145-衆-予算委員会-3号 平成11年01月26日
平成十一年一月二十六日(火曜日)
午前九時開議
本日の会議に付した案件
平成十一年度一般会計予算
平成十一年度特別会計予算
平成十一年度政府関係機関予算
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○中山委員長 これより会議を開きます。
平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党・改革クラブを代表して、質問をさせていただきます。
総理、現在の国民生活、かつてない危機に瀕している、このように私は認識をいたしております。長引く不況によりまして、失業率は統計以来という四・四%をずっと更新しておりますし、完全失業者二百九十万人、大変な数でございまして、関東地方で考えてみますと、実に茨城県の一県の人口全部が失業していらっしゃる、そういうような大変なことでございます。
この失業者の方々にも、奥様もいらっしゃれば子供様もいらっしゃる。こういう御家族を考えれば、一見豊かなこの日本の国の中にありまして、一千万人前後の人たちが切り取られたように窮乏に耐えていらっしゃる。失業者の方は、ハローワークと言いますが、職業安定所に通って血眼になって職探しをしていらっしゃる。そしてまた、打ち切られる日も明らかな失業保険を頼りに生活をしていらっしゃる。
そういうことを考えますと本当に胸が痛みますし、一日も早くこういう不況というものを脱して、この雇用状態というものを改善していかなきゃならない、このように思いますし、総理もそのような認識のもとに、所信表明等でも明らかにしていられるところであります。
私は、地元に帰りますと、平素お世話になっているところへあいさつ回りに当然出かけるわけですが、大阪にもたくさんお世話になる方がありまして、そういうところへ回るときには、大阪内部の方にあいりん地区という、失業、日雇いの方々がたくさんいらっしゃる地域があります。私はそういうところへ車を迂回して、その状況を必ずと言ってもいいほど見に行くわけでございますが、去る十二月十八日にもそのようにいたしました。
そういたしますと、いつもより大変な人でございまして、もう歩道からあふれた、日雇いの方々だと思いますけれども、車道をふさぐほどにたくさんの人がいられました。ちょうど昼食時分で、ボランティアの方でしょうか、食料等を配っていられる方もありまして、その周りには黒山の人だかり。本当にこの豊かな日本の中で見ることのできないような光景があるわけでございます。もちろんそれが日本全体の雇用状況ではありませんけれども、しかし象徴的に、縮図と申しますか、そういうものがそこで見られるように思われてならないわけでございます。
労働大臣、そういう状況でございますけれども、関西にはそういうふうにあいりん地区と言われる場所がございますが、東京にも山谷、それに日雇いの方々がたくさんいらっしゃるところがあります。最近、視察されましたですか。
○甘利国務大臣 現況の雇用情勢の厳しさというのは、日雇い労働者も例外ではございませんで、むしろ大変厳しい状況に遭われているということであります。
私自身、現場の視察はしておりませんが、資料提供を、委員の方々からいただいたものをつぶさに拝見をさせていただいております。
○冬柴委員 労働大臣としては、いろいろな制約はありましょうけれども、ぜひ足を運び入れて、そこから伝わる状況というものを肌身に感じていただきたいな、このように思います。
あいりん地区で日雇労働被保険者手帳というものを持っていられる人はどれぐらいいらっしゃるのか、また、持っていられない、それを含めた日雇い労働者というのは大体どれぐらいあいりん地区にいらっしゃるのか、そしてまた、その人たちの平均年齢というのがどれぐらいになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 あいりん地区の日雇い労働者の実情でありますけれども、平成十年の十一月現在、推定で約二万人おられます。このうち、いわゆる日雇い手帳を持っていらっしゃる方が一万五千人であります。
そして、求職者数は一日平均七千五百人でありますけれども、このうち未就職者は約五千人、つまり五千人の方が仕事につけない。この五千人のうち、約四千百人の方が日雇労働求職者給付金を受給されておられます。
