56閉-参-社会労働委員会-3号 昭和42年11月10日

 

昭和四十二年十一月十日(金曜日)

   午前十時二十五分開会

  本日の会議に付した案件

○派遣委員の報告

○労働問題に関する調査

 (政府関係特殊法人等の給与問題に関する件)

 (炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特

 別措置法施行後の諸問題に関する件)

○社会保障制度に関する調査

 (医療費問題等に関する件)

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○委員長(山本伊三郎君) 次に、第二班兵庫県及び大阪府の御報告を願います。

 

○藤田藤太郎君 第二班は、藤田、植木両理事が、十月二十六日から三日間にわたって、兵庫県及び大阪府を視察いたしました。

 今回の視察においては、両府県のそれぞれに特有な事情を調査することにつとめました。

 まず、兵庫県においては、神戸港を擁して、年間三千件をこえる港湾労働災害件数がここ数年横ばい状態を続けており、さらに山陽新幹線建設工事の本格化を控えているため、関係行政当局は労働災害防止対策に腐心しておりました。

 次に、大阪府が直面している問題としては、万国博覧会の会場建設事業があり、約四万人の労働者を府外から導入する必要に迫られております。さらに、大阪府特有の愛隣地区すなわち旧釜ケ崎地区の対策があります。この二つの対策については、府当局も努力を重ねておりますが、国の積極的な援助をも要望しておりました。

 両府県に共通の問題としては、内職及び家内労働の実情を調査いたしましたが、内職が生活困窮世帯から一般勤労者世帯へと浸透拡大の傾向を示している現在では、大阪府が百二十三カ所の委託内職斡旋所を設置して相当の成績をおさめていることは特筆すべきことであります。

 ただ、内職行政について一、二つけ加えますと、内職行政の機構が、労働部、民生部及び労働基準局の三つに分かれている現状は、これを改めるべきであります。また、大阪府及び兵庫県においては、阪神圏としての内職工賃の調整が行なわれておりますが、大阪経済圏に属する近畿各県の特に僻地においては、その内職工賃は大阪府の場合の二分の一ないし三分の一であり、生活水準の差を考慮してもなお工賃の格差が大き過ぎると考えられますので、今後の内職行政においては、このような事情に留意すべきであると存じます。

 なお、現地視察として、兵庫県において、川崎重工業株式会社本社、大阪国際空港周辺の騒音被害状況、及び川西市内の不法住宅密集状況、大阪府において大阪労災病院、堺市近郊の自転車部品メーカーである前田鉄工所美原工場及びその下請企業である光鉄工をそれぞれ視察いたしました。

 そのうち、大阪空港の騒音対策については、地元八市で結成する騒音対策協議会の会長である伊丹市長から要望が述べられましたが、特に夜間飛行の禁止及び空港周辺における防音緑地帯の設置は実現が可能であると考えられますので、善処を望みたいと存じます。

 なお、詳細な報告は、第一班と同様、別途委員長の手元に提出いたしました派遣報告書によって御承知いただきたいと存じます。

 これで終わります。