101-衆-地方行政委員会-13号 昭和59年04月27日

 

昭和五十九年四月二十七日(金曜日)

    午前十時開議

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件

     ――――◇―――――

 

○大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤原哲太郎君。

 

○藤原委員 私ども東京に住んでおりまして、このごろ、時たま新宿などの地下道を歩いてまいりますと、浮浪者の数が大変ふえてきておる現状を死かけるにつきまして、どうもこの問題はこのまま放置しておったらば大変なことになるのではないか、こういうような実感を持っておるわけでございます。そういうことで、例えばこの間も判決が出ましたけれども、バスに対する放火事件であるとか、あるいはまた横浜等におきましては、いわゆる少年非行のグループが浮浪者に対して襲撃をかけるというようなことがございまして、これが少年の不良グループと浮浪者の対決になんかなったら大変なことでございますが、現状のままに放置してはおけないような状態になっていることだけは事実だと思うわけでございます。

 そのようなことを考えたときに、これは東京だけの問題ではございませんけれども、今全国的な関係、あるいはまた大都市に関係する浮浪者の現況について、警察庁として掌握をしておることをまず御報告をいただきたいと思います。

 

○鈴木(良)政府委員 お答えいたします。

 警察では、全国的な浮浪者の実態というのは把握していないわけでございますけれども、東京都内には現在約七百六十名ぐらい、それから大阪では千五百名ぐらいの浮浪者がいるというふうに考えております。

 

○藤原委員 浮浪者によるところの傷害事件、例えば浮浪者の中では少年にいろいろいじめられたり何かしたために、今度はその反対給付のような形で子供たちに対して妨害を加えたり、あるいは婦女子に対して乱暴をしたりというような事件も新聞報道でも大きく報道されておりますね。こういう実態についてどのように把握せられておるか、御報告を願いたいと思います。

 

○鈴木(良)政府委員 浮浪者によります犯罪は、全国では、昨年約四千二百件余りということで把握をいたしておりまして、これの主なものはやはり窃盗犯と、それから知能犯と言いますが、これは主として無銭飲食のようなものでございますけれども、こういうものが主なものでございます。なお、東京では昨年中約六百六十人、それから大阪では約六百人検挙されておるという状況でございます。

 

○藤原委員 どうもこの浮浪者に対しまして、十四、五歳の若者が、いわゆる浮浪者をやっつけるということでいろいろ行動を起こしているようですね。これはやはり放置をしておったらちょっと問題になるのではないかというように私は思うんですね。例えば公園で殺されたというような事例もございまするし、それから、浮浪者に対して五人なり十人なりの集団が一斉に石は投げるわ、空気銃で撃つわ、いろいろな悪さをするようですけれども、そういうものをどのように把握をしながら、しかも警察対局として、例えば東京都でしたら各警察署に対してどのような指導をされておるのか。例えば上野署で取り締まりを強化すれば、それがぐるっと回って新宿へ来る。新宿で強化すればまた回るというようなことで、実際は浮浪者というのはどこか取り締まりが強いところからある程度動いている、ぐるぐる山手線を中心に動いているというようなことも聞いておるわけです。

 それから、私自身もこの間、今度の風営法の関係もありますし、新宿の現状を見ようと思いまして参りましたら、やはり地下道に群をなしてたむろしていました。これは現職の警察官でも、実は一人や二人ではちょっと怖いという感じを与えるというようなことでございまして、我々もそこを通ったときに、やはり臭気はいたしますし、それから何か怖いという感じを率直に受けますね。したがいまして、これは警察だけの問題ではないのでございますけれども、新宿でも区長さんを中心にあの辺の環境整備のための協議会等をつくって、自治体でもそれに対応いたしておりますけれども、やはり何としたって警察の御協力を得なければこの問題は解決できないのじゃないか、かように考えられるわけです。そういうことで、何か警察としてこれに対する対応策というのは、今までの中で相当具体的に練られたことがあるのかどうなのか。

 背、山谷地域などで労働者による暴動事件などが起きて、あの辺の交番を初めめちゃくちゃにされたことがございましたけれども、例えば新宿でも、これが百名ぐらいならいいけれども、二百名とか浮浪者の集団ができてきて、例えばある一人の指導者が、おいおい、どこをやっちゃえとかと言って、飲んだ勢いでやられたら、あそこの新宿警察の力ではどうにもならないような事態だって――私は扇動しているわけじゃございませんけれども、そういうこともやはり十分注意してかからぬと、もう事が起きちゃって対策がなかったのでは、我々国政をやる者も任務が務まらぬわけでございますので、実は警告的な意味もありましてあえて申し上げておるわけで、実際を見聞をした感じのままを申し上げて、このままに放置できないな、例えば保健所を通じて厚生省関係の仕事もございましょう、あるいは雇用対策の面からいえば労働省の管轄もございましょう、そういうものともやはり総合的に御相談をしていただきながら、この対策を立てる必要があると思うんですね。

