84-衆-社会労働委員会-7号 昭和53年03月23日
昭和五十三年三月二十三日(木曜日)
午前十時三十分開議
本日の会議に付した案件
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
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○大和田政府委員 まず、無年金者がどれくらいおるだろうか。実は、この数字が非常にむずかしゅうございます。私ども、この数字の把握がむずかしゅうございますけれども、おおむね百万人程度はいるというふうに、非常に概数で大ざっぱでございますが、そういうふうに考えております。
なぜ、こういった方々が出たんだろうかという問題でございますけれども、私ども第一線の責任者の人から、いろいろと話を聞いてみるわけでございますが、やはり非常に残念でございますけれども、この制度に関して、どうしてもまだ関心が薄い。たとえば子供がおる。したがって、その子供の世話になって老後は暮らすから年金には入る必要はない。あるいは貯金を持っている。これは特にお金持ちの方に多いようでございますが、私は貯金を持っておる、金があるから入らないというような方がおられる。あるいは、これはそう多いかどうかわかりませんが、病弱だから、もうそんなに私は長く生きない。したがって年金制度は必要ないというふうに言われるような、そういう方々がおるようでございます。またさらに、やはりもっと無関心といいますか、先ほど申しました文書を、年金の被保険者はもちろんのこと、やはり未適用者に対しましても、未適用者であるということがわかりますると差し上げることになっております。その場合でも文書に対する回答がない。つまり本当に全く無関心であるというような方々でございますね。こういうような方々がおられます。文書を差し上げましても御回答していただけないという方がかなり見受けられるというようなことを、第一線の連中が言っておったわけであります。
さらに、これもそう多くはございませんけれども、制度発足のときにいろいろ反対運動、反対の動きがあったわけでございますが、そういった反対または不賛成というような労々の影響といいますか、そういうようなことによりまして、まだ加入をがえんじないという方もおられるわけでございます。
それから、先ほど先生もちょっとおっしゃいましたけれども、移動でなかなか把握できない。つまり住民登録をされないで動いておられるという方々がかなりおられるわけでありまして、こういう方々は事務的に把握しようと思いましても、なかなか把握できない。そこで頭が痛いわけでございますけれども、何とか住民登録をしていただくことによって加入というものが確保できるように、私どももお願いいたしておるわけでございますが、そういったような方々もかなりおられるのじゃないかというふうに考えております。
○湯川委員 私の選挙区に例のあいりん地区というのがありまして、東京の山谷等と比べても大変なところでございますが、そういうふうなところで関心を持たれないという方もあるのです。いま言われた幾つかのこともあると思いますが。
ただ、前回の特例納付では、いわば、これが最後だというふうにやって進められたと思いますが、今回それがまた三度目に、もう一回やるのだということでございます。そこで、こういう国民年金を支えてきておる一般国民から見ると、若いときから長年にわたってこの制度を支えてきて、そして自分の老後に期待するというのがたてまえでございますが、今回のような特例給付を次々に認めていくということになりますと、そういう本来の加入者の意識というものに対して余り好ましくない影響がありやせぬかというようなことも考えられるのですが、そのことについていかがお考えか。
○木暮政府委員 無年金対策は過去二回やりまして、いずれも今回限りというようなことで実施をいたしたわけでございますが、昨年ごろ、また非常に御希望が多かったわけでございます。また国会でもいろいろ御議論があったわけで、いろいろちゅうちょした末、第三回目の特例納付をするということに踏み切ったわけでございます。
ちゅうちょいたしましたのは、いま先生おっしゃいましたように、国民年金が法律の規定どおりたゆまぬ保険料納付に支えられてきておるわけでございまして、高齢者になってから特例納付をすれば年金に結びつくというような慣習ができてしまいますと、保険料の納付に非常に障害が起きて、ひいては国民年金の運営ができなくなるということもあったわけでございます。ただ、いま部長も申し上げましたように、かなりの方が年金に結びつかない可能性があるということでございますので、今回が最後ということで、もう一回、繰り返して実施をするということに決めた次第でございます。