51-衆-予算委員会第三分科会-4号 昭和41年02月28日

 

昭和四十一年二月二十八日(月曜日)

   午前十時十三分開議

 

本日の会議に付した案件

 昭和四十一年度一般会計予算中自治省所管

 昭和四十一年度特別会計予算中自治省所管

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○新井(裕)政府委員 件数を申し上げますと、三十九年に職務上拳銃を発射いたしました事件が五十七件ございまして、それによって犯人を逮捕したものが四十四件ございます。

 

○茜ケ久保分科員 五万人の常時拳銃所持者、その中で、五十件足らずの案件、しかも、これはおそらく常時携帯していなくても――そういう拳銃を使用をしなければならぬという案件だが、外勤警察官が五万幾らある中で、その外勤勤務上常時拳銃を持たなければそういった事犯に対する対処ができないということはなかろうと思うのです。私は、拳銃を警察官から取り上げて全然使わせないというのではない。やむを得ないことがあった場合に使うということは、これは当然だと思うのです。したがって、私が主張するのは、警察署なり派出署なり、そういったところに常時完全に保管をして、有事の場合に、非常に拳銃を必要とする場合にのみ使用する。交番のおまわりさんが何もああいう大きな拳銃を毎日ぶら下げて歩くことはないと思う。皆さん方はよく口を開けば民主警察だということをおっしゃる。それはあなたがたはスマートなかっこうをしていらっしゃるが、私はいつも言っているように、おまわりさんがああいう大きなピストルを腰に下げて、こん棒を下げて歩く姿は少なくとも平和日本の国内で一般民衆と溶け合うものでないと思うのであります。あのかっこうで、国民大衆の信頼感とほんとうに愛される警察官ということは、当然これは望めない。特殊な人はあります。それは十何万という全国の警察官の中で特殊な方はあるでしょうが、一般には少ない。私が言うのは、いわゆる皆さん方がほんとうに民主警察を標擁し、ほんとうに国民に信頼される警察となるためには、一たん事があった場合に、一般の国民が協力するかしないかによると思う。自衛隊ですら愛され自衛隊になっている。これはやはり自衛隊が、何かの場合にその目的を達成するには、国民の協力がなければできないということを知っているからである。警察官は自衛隊以上に国民自体を直接守る責任と義務を負っている。その警察官が一般の国民から信頼され、愛されなくては、私はほんとうの任務を遂行はできぬと思う。たとえば、いろんな犯人逮捕に民間の協力がなければできないことは数限りなくあった。ところが、実際は山谷やあるいは大阪の釜ケ崎を例にとるまでもなく、ややもすると、逆に警察官が民衆から阻害されている。犯人が民衆の中に溶け込んで、検挙を非常にむずかしくしているという事例が非常に多い。

 私が十数年主張をしているのは、一つには、私、全国を回って、おりあるごとに現場のいわゆる拳銃をぶら下げた警官に聞くと、だれ一人拳銃を持っていたいという人はありません。これは自治大臣なり長官なりが調査したならば明らかでありましょう。もしほんとうにあなた方がやる気ならば、何らか第二者の機関で第一線の警官諸君に聞いてみたらいいです。警官が持ちたいから持たせるというのではなくて、いかに彼らが職務執行上平生このことで苦労しているかがわかるのです。私は、かつて柏村長官のときに、どうしてもそんなに必要ならば、長官がじかにこの議場に拳銃と警棒をつけていらっしゃいと言ったことがある。幹部諸君は平服でスマートな姿でいる。そんなに職務上必要ならば、長官以下みんなほんとうに制服でいらっしゃい。できないでしょう。長官、本部長以下、内勤の諸君はほとんど私服である。私は、現場の諸君も私服を着ていいと思う。もっとスマートな服装にして、拳銃がもしどうしても必要ならば、もっと性能のいいものにして、内ポケットに入るような、第三者の目につかないようなものにしたらいいと思う。それが予算上できないならば、国の費用で予算上やったらいいと私は思う。――長官、まじめに聞いてください。質問中ににやにやして聞いているとは何です。もっとまじめに質問を聞いてください。不誠実だ。警察庁長官はこの前のときには何か外出しているということで来なかったが、なぜ来なかったか。私は冗談を言っているのではない。日本の警察がほんとうに民主警察として国民に愛され、ほんとうに国民を守る警察ならば、もっと信頼を持たれなければならない。警察官の目となり、耳となる国民に対して、警察官がほんとうに真剣に愛情を持って警察行政を運用するということを私は期待している。数年前に、およそ二万二千円ベースのときに、警察官には三万ないし四万円のベースでやって、名実ともに警察官が安んじて国民の中に溶け込んでいく行政をしてもらいたいということを私は申し上げているが、しかし、二、三年前から今日まで、いまの自治大臣も機械的に御答弁なさったが、何らお考えにならない。私はいま少し検討してもらいたい。私も昨年、一昨年世界一周をしてまいりましたが、どこの警察でも、日本の警察みたいにああいうぶかっこうな制服の国はない。ぶかっこうというか、何というか、全くお話になりません。だから、服装をもっとりっぱにして、拳銃がどうしても必要ならば、小さい性能のいい拳銃もあるはずだから、そういうものを内ポケットなりどこかにもっとスマートに所持することも考えてもらいたいと思う。いまの状態を続けるのでは、警察官も気の毒だし、国民も警察に対して常に威圧感と不安感を持つ。逆である。

