142-衆-予算委員会第三分科会-1号 平成10年03月19日

 

本分科会は平成十年三月十六日(月曜日)委員会

において、設置することに決した。

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 本日の会議に付した案件

  平成十年度一般会計予算

  平成十年度特別会計予算

  平成十年度政府関係機関予算

 (文部省所管)

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○田端分科員 薬物に対する青少年の人たちの感覚が、相当今変わってきていると私も思います。一つのファッション的な感覚でもあって、例えば先ほど申し上げた中学、高校生の女子生徒、これが約半数なんですね。それは、ダイエットにいいよということからすぐ手を出してしまう、こういう意味では、非常にさま変わりしていると思います。そしてまた、かつてのような陰湿な、ヒロポンとかシャブとかと言っていた時代と違って、今はスピードとかエスとかという隠語でこの問題を彼らの間で言っている。また、一回二千円ぐらいの値段で手に入る、こういうことからいっても、早く手を打たないと非常に大変なことになるなという感じがするわけであります。

 実は、そういうすき間といいますか間に、外国人の密売人といいますか販売組織といいますか、そういうものが入ってきている。覚せい剤で検挙された外国人を見てみますと、千九十一人が平成八年に検挙されているようでありますが、一番が韓国で四百五十二人、二番がフィリピンで二百五十六人、三番がイランで二百二十九人、こういう状況のようであります。こういう国際的な犯罪に対して、あるいは犯罪組織、そういうことに本格的に日本も取り組まないと、これは放置しているとは言いませんが、一生懸命やっていただいているとは思いますが、なお一層やっていかないと、これはますます複雑な組織になっていくんだろうと。

 例えば、今月の四日に報道されたあれによりますと、中国から一たん北朝鮮へ行って、北朝鮮から日本へ密輸ルートがある、こういう手だてをとっているようであります。したがって、国際機関、例えば国際麻薬統制委員会、INCBというのがありますけれども、こういうところと連携をとるとか、あるいは、例えば日本と中国とか、そういった国と連携をとって共同に捜査を進めるとか、いろいろなことがこれから必要になっていくかと思いますが、警察庁及び厚生省の方で、今後こういう国際犯罪に対してどういうふうに対応されていくのか、その辺のところ、お考えをお伺いしたいと思います。

 

○西村説明員 まず、外国人組織犯罪の関係でございますが、その前に、若干数字的なものでございますが、来日外国人による薬物事犯の検挙状況について若干御説明させていただきます。

 と申しますのは、平成九年中、昨年でございますが、来日外国人による薬物事犯の検挙は全体で八百七十三人でございます。前年比約一二%増というふうになっております。中でもイラン人がやはり一番多いという状況でございます。イラン人による薬物密売事犯が目立っておりまして、検挙人員は三百二十八人と、全体の三八%を占めております。

 それと同時に、イラン人につきまして、平成八年には皆無であった、麻薬特例法第八条、これは「業として行う不法輸入等」でございますが、その適用事件が九事件に上るなど、その組織化が急激に進行している、そういったことがうかがわれる状況でございます。

 ところで、覚せい剤を初めとする我が国における乱用薬物のほとんどすべては外国から入ってきているという状況でございます。そういった意味で、外国機関との協力を密にするということは非常に重要であるというふうに考えておりますし、現在もそういうことをやっております。

 そういうことを踏まえまして、警察庁としましては、薬物の仕出し国である関係諸国との情報交換、あるいは国連の麻薬委員会等各種国際機関との連携、あるいは国際刑事警察機構、ICPOを通じての捜査協力に努めているところでございます。

 今後も、さらにこういった形での協力関係を進め、かつまた、情報のお互いの共有と申しますか交換と申しますか、そういうのをやっていって、そういった犯罪組織に対応してまいる、そのように考えております。

 

