58-参-社会労働委員会-2号 昭和43年02月29日

 

昭和四十三年二月二十九日(木曜日)

   午前十時二十六分開会

    ―――――――――――――

 

  本日の会議に付した案件

○理事の辞任及び補欠互選の件

○労働問題に関する調査

 (労働行政の基本方針に関する件)

 (昭和四十三年度労働省関係予算に関する件)

○社会保障制度に関する調査

 (厚生行政の基本方針に関する件)

 (昭和四十三年度厚生省関係予算に関する件)

    ―――――――――――――

 

○委員長(山本伊三郎君) 次に、昭和四十三年度厚生省関係の予算について調査を行ないます。

 政府の説明を聴取いたします。高木会計課長。

 

○政府委員(高木玄君) お手元にお配りしてございます「昭和四十三年度厚生省所管予算案の概要」という資料に基づきまして御説明を申し上げます。

 厚生省の昭和四十三年度の予算額は七千六百八十六億七千五百万円でございまして、これに対する前年度補正後の予算額は六千八百十三億三千三百万円でございます。なお、この前年度予算額はそこに書いてございますように、比較上四十三年度予算と平仄を合わせまして、国立療養所関係経費が国立病院特別会計に移行していたものとして計算いたしてございます。そういたしますと、対前年度増加額は八百七十三億四千二百万円であり、対前年度伸び率は一一二・八%でございます。国家予算の伸び率が一一一・八%でございますので、それを一%上回る伸びになっておるわけでございます。なお、厚生省予算が国家予算に占める割合は一三・二%でございます。

 次に、内容に入って御説明申し上げます。

 まず、保健所対策費は六十二億二千六百万円を計上いたし、前年度対比六億九千九百万円増額でございます。

 備考欄の運営費のところで職員が二万二千六百二十六人から二万二千四百五十八人に減少いたしておりますが、これは、国家公務員につきまして三カ年間に五%削減するという方針に対応いたしまして、補助職員につきましても一%削減することによりまして二百二十六名の減があるわけでございますが、四十三年度じゅうに三カ所新設いたしますために五十八人の増員が認められ、差し引き百六十八人の減員となっておるわけでございます。次に、人件費単価につきましては、職種別に給与の格づけを改めております。医師等職員について見ますると、ここにございますように、年額百八万九千五百六十円が百三十一万二千七百六十一円というふうに二〇・五%の引き上げをはかっております。これは各職種についても同様でございますが、昭和四十五年度までに三カ年間に超過負担を解消しようという趣旨による増額でございます。

 次に、施設費につきましては、新設三カ所、改築三十二カ所、ほぼ例年並みに計上いたしておりますが、保健所の建物につきましては、戦前あるいは戦後間もなくつくった老朽した施設が建てかえを要するような状態にあるものが相当多くございますので、これらの施設の整備の促進をはかりますために、四十三年度からは保健所の施設整備費は特別地方債の対象といたすことにいたしておりまして、これによって整備の促進をはかる予定でございます。

 次に、ガン対策費は二十六億七千万円計上いたしておりまして、前年度対比九千万円の増額で、内容はほぼ前年度の横ばいでございます。

 次に、精神衛生対策費は二百五十一億九千百万円でございまして、前年度対比二十六億九千四百万円の増額でございます。これは主として医痛費の伸びによるものでございまして、特に措置入院患者につきましては前年六万九千人を七万二千人と三千人ふやして計上いたしております。

 次に、三ページに参りまして、原爆障害対策費でございますが、四十五億四千百万円計上し、前年度対比十七億三千万円の増額でございます。

 特に備考欄の(3)の手当でございますが、まず医療手当、これは従前から認定疾病患者でございまして現に医療を受けておる者に対しまして医療手当が支給されておったのでございますが、その月額単価がいままで受療日数によりまして千七百円と三千四百円というふうに二段階に分けられておりましたのを、ごく受療日数の短いものを除きそういった受療日数による差をなくしまして、一本にいたしまして五千円に増額いたした次第でございます。

