの秋には一応の仕事のめどをつけたいということでやっておりますが、四十四年度以降が第三次長期計画の後半になります。そのときに今後の資金の獲得なりを現状でどう取り上げるかという問題を、実はいま検討している最中でございます。ただ、いま先ほど仁杉が申しましたとおり、非常に現在の国鉄の予算状況、あるいは緊急を要する、たとえば大阪付近でも通勤輸送の直接のほうに非常に金が回りますので、なかなかむずかしいということを申し上げたわけでございます。私どもも何もここを捨ててしまったわけではございませんが、とにかく複線電化ということは、当然高架化を伴うものであります。それで、高架化の問題と先ほど関連があると申しましたのは、その点でございまして、高架化の問題が片づいて、そうして建設省がもう少し税金からこれを出してくれるというようなことになりますれば、この問題の進捗はもう少し早くなる、こういうふうに考えておる次第であります。
○田代富士男君 いまの問題につきましては、また次回のときに質問したいと思いますが、大体の見通しとして、万博まで努力するならばどの程度までできるかという、言いにくいことじゃないかと思いますが、その一端でもちょっとお聞かせ願えたらいいと思うのですが、お願いいたします、これで終わりますから。
○説明員(仁杉厳君) まことに先生のお説に、御期待に沿えないのでございますが、物理的に申しまして、万博まであと二年でございます。非常に急ぎましても、高架化の一線ができるかというような程度でございまして、複線までは至りかねるというのが実情でございます。