 少し私はしゃべり過ぎましたが、しかし、私は、これはあなたに強制しようとは思わぬけれども、警察としてはこれは一考を要するものだと思うのであります。いろいろな観点から調査もし、検討もし、どうしても現状を変えることができないということでしたならばやむを得ませんが、しかし、いまも答弁でおっしゃるように、拳銃で起きた事件が五十件足らずだが、その反面、拳銃のためにかなり問題を起こしている。でありますから、服装の点についても、拳銃の所持についても、もっと真剣にお考え願って――十年一日変わらない。私は、オリンピックの前に、オリンピックを契機に日本の警察官の服装を改善したいという御意向で、何かデザイナーに見本をつくらせたという新聞を見まして、日本の警察も何かここに一つ明るさを取り戻すチャンスと思っておりましたが、ついに、どういうかげんでありますか、それも不発に終わっています。長官、この辺でひとつそういった面で――警察を愛するために、警察官を愛するがために私は申し上げておる。私も、警察にはいろいろな意味でずいぶんごやっかいになっておる。私自身も豚箱に入ったし、あるいは警察にごやっかいになっておる。しかし、いろんなところで現場の現職の警察官の諸君と話し合うと、私には率直に、北海道の諸君も九州の諸君も、もしこの拳銃がなくて、もっとスマートな服装にしてもらえれば、勤務がどんなにしやすいかということを述懐しておるのです。したがって、あなた方も、それについて第三者の調査なり、あるいは皆さん方の中で調査されるなり、一応調査をして、何らかの対策を私は立てる必要があると思うのだが、ひとつ長官、いかようにお考えか、承りたい。

 

○新井(裕)政府委員 最初に、=三身上のことで申し上げますが、私は、茜ケ久保委員の御質問に対して笑いながら聞いておったものではありませんから、誤解のないように願います。

 いま、前から御意見がございまして、拳銃を、ことに大型の拳銃を常時携帯していることはたいへんな不便を感じておるということは、われわれも前から気がついておりました。最近、ようやく予算も認められまして、これを小型化することを三カ年で――一部でございますけれども、ことに四五口径の大きいものは全部小型にしようということでやっております。

 それからまた、もともと日本の警察官は、御承知のようにサーベルを下げておりまして、拳銃を常時携帯しだしたというのは、戦後の二十年足らずの経験であります。御指摘のように、最初のころは、常時そばに置くということはわれわれの気持ちにそぐわないために、事故もございましたけれども、だいぶなれてまいりまして、ことに暴発事故のごときは減ってまいりました。そういう意味におきまして、われわれも常時携帯がいいかどうかということを検討する場合に、常時携帯しているほうがなれるという事実がございまして、そういう意味からいままでずっとやってきております。ただ、御指摘のように、四五口径というものは日本人の体格にはたいへん無理であります。それを小型化しようということをやっておるというのが現状でございます。

 それから服装につきましては、昨年も御指摘がございまして、ことに縫製の問題ということで去年も申し上げたつもりでございます。いまの制服でももっとスマートにできるということを専門家にいわれております。ことにあれをつくったときといまとでは、たとえばズボンの太さというようなもので格段の相違がございまして、そういうことで何らかの改善をほどこそうということで研究をいたしております。できれば、あまり予算上の措置を講じないでやれるものをという観点からやっております。

 それから、いま御質問にはございませんでしたけれども、この前も申し上げましたように、一つは、支給の点数が少ないために、どうしても手入れが行き届かないということでありますが、幸いにいたしまして、大体半数くらいの県は支給の点数をふやしつつありまして、この点からも改善されております。できるだけあまりみっともない服装でなく――これは私は、一つは形式もございますけれども、ふだんの手入れであると思います。そういうものも、初任科の生徒につきまして、特に厳重に訓練をしていくということにいたしたいと思っております。