 それから新規に健康管理手当を計上いたしております。これは、特別被爆者のうち、厚生大臣の定める疾病、たとえば造血機能障害とか肝臓機能障害、こういった厚生大臣の定める疾病に罹患しておる者でございまして、六十五歳以上の老人であるとか、身体障害者、母子世帯に対しまして、月額三千円の手当を支給しようとするものでございます。

 次に、特別手当、これも新規でございまして、これは認定疾病患者に対しまして月額一万円の特別手当を支給しようとするものでございます。この健康管理手当と特別手当の二つは、生活援護的な手当でございます。

 さらに、新規といたしまして介護手当、これは、認定疾病患者、それから厚生大臣の定める疾病に罹患している特別被爆者でありまして、介護を必要とする状態にあり、しかも現に介護のために費用を支出している者に対しまして、月額九千円の範囲内で介護手当を新たに支給しようとするものでございます。

 それから次の原爆病院設備整備費は、広島、長崎の原爆病院の診療機能向上のための設備の整備の費用であり、次の原爆被爆者保健福祉施設費は原爆被爆者のうちの老齢病弱者、あるいは老齢単身者、あるいは小頭症患者、こういった方々を収容保護するための六カ所の被爆者養護ホームの設置運営の経費でございます。

 次に、結核対策費は三百八十三億七千八百万円計上いたしまして、前年度対比三十二億七千万円の増額であります。この増額のおもなる内容は医療費の伸びによるものでございますが、五年ごとに結核実態調査を実施してまいっておりますが、前回が三十八年でございますので、四十三年度におきましてこの全国実態調査を実施いたす予定にいたしております。

 次に、日本脳炎特別対策費でございます。これは前年度予算に対比いたしまして四千万円増額いたしておりますが、その内容は、備考欄にございますように、特に子供につきまして、いままで三歳から十二歳までとなっておりましたのを、生後六カ月から十五歳までというふうに対象範囲を広げますとともに、実施率を高めて、四千万円の増額になったわけでございます。なお、従来、インフルエンザ特別対策費前年度予算四千七百万円が前年まで一般会計予算に計上になっておったのでございますが、四十三年度からはこれを地方交付税に移しかえることにいたしております。

 次に、食生活改善対策費でございまして、備考欄にございますように、新規事項が四つございますが、(1)の栄養所要量等策定費と申しますのは、昭和五十年度を目途といたしまして、国民の栄養所要量及び基準量を作成するための調査でございます。それから(4)の僻地保健栄養対策費は、僻地にあります百四十三の保健所につきまして在宅栄養士を雇い上げまして僻地の栄養指導を行なう経費でございます。

 それから水道事業対策でございますが、これは、備考欄にございますように、(1)水道水源開発等施設整備費が四十二年度に初めて七億円計上になったのでございますが、これが七〇%増額になりまして十一億九千三百万円と相なっております。このうち、カッコ書きいたしております部分は、水資源開発公団分でございました、経企庁予算に計上するものの再掲の部分でございます。

 次に、環境衛生施設整備費は四十七億一千九百万円で、対前年比三億一千百万円の増額となっております。

 まず、清掃施設整備は、これは新しく四十二年度を初年度とする五年計画の二年度分の予算でございまして、屎尿処理施設につきましては前年対比は一億六千万円、ごみ処理施設につきましては一億円のそれぞれ増額となっております。

 簡易水道等施設整備費は、前年度対比五千万円の増額でございます。

 次に、公害防止対策費は五億九千七百万円でございまして、前年に比べて一億九千七百万円の増額になっております。

 まず、公害対策基本法を実施いたしますために、公害防止計画の基本方針策定、それから環境基準の設定、これらに必要な経費を計上いたしますとともに、公害監視等の設備の整備につきましては、地方の公害監視測定設備として昨年から予算化されておりますモニタリング設備の個所数をふやしますとともに、こういった固定した監視設備以外に、機動力をもって監視を行なうための移動監視測定車を新規に予算に計上いたしております。

