[005/008] 126 - 参 - 建設委員会 - 10号
平成05年06月04日
○山田勇君 三参考人、大変御苦労さまでございます。民社党・スポーツ・国民連合の山田勇でございます。私のところからぐっと時間がまた縮まりますので、済みませんが端的に御答弁をいただきたいと思います。
まず、前田先生にお尋ねをいたします。
価格の面でも質の面でも経済合理性を追求する民間発注の工事に採用されている契約方式は恐らく一般競争入札ではないと思います。いろんな建設業者がいい意味で競争できる点は一般競争入札のよい点だと思うんですが、国民に広く利用されている公共施設を整備する業者を価格だけで決めてしまうのはどうしても不安が残るんですが、前田先生にはどのようにお考えでしょうか。
今までの論議の中でいろいろな監視制度を設けたりとかそういうことによって十分フォローできるじゃないかというお話も伺いましたんですが、再度、もう一度この点について御答弁をいただきたいと思います。
國島先生には、これは「論点」という、資料の中からいただきました新聞の切り抜きでございますが、ちょっと読まさせていただきます。「「制度の多様化」が急務である。高い技術力を発揮でき経済効率性を優先させる国際化された市場と、大企業のみが市場を支配することの弊害を防ぎ中小企業の育成と開発の相対的に遅れた地域の地元産業の雇用」云々。
この雇用制度という中で下請制度というのがございますね。私は、この下請制度という制度のあり方、決して悪いとは申しません。悪いとは申しませんが、Aという会社がとってきた公共事業をBにおろす、BがCにおろす、何か物をくれてやるというか仕事を与えてやるというような古い因習といいましょうか、習慣性といいましょうか、そういうものがまだ多少大手企業の体質の中にあるんではないか。これは誤解がもわかりませんよ。けれども、あるんではないか。いや、同じように中小企業を育てよう、零細企業も引っ張っていって育てていこうという何か気持ちが多少薄れているように私は思うんで、國島先生にこの下請制度の問題を伺いたいと思います。例えば、私が住んでおります大阪の西成区にあいりん地域がございます。ここに労務者を供給するのがあります。朝、七時半から八時ぐらいに行ったことがあるんです。それは広島の橋梁の事故のときに、あそこから行っているということで、その実態を調べるために行ってまいりました。そうすると、A建設、B建設、C建設ともう決まっているんですね。トラックが来て、A建設いったらA建設はA建設だけしかだめですね。ほかの者が入ってきてもだめというふうにもう顔ぶれも全部決まっている。そのくらい制度化、いい意味か悪い意味がわかりませんが、制度化している中で、私は、この下請制度というものについて先生の御意見があれば、また、こういうふうにやっていけばもっとよりよい効果が出るんではないかというお話があれば伺いたいと思います。
私は、通産省の法律であります中小企業分野調整法といって、公共事業に対してずっと縦割りに公正公平に予算を配分しなさいという法律があるんですから、そういうものもこれからどんどん駆使し、お使いになってやっていくと下請制度というようなものの何かいい意味の転換期にならないかなと思ってみたりいたしておりますので、國島先生の御意見をぜひ伺いたいと思います。
最後になりましたが、伊藤専務にお尋ねをいたします。
いろんな反省点に立って大変いろんな制度の改正を言われております。一般制限付だとか、会計法も多少変えていただかなければというような御意見がありました。いろんな五項目か七項目にわたって改善をやりたい、我々業者も反省に立ってやっていきたい。その中で今一番、これだけはやってほしい、これだけはどうぞ改正をしていただきたいというものがあれば、ひとつ教えていただければ幸いでございます。
三参考人の御答弁でちょうど十五分の持ち時間になると思いますので、私の質疑、これで終わらせていただきます
○参考人(前田邦夫君) 御質問ごもっともでございます。
まず、民間は日本ではもちろん指名競争入札がほとんど、特今も多いのでございますが、アメリカでも民間工事は指名競争入札もしくは、これはきょうのあれではございませんが、報酬加算原価方式というのがございます。これはコスト・プラス・フィー方式という、これはゼネコンをコンサルタント式に使うやり方でございまして、アメリカでも大変、特に連邦政府一般調達庁というのが質の低下ということから工期の延長に悩みまして、そこで考え出されてきた報酬加算原価方式、これは私の意訳でございます。実費精算方式というのは誤訳でございます。ただ、その中でも随分あれやっぱり入札があるのでございますから、全部。それから、先ほど申しましたコンストラクションマネジメント方式、そういうものが普及してきたわけでございます。ですから、一般競争入札もただ一般競争入札だけを単純に無制限にやったらそれは弊害が出ると思います。だけれども、そこでやはりコンストラクションマネジメント方式とか、そういうものを併用して実施していく検討が必要であると私は申し上げている次第でこざい
ます。
確かに価格だけでやって本当に懲りたというのは、一般調達庁がそう申しております
○参考人(國島正彦君) まず初めに、山田議員が今の下請制度といいますか、非常に社会で弱い立場の方たちのことに関心を持たれたことに、非常に心から敬意を表させていただきます。
先般、東京の近くでシールド工事のガス爆発がござい良して、そのときに不幸にも亡くなった作業員の方が、いわゆる出稼ぎの一番最下層の労働者の方であったということで、皆様御承知のように村上労働大臣が非常に問題を重視されまして、今私が知る限り、私自身も参画しているのですが、出稼ぎ、下請労働者の現場労働の実態を幾らかでも向上する方策をしたいということで、それは労働省の管轄で委員会が開かれるところに私出席しているのです。そこでいろいろ各方面の方の調査研究、あるいは私自身もいわゆる建設技術の評価を何か客観的、科学的にできないかということと、もう一つここ数年間研究のテーマにしておりましたのが、建設現場の労働環境ということをよりよくするような何か方策なり提言、政策提案ということをできないかということでいろいろやっておりました。
その研究の内容と、先般ここ数カ月やりました委員会でわかったこと、はっきりわかったことが一つある。要するに、よくわからないことがわかった。余り今まで組織的にそういう、建設業界側にとりましても、多分発注者側にとってもだと思うのですが、いわゆる重層下請のこういう下の弱いところの方たちが、例えば賃金、生活環境、教育、それから兼業の関係、失業保険との関係、あるいはどういう気持ちで家庭生活をしているかというようなことについて、必ずしも組織的にそこへ何か手だてを打つようなことを、部分的にはやられていたことはあるのですけれども、実態がはっきりわからないことがわかったということで、私自身は、結局弱い立場の方を、ある意味では使役というのは言い過ぎかもしれませんけれども、頼ってやってきた面が建設業界はある。
ただ、変な言い方ですが、今の予定価格、指名競争ということではある一定の、先ほど来の利潤と工事費の関係の話題が出ておりますが、もし仮に価格を今直ちに低くやりますと、要するに上から順番に今山田議員おっしゃったようにとっていくわけです。そうすると、さしあたり何年間かは必ずもっとひどい状態に私の理屈で考えますとなる。ただ、それが十年続くかどうかは、余りひどければやっぱり人間怒りますので、逆に何らかの改革ができないとは言えないということになると思います。
ちょっとお答えになっているかどうかわかりませんが、私の今考えてお答えできるのはこの程度でございます