132-参-労働委員会-2号 平成07年02月14日
平成七年二月十四日(火曜日)
午前十時開会
本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
(労働行政の基本施策に関する件)
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○坪井一宇君 今やっていただいていることも大事なんですが、やはりそういう日ごろの行政指導の手抜かりが、雇用促進住宅でもいざ使おうと思えばもっと使えるんですよ、あるいは入れかえをきちっとしていただいておけば。実際に、十年、十五年、しかも給料の上限があるかどうか知りませんが、そういう人がずっとお住まいになっておられて、そしてこういう危急であるときにそれだけの軒数が出てこない。近隣の府県でやれといったところで、大阪あたりに来て救援物資がどない来るのか、職業安定所のいろんな連絡が、求職というのはどない来るのか、すべてのことが非常におくれるわけでしょう。実際、私六時間かかるんですよ、神戸へ行くのに。そんな状況の中で、その近隣のところが出してくれるといっても実際には価値があるのかどうか。
ですから、日ごろの行政指導がこういうときに問われるということを念頭にいつも置いてやっていただく、これは私大事なことだと思うんですよ。そして、入っておられる方も自分の雇用がきちっとできたら出ていっていただく。そのためにつくってきた施設なんです、そこで延々と居住してもらうための施設じゃないはずなんですよ。だから、こういうときにそういうことを精査していただく。こういうときにこそ、そういうふうなにしきの御旗を、別にすぐに出ていけというわけじゃないんですよ、しかしそういう気持ちを忘れずにひとつやっていただきたいというふうに思うわけです。そのことも厳しく言いたかったのですが、時間がございません。
それから、大阪のあいりん地区を初めとして、労働者の人が集結をいたしております。今までの時間給の倍以上いただけるということもありますし、いたしておりますが、これまた大変人数的にどんどん今流入しておられるというふうに聞き及んでいる。この寄宿舎ですね、今までのようにドヤ街だけでいかすのか、そして来たらまた散るときは散れと。これがまた夏になりますと大暴動やいろいろなことが起こって、治安の問題をあなたに聞こうとしているんやないんですが、やはりこういうときにでも、そういうところから労務者の方々に行っていただけるような仮設住宅とか簡易宿泊所とか、そういったことを大阪と協議しておられるのかどうか、お聞きしたいと思うんです。
○政府委員(廣見和夫君) 今回の震災によりまして、被災地では確かに大変な復旧工事がこれから行われようといたしております。そういうところの作業に従事される方のための寄宿舎という問題も大変重要な問題かと存じます。
先生御案内のような形で、労働基準法におきましては使用者の方が作業者のための寄宿舎を設置する場合には届け出ていただく、こういうことになっておりまして、私どもの方に届け出がございます。そういったような届け出を機会といたしまして、私ども十分な作業者の方の寄宿舎の設置、あるいはその条件、安全衛生の配慮というようなこと等々が必要になってまいりますので、そういう場を通じながら十分な寄宿舎の配慮が行われるように指導をしていきたい、また現地で指導しておるというところでございます。
○坪井一宇君 指導していきたいでなくて、それにはどれだけのものを出しますよと、労働者の人にこういうことをしてもらいますよと、ですから流れてこられた方もそういうところでまた立ち直ってくださいよということもできるわけなんですよ。こういうときにそういうものも全部合わせてやっていく、労働の問題に関しても。それが非常に私は大事なことだと思いますので、ぜひそういう指導を大阪府と大阪市とやっていただきたい。そして、区域住民にそういう事件の起こらないように今後指導もきっちりと、生活が安定しておればそういうことは起こらないんですよ、わっと忙しい、わっと暇になるということになるからその格差のために起こってくるというふうに思いますので、お願いしておきたい。
最後になりますが、過日参議院の予算委員会で韓国、朝鮮人の方々に対してお話がございまして、大変私も気の重い感じをいたしております。関西、特に阪神間というのは在日韓国人、在日朝鮮人の方々が非常に多く住んで、千数百年前から我々と同化しながら一緒に都市創造を目指して頑張ってきた仲間でございます。
それに対するそういう話が出ましたので、実際上私もきょうは資料を持って、韓国の企業がこの震災で、関西興銀という会社はそこへ住んでいるというだけで五万円を明くる日から即出して対応したり、あるいは民団を中心に七十億近い金を集めようということで今やっておられますし、あるいはこれはきょう後で大臣にお渡ししますが、これだけの方々がありとあらゆるものを自分たちの同胞だけではなしに日本人の社会へ運んでいただいて努力をしていただいている。
そういうことで阪神間における韓国の方々、朝鮮の方々が本当の意味で労働力の下支えにもなっていただいていますし、あるいは経済の大変大きなウエートを占めている方々ばかり。しかも、この大震災があって、自分たちの同胞だけに限らず、私ども日本人、みんな一緒になって前へ進んでやっていこうじゃないかと。仮に言葉が何にしろ、その一つの人たちだけを名指しでこういうデマがあるということを話しされること自体が私は阪神に住む者として心の痛む思いがするわけでございます。
ぜひ大臣におかれましても閣議の中で、この阪神間に占める割合、しかも阪神間の中には一緒に過ごしてきて一緒に町づくりをして一緒に展開してきた、そういうことをさらに一層進めていただいて、またこういうことができるのはやはり条約等で批准しなきゃならないものがおくれてきているということから、そういう認識が新たにあるんじゃなかろうかという心配もいたしております。
また、朝鮮人学校では、オモニの味を振る舞うということで温かいみそ汁やキムチのいためものやらそういうものを提供し、そういう壁を乗り越えて一緒にやっていこうと、こういうことでございますので、ぜひとも労働大臣におかれましてはその点もひとつ閣議の中で強調していただきたい、そしてそういうものを払拭していただきたい。これは、特に阪神間におけるあの方々の力というものは大変大きなものでございますし、経済力も大きいし、大変税金も入れていただいている。しかしその中で、税金を入れていただきながらいろいろと日本人じゃないために差別を受けている事例もあるわけです。それも払拭して頑張っていただいているわけですから、その点のことについて最後にちょっと大臣からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(浜本万三君) 基本的な認識は坪井先生と全く同感でございますが、特に現在労働省が実施しております地震対策のもろもろの施策につきましては、国籍を理由とする差別はしないと、こういう原則に立って仕事を進めておるわけでございます。
在日韓国・朝鮮人につきましては、その有する歴史的経緯及び定住性をも考慮いたしまして、これらの方々が我が国で安定した生活を営むことができるよう配慮していく必要があると存じます。こうした観点から、被災対策につきましても、国籍の別なくきめ細やかな対策を講じていくことが必要であると存じますので、今後ともそのような認識のもとに対策の万全を期してまいりたいと思います。