 それから次に、公害の紛争処理及び被害者の救済の問題でございますが、この問題につきましては、ただいま関係省と詰めを急いでおりますが、これら制度化を進めるために調査費を計上いたしますとともに、公害の被害者救済制度が確立するまでの間にも公害病患者が発生いたしますので、それらの患者に対して医療費の手当てをするために公害医療研究費補助に二千万円を計上いたしております。

 次に、公害防止事業団につきましては、新たに政府出資金一億円を計上いたしまして金利の引き下げを行ないますと同時に、事業対象地域の拡大、あるいは集中暖房等の事業対象を新たに加えることによりまして、事業の拡大をはかっている次第でございます。

 次のページに参りまして、環境衛生金融公庫でございますが、これの昭和四十三年度の資金計画は三百五十億円でございまして、特に四十三年度より環衛業に対する設備資金につきまして融資の一元化をはかることといたしております。

 次に、救急医療対策は三億七千万円でございまして、前年度対比七千八百万円の増額でございますが、ここに書いておりますもののほかに、運輸省所管の自動車損害賠償責任再保険特別会計から一億四千万円が救急医療センターの設備費に充当されることになっているわけでございます。

 次に、僻地医療対策でございますが、従前から僻地医療対策は僻地診療所を中心に構成いたしてまいっておりますが、四十三年度におきましては特に機動力の強化に重点を置きまして、備考欄の(2)にございますように、僻地患者輸送車(艇)の整備が、前年四十一台を八十三台というふうに二倍以上にふやしているわけでございます。

 次に、医師臨床研修費は六億一千九百万円計上いたしまして、四億一千二百万円前年度より増額いたしております。

 その内容でございますが、備考欄の(1)にまず、臨床研修補助金五億三千三百万円とございますが、これは公私立の大学病院の分、それから国立病院以外の厚生大臣指定病院分、これに千四百四十五人の臨床研修生が予定されておりますが、これらの臨床研修生を受け入れました病院に対しまして、研修生一人について三十八万円の補助金を出そうという趣旨でございます。

 なお、国立病院で受け入れます二百人分の臨床研修生の予算につきましては(3)にございますように、国立病院特別会計に八千万円計上いたしてございます。

 次に、四十三年度予算におきましては、国立療養所を国立病院特別会計に移行いたしまして、これはらい療養所を除きます国立療養所でございますが、これを国立病院特別会計に移行いたしまして、国立病院特別会計に療養所勘定を設けることにいたしております。その療養所勘定の歳入、歳出でございますが、四百二十億一千四百万円でございますが、歳入のところで(4)のところにございますように、そのうち二百五億七千六百万円が一般会計からの受け入れでございます。歳出におきましては、特に施設の整備を重点に置きまして、次のページの備考欄の(3)にございますように、六十八億四千二百万円の施設費を計上いたしております。このほかに、国庫債務負担行為十五億円を計上いたしております。この六十八億四千二百万円に対応する前年度予算額は三十八億円でございますので、三十億円以上の施設費の増加をはかりまして、国立病院に比べまして立ちおくれておる国立療養所の施設を特に重点的に整備をはかった次第でございます。

 医療金融公庫は、四十三年度の資金計画は二百八十五億ということになっています。

 次に、医薬品安全対策費としては、前年度より六千二百万円の増額でございますが、これは国立衛生試験所におきます毒性部門を強化するための施設整備費でございます。

 次に、国立公園等施設整備費は、八億一千百万円計上いたしております。いままで国立公園の管理事務所は日光と箱根にしかございませんでしたが、四十三年度から新たに阿蘇に国立公園の管理事務所が設けられることになりました。なお、明治の森施設整備費、特に高尾と箕面、それから万博の吉野山の車道の整備費、これらがいずれも含まれておるわけでございます。

 それから民間社会福祉事業育成強化でございます。

 備考欄の(1)の民生委員更生相談実務研修会費は、これは心配ごと相談所の経費でございまして、心配ごと相談所を千二百カ所を八百カ所ふやしまして二千カ所にいたしたわけでございます。

