58-衆-予算委員会第三分科会-3号 昭和43年03月14日
昭和四十三年三月十四日(木曜日)
午前十時三分開議
本日の会議に付した案件
昭和四十三年度一般会計予算中労働省所管
昭和四十三年度特別会計予算中労働省所管
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○島本分科員 これは現在の状態を見ます場合には、私は残念ながら、失対で一生懸命に働いている人が、生活保護法の適用を受けている人よりも、この方面は全然下がっているというこの事実はどうしても理解ができないのであります。いわゆる冬季加給金、こういうようなものについても、四十年には、厚生省のほうでは、これは失対賃金ではございませんけれども、生活保護法の適用を受けている人に対しては厚い手当てをしているわけであります。労働省ですから、ここでは資料をもって申し上げますので参考にしてもらいたい。一人につき、四十年には三千百九十五円、四十一年には三千五百五円、四十二年には四千三十円、四十三年には四千四百七十円、こういうように見ているんです。しかしながら、この算定の基礎はあります。百一円に対して、甲、乙、丙、丙は北海道、こうなります場合には、二百五日分をかけて算出している。ところが現在、残念ながら八十円に対して百三十二日分しかこれは加算きれない。これだったら、失対でなく生活保護法の適用者、この人よりも現在失対現場に働いているこれらの人が、なおこういうような寒冷地石炭手当のほうになると全然下がっているということは、これはやはり矛盾じゃございませんか。そして当時から、三十七年ほどから年々これを上げていく約束であったわけでございまして、百八十円をめどにこれをやる、こういうようなことであったのです。ところが、こういうような状態で足踏みをしておる。こうなれば、相当この問題に対して対処するのでなければならないと思うのでありますけれども、大臣、この点はどうも数字の上から見ても、保護法の適用を受けている人よりもぐっと実態は下である、これは認めるわけにまいらぬのです。
〔登坂主査代理退席、主査着席〕
○小川国務大臣 御意見の御趣旨はしかと拝聴いたしました。ただ、申すまでもないことでございますが、生活保護と失対賃金、これは制度のたてまえが違っておるわけでございまして、これを直接対比するということには若干の問題があろうかと存じます。ただ、御趣旨はよくわかっておりますので、実際問題といたしましては、生活保護における冬季加算あるいは薪炭費の支給の状況ということも考慮の中に入れまして検討をいたしたいと存じます。
○島本分科員 それではこの問題はこれで終わらしてもらいたいと思いますけれども、考慮するということは現在のような状態ではない、これより前向きに上げる方向で考慮するという意味に解釈して次に移りますが、その点、ひとつだめ押しをきしておいてもらいたいと思います。
○小川国務大臣 これが逐年引き上げられてまいりまして、近年ストップしておるということは御指摘のとおりでございます。今後引き続いて何かの措置が講ぜられないものかどうか、まじめに研究をいたしまして、むろん前向きの姿勢で努力してみたいと存じます。
○島本分科員 前向きの姿勢ですから、おととし、去年のような並行した状態でない。その以前には上に向いて上がっておったのですから、前向きというのはこれは並行ではなく、上に上げる方向に向かって進む意味だと解釈しておきたいと思いますが、あんまりたいしたことは要りませんが、そうなのかそうでないのか、それだけはっきりさせておいてくだきい。
○小川国務大臣 この場で、次の機会に必ず引き上げますというお約束もいたしかねるわけですが、文字どおり前向きの態度で研究いたしますということはお約束いたします。
○島本分科員 やはり失対二法を改正したその当時の状況からいたしまして、中高年齢層の人が意外に多い実態からして、その職業訓練、その方面に重点を置く、こういうようなことになっておりました。雇用促進事業団の内容と実態、それからその後の訓練状況について御発表を願いたいと思います。
○小川国務大臣 この中高年の雇用促進のための現存のいろいろの制度については、島本先生はことごとく御承知と存じますけれども、政府委員から概略のことをお耳に入れて、今後の方針等についても説明をいたさせます。
○有馬政府委員 事業団の事業のおもなものについて概略申し上げますが、事業団は、御承知のように訓練所とその他の援護業務、福祉施設、こういった仕事をやっておりますが、現状におきまして訓練所が総合訓練所をはじめとしまして六十九カ所、それから移転宿舎が今日までの実績におきまして四万七千百七十戸、これは来年度さらに港湾関係が、福祉センターが十二カ所、来年はさらに三カ所増設いたします。それから出稼相談所が本年度二カ所設置されましたが、来年度一カ所、これは北海道の札幌に予定をしております。それからあと大きなものだけ拾いますと、大阪の愛隣地区に日雇い労働者専用の福祉センターを一カ所、今年度の予算で目下執行中でございます。そのほか、石炭の離職者に対しましては各種の援護措置を講じておりますが、来年度の援護の状況を申し上げますと、移住資金の支給予定者が二千五十三名、それから住宅確保のための各種の奨励金がございますが、これも全数で申しますと千六百七十八戸分、こういった内容になっておりまして、先生御指摘の三十八年度当時と比べますと、業務内容が格段の拡充をしておるというふうに考えております。
○島本分科員 その中で失対労務者の数は、――これはほとんどが老齢化しております。その中高年齢層の失対労務者を職業訓練によって吸収し、転業さした、その数がはっきりしておりましたら、御発表願いたいと思います。
○和田(勝)政府委員 お答え申し上げます。
三十八年の十一月以降におきまして、三十九年が二千四百十三、四十年が六千五百九十三、四十一年が七千七百五十五、就職率は、平均をいたしまして約九五%でございます。