 それで私自身、実は何かいい妙薬はないかと考えても、私自身も本当はないわけなのです。本当は何か具体的な提案があって、こうしたらいいじゃないかという提案があれば、議員の皆さんの御同意を得てできるのですけれども、率直に言って今妙案はありません。しかし、そういうものが大きくならないうちに、火種は小さいときにつまみ取っていくということが大切ではなかろうか。あの方々もどこかきれいなふろへでも入らせてやれば幾分気持ちも落ちつきますし、大都市東京としては、世界に冠たる経済大国などとこう豪語しておりますけれども、ああいう人たちが地下道にところどころたむろしておりますと、何かこれも政治家の責任ではなかろうかと実はひそかに考えておるわけでございまして、どうぞひとつ、その辺のところを含めましての御答弁をいただきたいと思います。

 

○鈴木(良)政府委員 浮浪者の関係は、先ほどのように犯人になることもございますし、あるいは被害者になることもあります。それからまた、浮浪者の存在自体が一般の社会人に不安感あるいは迷惑等を与えているという実情もございます。そういうことから、私どもといたしましては、各都道府県警察に対しまして、軽犯罪法を初めとする諸法令を活用いたしまして、一つは保護活動、一つは指導取り締まり活動というものを進めるように指導をしておるところでございます。

 ただ、これはお説のとおり大変難しい問題でございまして、また、ひとり警察だけでどうにかなるという問題でもございませんので、都道府県の民生部門、福祉事務所あるいは逆路管理者、公園管理者あるいは地下鉄等の管理者、そういうふうな方々とも連携をとりながら、今申しました保護活動、それから指導取り締まりをあわせて推進していかなければならない、かように考えておるわけでございます。

 お話しの山谷地域とかあるいは大阪のあいりん地域とか、そういう地域につきましては、格別の防犯体制もとり、いろいろ相談活動にも乗り、指導もするというようなことを並行して進めておるわけでございまして、そういう活動と相まって、さらに今申しました総合的な施策を進めていかなければならぬのじゃないか、かように考えております。

 

○藤原委員 大事に至らない前に、できるだけ警察当局としても、あるいはまたそれぞれの行政当局等々とも綿密な連絡をとりながら、この問題についてお互い知恵を出し合ってもらいまして配慮していただきたいというふうに思います。特にお巡りさんが何人か組んで通っていれば、そういう点では非常に効果があるというふうに思います。この間、新宿の繁華街の中で、パトカーとは違いますが、ちょっとパトカーより大きい警視庁の車が入っていますと、呼び込みその他の状況も遠慮してやるような姿も現実に見ておりまして、警察が出ているときは少なくとも、良識ある行動でもございませんけれども、慎みある行動をしておるなというように感じてまいりました。

 ともあれ浮浪者の問題、それからこれに対抗して十四、五歳の少年非行の人たちが、浮浪者をやってしまえ、何というか、社会正義の気持ちもないのでしょうけれども、ああいう方ならやっちゃってもよいかなという気持ちがあるかもしれませんね、汚らしいのを排除するような気持ちで。だからこの辺は、僕は少年の気持ちがよくわかりませんけれども、いわゆる浮浪者狩りと称してやるというのですよ。きょうは東京タワーのところへ行こうとか、きょうはどこどこへ行こうとかいうようなことで謀議を凝らしているというようなこともあると承っておるので、そういう情報を十分キャッチして、班前に事なく済むように特段の御配慮をいただきますように要望をいたしておきます。

 以上でそちらは終わります。

 それでは、次に自治省関係について質問をいたしたいと思います。

 きょうの今までの議論を伺っておりましても、いわゆる自治体が富裕だとかということにつきましては、先ほど自治大臣はそういう状況下ではない、国、地方を通じて厳しい状況にあるんだというお話でございまして、私自身もそれには同感でございます。ただ私は、今国、地方を通じて厳しい行革に取り組むという姿勢の中で、やはり住民自体が十分納得のいくような行政なりあるいは地方自治体の姿勢というものが必要だと思うのです。そういう面から実は問われる問題でありまするけれども、給与の公表ということについて、この機会に数点にわたって御質問をいたしたいと思うわけでございます。

 現在、自治省は地方自治体の職員の給与を公表すべきであるということで指導をしておられるわけでありまするけれども、その指導の状況はどうなっておるのか。例えば公表団体の数、あるいはまた自治省の指導に基づいてきちっとやっている団体とかあるいは一部が行われている団体とか、それからせっかく指導しても、指導に従わないでさっぱり発表しない団体、こういうように分かれておると思いますが、この機会に実施状況について御報告を願いたいと思います。