それから、日雇労働被保険者手帳所持者、いわゆる日雇い手帳を持っていらっしゃる方の平均年齢でありますけれども、平成十年の十一月末現在では五十四・三歳になっております。
○冬柴委員 私は、例えば飯田橋とかあるいは地元兵庫県の神戸のハローワークにも参りました。大変な人が押し寄せているといいますか、いらっしゃいまして、ところが、四十五歳以上の方々というのは、まだ子供の教育費もかかりますし、また、このごろ家を買えば、みんな大体十年、二十年のローンで買われますので、ローンも残っていらっしゃる。企業が倒産したあるいはリストラということで肩たたきで職場を追われたという、働く意思はあるけれども働く場所がない、そういう人たちがたくさんいられるわけですね。
しかも、ハローワークで聞きますと、四十五歳以上の求人というのは著しく少なくて、しかもその労働条件というのも劣悪で、百人の職を求める人に対して十数人の求人しかない。そういうことで、何回通っても職につくことができないという人がたくさんいらっしゃるわけです。
そういう意味で、総理が、現在の雇用情勢は極めて厳しい状況にある、雇用確保に万全を期するとともに雇用の先行き不安を払拭する、これは就任直後の臨時国会の所信で述べられた言葉でありますし、さきの国会では、雇用情勢に臨機に対応して中高年の失業者に雇用機会を提供できるよう、緊急雇用創出特別基金を創設します、こういう所信を述べられて、平成十年第三次補正では六百億円というものを予算計上されて、そしてこれを財団法人高齢者雇用開発協会に基金として造成された、こういうことを知っております。
そこで、労働大臣、この基金からの支給対象者やそれから支給額とか、この基金についての内容の御説明をちょうだいしたいと思います。
○甘利国務大臣 基金の説明の前に、先ほどの日雇い労働者の件に関しての対応もございますので、その点、一言だけ触れさせていただきます。
通常、建設業者、建設会社が日雇い労働者を主に雇っているわけでありますが、その平均の数字というのは、大体一割が日雇い労働者でございまして、そこで、昨年の緊急経済対策の中で日雇い労働者対策というのも政策として入れまして、これはその平均値を超える日雇い労働者を雇った企業には、一人当たり五千円を支給するということでございまして、これは一月一日から、十五カ月間の暫定でありますが、スタートをさせていただいております。
それから、ただいま先生の御質問は緊急雇用創出特別基金の話でございます。
既に御案内のとおり、今までも中高年齢者を採用した企業には補助制度がございまして、これは特定求職者雇用開発助成金、年齢を四十五歳以上、従来は五十五歳だったんですが、春の経済対策のときにこれを十歳年齢を下げまして、四十五歳以上の中高年齢者を雇い上げた企業には賃金の一定割合を助成するという仕組みをつくりました。今回の基金は、これに上乗せをする形で、四十五歳以上六十歳までの中高年齢者を雇い入れた企業には、三十万円、一律助成をするという制度であります。
これはもちろん発動要件がありまして、全国ブロックあるいは地域ブロックにおきまして、ある一定の要件を、つまりその失業率を超えたときにはこれが発動をされる。これは従来の中高年齢者の雇用開発助成金に加えて、上乗せで発動される。これは非自発的失業、つまり会社の都合によってやめざるを得ない、あるいは会社が倒産をした、そういう方々に対して上乗せ措置として重ねて発動をされるというものでございます。
○冬柴委員 これは緊急の雇用対策ということでございますが、まだ造成されてから一カ月足らずですけれども、何人かこれの適用を受けられる人が出ているんですか。
○甘利国務大臣 ただいま申し上げましたように、発動要件がございます。これは中高年齢者を通常雇い上げた企業には、賃金の一定割合を補助する。それに加えて、非自発的失業者についての上乗せ措置の発動要件がありますが、この発動要件が、全国におきましては、連続する三カ月の各月における完全失業率が五・二%を超えた場合。それから地域ブロックにおきましては、連続する二四半期の完全失業率の平均が五・七%を超えた場合。これが発動要件ですから、まだ失業率がそこまでいっておりませんから、通常の中高年齢者の雇用開発助成金というのは出ておりますけれども、こちらはまだ発動要件を満たしておりません。