 次に、(2)の社会福祉協議会活動費でございますが、特に(ア)の都道府県社会福祉協議会の国の補助対象職員でございますが、これらの職員に対しまして、行政管理庁の勧告にかんがみましてその増員をはかりまして、従前一県三人でございましたものを六人にいたしておるわけでございます。

 次に、生活保護でございますが、千六百四十億二千百万円で、前年対比百八十八億二百万円の増額でございます。内容といたしましては、生活扶助基準を改定いたしまして一三%引き上げております。これによりまして、標準四人世帯の生活扶助基準額でございますが、そこにございますように、一級地は、現行の二万三千四百五十一円が二万六千五百円に、三千四十九円という相当大幅の増額が行なわれておるわけでございます。なお、教育扶助につきましても、平均九・五%の引き上げをはかっております。

 次のページに参りまして、身体障害者福祉対策は二十七億九千八百万円計上いたしております。

 まず、このうち、新規事項でございますが、備考欄の(1)にございます社会復帰促進費を計上いたしております。これは、身体障害者の更生援護施設に入所している者が施設の中で更生訓練を受けるにあたりまして、それに必要なたとえば参考書とかノートとかあるいは簡易な用具、そういったものを購入するような訓練諸費というものが従前全然支給されていなかったわけでございますが、今回新たに一人月千円がそういった更生訓練を受けるための必要な経費に充てられるということになったわけでございます。

 それからメキシコでオリンピックが開かれました後におきまして、イスラエルでパラリンピックが開かれる予定でございますので、それに選手団を派遣する経費を計上しております。

 次に、増員関係では、更生援護施設に、OT、PTの職員を十人置きますとともに、重度援護施設の介護員をいままで収容者十七人に一人でございましたのを十五人に一人と、重度授産施設におきましては二十五人に一人を二十人に一人というふうに、それぞれ増員いたしております。また、昨年初めて認められました身体障害者の相談員を増員いたし、また、ホームヘルパーを二百六十人から三百九十人に増員し、また、その手当月額の増額をはかった次第でございます。

 次に、老人福祉対策は百十七億五千三百万円を計上いたしております。

 新規事項といたしましては、老人社会活動参加促進費といたしまして、老人の方々の生活に張りを与えますために簡易な仕事を世話するということで、そういった仕事の紹介をする紹介所の経費十カ所分を新規計上いたしております。

 それから老人クラブにつきましても五万五千クラブを五万七千五百クラブにふやし、また、老人のホームヘルパーにつきましても千百人から千三百と二百人の増員をはかっております。

 老人家庭奉仕員費につきまして、いままで奉仕員が老人五十人に一人でございましたのを、二十五人に一人というふうに増員をはかっております。

 また、明治百年記念事業費でございますが、百一歳以上のお年寄りを顕彰する経費を計上してございます。

 地方改善対策でございますが、十四億九千百万円でございます。

 内容は、隣保館の運営につきまして、指導職員の増員をはかりますとともに、給与年額、運営事業費をそれぞれ単価の引き上げをしております。

 次に、同和地区の改善施設整備費は、前年度予算の四割増しを計上しております。

 不良環境地区の改善施設整備費は、前年度予算の一割増しを計上してございます。

 特に、新規といたしまして、愛隣地区改善施設整備費といたしまして、大阪の釜ケ崎の愛隣地区につきまして四十二年度予算におきまして労働省が労働福祉センターを建設中でございますが、その建物の上に大阪市が百ベットの病院をつくるという計画がございまして、これは二年計画で行なうことになっておりますが、それに対する補助金を計上しているわけでございます。

 次に、社会福祉施設整備費は、前年三十三億が三十六億というふうに三億増額になっております。特に、備考欄の(ニ)にございますように、老朽民間社会福祉施設の整備計画は、第一次の五カ年計画は昭和四十二年度に終了いたしたわけでございますが、なお、保安上、四千点以下の建物が八万平米以上も残っておりますので、これらを三カ年間で整備することといたしまして、新たに第二次三年計画の初年度の予算を計上している次第でございます。

