[004/008] 131 - - 労働委員会 - 1

平成061006

○野村五男君 委員派遣について御報告申し上げます。

 本委員会の派遣委員は、去る八月二十九日及び三十日の二日間、京都府及び大阪府におきまして、最近における雇用失業情勢と雇用対策等につきまして、その実情を調査してまいりました。

 派遣委員は、派適当時の役職名で申し上げます

と、柳川理事、笹野理事、細谷委員、吉川委員、三石委員及び私野村の六名であります。なお、大阪において坪井委員が現地参加されました。

 京都府におきましては、府側から労働行政の概況説明を聴取いたしますとともに、松下電子工業、宝酒造及び京都市中央卸売第一市場を視察いたしました。

 京都府は中小企業が多いことなどから、有効求人倍率が全国平均よりも低く、また、昨年度の新規学卒者の就職率も前年を下回るなど大変厳しい雇用状況にあり、京都府としては、このような情勢に即応した雇用対策として新規学卒者就職支援事業などを実施するほか、婦人少年室においては大学等に対してアンケート調査を実施して実態を把握するとともに、その原因の分析にも努めているとのことでありました。

 また、京都府の労働時間は平成五年で千八百十二時間と全国平均をかなり下回っているものの、産業による差が大きく、労働基準局と連携を密にして労働時間短縮推進事業などを実施しているとのことでありました。

 松下電子工業におきましては、主に時短と産業空洞化の問題についてお話を伺いました。

 松下グループでは、労使から成るゆとり創造委員会を設け、千八百時間達成に向けた取り組みを行い、平成五年には実労働時間で千七百九十七時間を達成したとのことでありました。

 また、産業空洞化については、同社においても既に海外工場を有しており、その従業員数は全体の二六%となっている、製造業全体として見れば工場の海外移転は今後も進むだろうし妙案はない、情報産業や第三次産業など、日本の産業をトータルとして考えていく必要があるのではないかとのことでありました。

 宝酒造におきましては、主に酒造業における雇用問題についてお話を伺いました。

 同社はビール事業への参入に失敗した経験から、そめ後雇用については慎重に対処しており、現在に至るまで雇用を排除するようなリストラを行っておらず、ことしの採用者は前年より若干ふえている、障害者雇用についても五年ほど前から法定雇用率を達成しているとのことでありました。

 また、季節的な要素が強く、季節労働者に頼りがちだった清酒の製造については、季節性の脱却を目指した商品開発で、既に季節労働者は雇用していないとのことでありました。

 なお、同社から当委員会に対しまして、六十歳定年制や週四十時間労働制の適用に当たっては、実態に即した形で運用し、特に中小企業に対して十分配慮してもらいたいことなどの要望が述べられました。

 京都市第一市場におきましては、早朝五時に市場に赴き、競りの様子や仲卸の状況などを視察した後、主に市場で働く方々の労働時間についてお話を伺いました。

 市場では、荷おろしや場内移送に機械が導入される反面、二十四時間営業のコンビニエンスストアの普及など流通市場の変化、消費者のニーズの変化などにより労働量はふえる傾向にあるが、定休日のほか年二十六日の臨時休場日を設け、現在四週六休、週四十二時間程度になっている、今後も若者など後継者の確保のため休日増を図っていきたいとのことでありました。

 大阪府におきましては、府側から労働行政の概況説明を聴取いたしますとともに、大阪レディス・ハローワークを視察いたしました。

 大阪でも、京都と同様、有効求人倍率が全国平均を下回り、また、今年度の新規学卒者の就職は昨年にも増して厳しい状況が見込まれることから、大阪府において本年八月、知事を初め幹部職員が経営者団体を訪問し、特に女性の新規学卒者の採用に関して要請を行ったほか、婦人少年室と連携をとりつつ対策を進めているとのことでありました。

 また、大阪府の労働時間は、大企業の本店が多く立地していることから、平成五年で千八百七十八時間と全国平均を下回っており、労働基準局において、なお週四十時間制の完全実施に向けて啓発に努めるとのことでありました。

 なお、大阪府から当委員会に対しまして、あいりん地区の日雇い労働者問題に関し、不況により仕事量が減少していることに加え、労働者の高齢化が進んでいることから、地方自治体への助成など、国政レベルでの対策を求めたい旨の要望が述べられました。

 レディス・ハローワークでは、職員手書きのもの等、独自のパンフレットを多種用意するなど、ユニークな活動を行っており、相談件数も年々増加し、平成五年度は三万人を超え、その定着ぶりがうかがわれました。

 以上、簡単ではございますが、今般の委員派遣の概要について御報告申し上げました。

 最後に、今回の委員派遣に当たり、格別の御高配を賜りました関係者各位に対し、深く感謝申し上げたいと存じます。

 以上でございます。