007/008] 121 - 衆 - 文教委員会 - 1号
平成03年09月25日
○遠山政府委員 複式学級の問題につきまして、先生大変御熱心に実態も御調査なさりながらの御質問でございます。私どもも大変勉強になるところもございます。
今幾つかのお尋ねがございました。順次お答えしたいと思いますが、一年生、六年生を含む複式学級についてのお尋ねがございました。
確かに、一年生を含む複式学級につきましては、指導上非常に困難であるというふうなことは、私どもよく聞いているところでございます。六年生につきましても、先生のおっしゃったような観点から見れば非常に難しいという面もあろうかと思います。また変則複式の中には二年生と四年生と一緒にやるとか、欠けた学年を挟んでの複式というふうなものもあるわけでございます。そういったような複式学級について、どう指導していくか、どう対応していくかということにつきましては、指導資料の作成とかいろいろな研修会の実施とか等の努力もございますし、また定数の観点からいいますと、今実態調査をしております正確な調査結果がまとまり、それを分析しました上で、今後におきます教職員定数のあり方全体の検討の中で複式学級のあり方についても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
それからまた、校長、教頭を含めて、複式学級の解消のような形で指導してはどうかという御提案でございます。
その角度の御指摘というのは、一方で御留意いただきたいことは、やはり教育の場としてふさわしい、秩序のある学校運営が行われるような教職員の組織というものが整えられて、それぞれの役務に乗っかってやっていくというのがいわば基本でございます。ただ、僻地における複式学級を持つようた学校におきまして、小規模の学校における特有の問題の角度から、教頭先生がその時間を割いて授業を行ったりするというふうなことにつきましては、これは違法とまではいかないわけでございます。その辺は違法とまではもちろん言えないわけでございます。地域の実情に応じてさまざまな工夫がなされることが必要かと存じているところでございます。
また、将来の法改正といいますか、その問題につきましては、先ほど大臣がお答えいたしましたように、現在の調査結果を待って慎重に検討してまいりたいと考えております。
○沢藤委員 二つの点について追加して申し上げたいのですが、定数標準法ですね、標準法と言わせていただきますが、これの法律なりあるいは政令なりというものを見た場合に、定数法の特例条項がありますね、十五条の一号、二号。これは産炭地、石炭産出の地域の不況対策の一環として、そういう地域には教職員の増配ということでてこ入れしようじゃないかとか、同和地区に対しては加配をするとか、あるいはさっき見ましたら、簡易宿泊所を置いているところにも、密集している地区にも加配する。これは簡易宿泊所というのは釜ゲ崎とか山谷がそうです。そういった特例が堂々と法律にも政令にもあるわけですよ。そうしたならば、私は産炭地も釜ケ崎も必要だと思いますよ。これは否定はしません。しかし同時に、それ以上の教育的な困難を抱えて、しかもその条件がなかなが解消できないような僻地に対してなぜ特例ができないか。この基本を私は疑う。その気になればできるはずなんですね、法改正なり政令を変えるなり。これが一つ。
それから、校長、教頭については、私は校長先生、教頭先生にしゃかりきになって働いてもらいたいという趣旨で申し上げるのじゃないけれども、かつては学校教育法そのものが、教頭職そのものがいわゆる教諭であった。児童生徒の教育をつかさどる一員であった。それが教頭職になり管理職手当が出た。学校長には学校教育法上教育をつかさどるという文言がなくなった。教頭のところには、「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」「必要に応じ」、実際の受け取られ方は、校務、校長の補佐というところに重点が置かれていまして、「児童の教育をつかさどる。」というのにはほとんど重点が置かれていないというのが全国的な。状況じゃないでしょうかね。
そういった中で、私はさっきもちょっと触れた主任手当、人確法の論議が盛んであったころに文部大臣が見解を述べられた。その全部については紹介しませんけれども、その中でこういうふうに文部大臣見解、昭和五十一年の十二月です。七つの原則が要約されているのです。
その、うちの一つ、「学校は行政官庁でも企業体でもない。したがって、学校の運営を行政官庁や企業体のように管理の側面からだけでとらえることはできない。」そして二つの柱、管理面と教育指導があるんだけれども、どちらかというと管理強化と管理阻止という火花が散っている。これはもう一つの重要な柱である教育指導の面が軽視されているからじゃないかという指摘を大臣がしているのです。私はこの見方は正しいと思う。
私は、学校長をやってやめたある人から手紙をもらいました。これは後でコピーして大臣にもお上げしますけれども、すご胸を打つことがたくさんあるのですが、常にその校長先生は教員に向かってこういうことを言っているのですね。「教職員が同じ方向を指して生徒指導にあたること。」これが教育の原点だ、教育者としての原点だ、こういうことを言って、います。教職員が四十三名の学校ですが、「四十三人が同じ方向を向けば、その力は四十三プラスアルファとなり」「しかし逆に四十三マイナスアルファとなれば、限りなくゼロに近づく」という指摘を校長先生がしまして、とにかく一緒にやろうじゃないか。それで非常に問題点の多い学校だったけれども、転任することを考えないで、逃げることを考えないで、まずことし一年一緒にやろうじゃないかという呼びかけをして問題を克服したという事例がある。
これはいつかゆっくり御紹介申し上げたいのですが、そういったことからして、私は、学校教育法上も施行規則の中の第二十三条に、「小学校においては、校長のほか、各学級毎に専任の教諭一人以上を置かなければならない。ただし、特別の事情のあるときは、校長又は教頭が教諭を兼ねることができる。」という条項がありますね。これは活用できるはずですね。どうですか。――学校教育法施行規則第二十二条です。
○遠山政府委員 校長と教頭の職務と、それから授業を行うかどうかの判定につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますけれども、校長は、学校におきます最終責任者といたしまして、学校運営の管理に当たることが本来の職務でございまして、直接授業を行うことは、本来の職務として予定はされていないところでございます。
教頭の職務に関しましては、先生がおっしゃいましたように、「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」ということも規定されているところでございまして、教頭では、現実に小学校、中学校、高等学校ともに、小学校では四二%、中学校では六九・五%、高等学校では六七・二%の方々が授業を担当しているところでございます。今の複式学級編制ということから敷衍いたしまして、一般論化された形でのことではございませんで、むしろそこに限定された形でいきますと、それぞれの地域の実情に合わせてさまざまな工夫がその面でも行われていったらいいというふうに考えるところでございます。
それから、先ほどの政令の問題はよろしゅうございますか。