 次に、社会福祉施設処遇改善でございます。

 まず、最初に、職員定数の改正でございます。このうち、備考欄の(ア)から(ウ)まではいままで御説明したとおりでございますが、(エ)は保育所三歳児担当保母がいままで三十人に一人であったのを二十五人に一人というふうに増をはかり、また、(オ)は、養護施設、虚弱児施設年少児担当の保母を八人に一人を七人に一人というふうに増加しました。また、(カ)は、乳児院に栄養士を置くことにいたした次第でございます。

 また、保育所につきましては、甲地・乙地の地域差がございまして、この地域差を是正するために年次計画で是正をはかってまいったわけでございますが、五カ年計画の三年目の経費を計上いたしております。

 次に、いままで、児童福祉法におきましては、定員六十名以上でなければ児童福祉法の正規の保育所として認めなかったのでございますが、今回、小規模保育所といたしまして、三十人以上六十人未満の定員を児童福祉法の正規の保育所として認めるということで、小規模保育所の百カ所分を計上いたしております。これは無認可保育所の解消対策につながる施策でございます。

 重度加算対象児童につきましては、精神薄弱児の施設あるいは肢体不自由児の施設につきまして重度加算対象児童とふやしております。

 民間の社会福祉施設に対します庁費は、職員一人当たり年間八千円でございますが、これを一万円に増額いたしている次第でございます。

 次に、児童保護措置費でございますが、三百八十九億九千五百万円で、前年度より六十一億四千万円の増額になっております。この六十一億という伸びは、生活保護の生活扶助基準が一三%引き上げられたことに伴いますものと、いままで御説明いたしました児童福祉施設の処遇改善に見合うものを見ましたほかに、児童の措置対象人員を六万人伸ばして計上したために六十一億の増額になったわけでございます。

 次に、精神薄弱者福祉対策費といたしましては十五億一千五百万円を計上しておりますが、特に次のページにございます精神薄弱者相談員の制度が新規に認められまして、相談員二千人の予算が計上されたわけでございます。

 保育対策費につきましては、いままで御説明したものの再掲でございます。

 次に、母子福祉対策費は四十六億八千三百万円でございまして、このうち特に母子福祉貸付金につきましては、前年度予算五億五千万円を六億円に増額いたしまして、特に就学資金の内容改善をはかる予定になっております。

 次に、重症心身障害児対策費は三十億八千六百万円でございます。

 この内容のおもなるものは、備考欄の(1)の国立施設整備費でございまして、国立療養所に新たにこれらの重症心身障害児を収容する病床を八百八十床ふやしております。前年度予算は六百床増床でございましたので、前年度に比べまして二百八十床多く増床するわけでございます。

 特に、これらの重症心身障害児は、できるだけ施設に収容するのが望ましいのでございますが、施設の整備が時間がかかりますので、それまでの間、在宅の重症心身障害児の対策といたしまして、備考欄の(四)にございますように、特殊寝台――ギャジ・ベッドを無償で貸与するという制度を設けることにいたしております。ギャジ・ベッドと申しますのは、上下に自由に操作できるベッドでございまして、一台四万円以上するものでございますが、在宅の重症心身障害児を持っておられる低所得の世帯に対しましてこのベッドを無償でお貸ししようということで千五百台分を計上いたしている次第でございます。

 特別児童扶養手当につきましては、手当額の引き上げをはかりまして、四十三年十月から一人月額千七百円を二百円引き上げまして千九百円といたしております。所得制限の緩和等につきましては、福祉年金と同じでございます。

 なお、高崎に建設中の心身障害児コロニーにつきましては、ほぼ前年と同額の七億八千八百万円を計上いたし、いよいよ四十三年度から収容施設の建設に取りかかることにいたしております。

 次に、進行性筋萎縮症対策費でございますが、三億五千四百万円を計上いたしておりますが、国立施設の整備費が二百四十床の増床でございます。このうち、四十床は成人分、二百床は児童の分、こういうふうに相なっております。