○吉武説明員 私の方からつけ加えさせていただきますと、先生御質問ございましたように、国連麻薬委員会あるいは国連国際薬物統制計画等につきまして国際条約がございますので、条約の履行の監視でございますとか、あるいは、いわゆる医療用麻薬の国際流通の統制、それから、アジア諸国あるいはラテンアメリカ諸国、そういう麻薬の発生源といいますか、そういう地域に対する支援等につきまして、資金の拠出あるいは専門家の派遣、それからいろいろな会議への出席等を行っております。

 それから、麻薬・覚せい剤乱用防止センターという財団法人がございますが、こちらでは民間ベースで、こういう国連の活動を支援するための募金活動を行っていただいておりまして、この募金によりまして、国連国際薬物統制計画を通じましてアジア地域等の地域における取り組みといいますかに対する支援も行っているところでございます。

 

○田端分科員 そういうことからいきますと、密入国、ここにもしっかりと対応していかないと、密入国する人が手ぶらで来るわけがないのであって、物を持ってきているんだと思われるわけであります。

 したがって、平成八年の密入国が千七十人で

あったのが、平成九年、昨年は二千七百三十五人と二・五倍ぐらいふえているわけですね。これは、その大半が中国からですが、特に雲南省とか広東省とか、あっちの方が多いんだろうと思います。そういった意味で私は、この密入国に対しては、海上保安庁の方は一生懸命やっていただいていますけれども、もちろん民間とか自治体とか、あるいはその他入国管理局とか厚生省とか警察当局とか、いろいろ総合的に連絡をとり合ってやっていかなければならないと思うのですが、中でも大事なのは、そういう機動力、情報収集、もう一つは、やはりこれからは語学が、例えば麻薬を取り締まる場合とか、こういう密入国の場合とか、国際的な犯罪組織に対応する場合とか、そういったことに語学がどうしても必要になってくるんだろう、こう思うわけであります。

 そういう意味で、海上保安庁は一生懸命やっていただいていると思いますが、そういう点も踏まえて、今の現状をお聞かせいただきたいと思います。

 

○小原説明員 海上保安庁といたしましては、警察とか入国管理局とか、国内の関係機関はもちろんでございますが、非常に密航者の多い中国とかあるいは韓国とか、そういったところの海上取り締まり機関との非常に密接な連携を現在図っているところでありまして、さらに、海事、漁業関係者等との情報連絡体制を強化して、不法入国事犯の発生するおそれの高い海域に巡視船艇、航空機を配備する、こういうような対策をとって警戒強化に努めております。

 また、情報を入手した場合、あるいは事案が発生したときには、巡視船艇、航空機を集中的にかつ機動的に投入いたしまして、監視、取り締まりの徹底を図りまして、不法入国事犯の防止及び摘発に努めているところでございます。

 なお、先生御指摘のとおり、語学力のある職員、そういったものの事件処理に当たって非常に大切でございまして、海上保安庁といたしましては、部内の教育機関であります海上保安大学校に、中国語、韓国語、それとロシア語の話学要員養成のための研修課程を設置して、計画的に養成しているところでございます。特に、中国語につきましては、近年の密入国事犯の増加に対応するために、平成九年度に教官を増員して、研修課程の充実強化を図ってきたというところでございます。

 

○田端分科員 私、大阪の西成区というところに住んでおりますが、ここにはあいりん地区というのがありまして、つまり、覚せい剤が密売されている現場でもあるわけでありまして、私が通っても売りに来る、そういうところでありまして、そういう現状をぜひ大臣にも本当は認識していただきたいのです。

 そういう意味で、内閣の中に薬物乱用対策推進本部というのがあると思います。橋本総理がこの本部長になっていると思いますし、また、大臣も副本部長、厚生大臣とか皆さんで副本部長をなさっているんだと思いますが、要するに、こういうものが形だけになっていて、我々から見て動いているとは見えてこない、非常に残念な思いがしています。

 したがって、もう時間になりましたので、ぜひ、この薬物乱用対策推進本部が、国民の目にわかるような形で動いていただきたい、そしてこの問題に真剣に政府として取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。