 次に、母子保健対策費でございますが、五億九千八百万円の予算でございます。

 特に、新規といたしまして、代謝異常児養育費というものを計上いたしております。これは、フェニールケトン尿症でありますとかウィルソン病あるいは先天性クレチン、発生件数は非常に少ないのでございますが、放置いたしますと精薄になってしまう、こういった疾病に直ちに医療を加えることによりまして健全な子供にするというための施策でございます。それから妊娠中毒症等対策費におきまして、新たに妊産婦糖尿病対策の経費を計上いたしております。

 妊娠期間中に医師の診断を受けしめて、こういった妊娠中毒症なり、妊産婦糖尿病なり、異常児の発生の原因になる疾病を必ず治癒する、こういう対策を講ずる次第でございます。

 次に、母子栄養強化費、いわゆる低所得世帯に対するミルクの支給の経費でございますが、この単価を引き上げております。

 また、(6)の母性保護普及事業費におきましても、実地指導費の単価を二割引き上げております。なお、初めて市町村におきまする母子保健の活動費が予算化されております。

 次に、国民健康保険助成費でございますが、二千二百五十二億八千九百万円でございまして、前年対比五百十二億千七百万円の増額になっております。内容としては、特に市町村に対しまする事務費でございますが、被保険者一人当たり三百円でありましたものを三百四十円というふうに引き上げております。なお、国民健康保険の事務費、国民年金の市町村に対する事務費、いずれもこれは実態調査に基づきまして今後三カ年間に地方超過負担を解消するという趣旨のもとに計上いたしてございます。

 それから一八ページに参りまして、外地死没者遺骨処理でございますが、これは四十二年度から遺骨処理につきましては計画的に処理してまいっておりますが、四十三年度におきましては、フィリピン、それから西部ニューギニアのビアク島におきまして遺骨処理を行なう関係の経費を計上いたしてございます。

 次は、戦傷病者戦没者遺族等援護費は百九十五億四千三百万円を計上いたしております。この内訳は、従来分が百九十一億三百万円でございまして、恩給のベースアップに対応いたしまするベースアップ分が四億四千万円でございます。ベースアップの内容は、ここに書いてございますように、四十二年十月のベースアップの率をそれぞれ年齢別にここに書いてございますように修正する内容のものでございます。

 次のページに参りまして、社会保険国庫負担金は五百八十五億五千三百万円計上いたしておりますが、政管健保二百二十五億、船員保険六億をそれぞれ財政対策分として前年度と同額を計上いたしておる次第でございます。

 それから国民年金国庫負担金は千二十八億九千五百万円でございます。

 特に福祉年金につきまして内容の改善をはかっております。すなわち、昭和四十三年十月から年金額の引き上げを行なうことといたしまして、老齢福祉年金は月額千六百円を千七百円に増額し、障害福祉年金、母子、準母子福祉年金におきましては、現行月額をそれぞれ二百円引き上げたという内容に相なっているわけでございます。所得制限の緩和につきましては、本人所得制限につきまして加算額六万円を七万円に引き上げますとともに、扶養義務者の所得制限は五人の場合の現行基準額九十三万二千五百円を百五万五千円に引き上げております。これによりまして、息子さんの所得が上がったことによりまして次の年に老人が支給を打ち切られるという事態の発生を防ぐわけでございます。

 なお、市町村の事務費におきましても引き上げをはかりまして、先ほど御説明しましたように、拠出年金につきましては二百四十円を二百七十四円というふうに引き上げて、三カ年間で超過負担を解消するということにいたしております。

 それから特別研究費といたしまして新規に五千万円計上いたしております。これは、自閉症、あるいは蒙古症、筋ジストロフィー、脳性小児麻痺、むち打ち症といったような治療方法の確立されていない疾病、しかも、中には発生原因のわからない疾病もあるわけでございますが、こういった疾病に対する施策を推進するために新規に研究費を計上いたした次第でございます。

 それから次のページ以下にございますのは、厚生省所管の厚生保険特別会計以下五本の特別会計につきまして、勘定別の歳入、歳出を表示したものでございます。

 以上、きわめて簡単でございますが、これをもちまして厚生省の四十三年度予算の説明を終わらしていただきたいと存じます。