162-衆-国土交通委員会-23号 平成17年06月28日

 

平成十七年六月二十八日(火曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      石田 真敏君    岩崎 忠夫君   江崎 鐵磨君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君   木村 隆秀君    河本 三郎君

      櫻田 義孝君    高木  毅君   寺田  稔君    中野 正志君

      葉梨 康弘君    林  幹雄君   原田 令嗣君    古川 禎久君

      保坂  武君    松野 博一君   森田  一君    内山  晃君

      下条 みつ君    高木 義明君   玉置 一弥君    樽井 良和君

      中川  治君    永田 寿康君   長安  豊君    伴野  豊君

      松木 謙公君    松崎 哲久君   三日月大造君    室井 邦彦君

      和田 隆志君    若井 康彦君   佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   近藤  剛君

   (日本道路公団副総裁)  内田 道雄君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

  本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件

     ――――◇―――――

 

○中川(治)委員 

 最後にちょっと、全然別の件だけ幾つかお聞きをしたいと思っております。

 実は、これは厚生労働省にかかっている法案でございまして、建設労働者派遣法とか建設労働者雇用改善法というふうに言われている法案が今回出ております。私は、本来これは国土交通省と連合審査にすべきだというふうに思っておりましたんですけれども、なかなかそういう方向でもないということもございますので、あえてこの場でお聞きをしておきたいというふうに思っております。この委員会の一番最初で、自民党や公明党の皆さんと私たちも加わって成立をさせた公共工事の品質確保法のこれからのあり方にも私は非常に影響をしかねない大事な法案だというふうに思っておりますので、一言だけ申し上げておきたいという思いで質問させていただきたいと思います。

 まず、この法案の基本的な方向等について、ごく簡単に、時間がありますから別にごく簡単でなくてもいいですけれども、厚生労働省の方からお願いします。

 

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、建設業をめぐりましては、中長期的に見ますと、建設投資が大変大きく減少し、また今後もそういったことが見込まれるわけでございますが、そういう中で、建設労働者の雇用というものが不安定化するおそれがある。こういう中で、建設業の特性としての、いわゆる受注産業であるというこの特性から来ます、一方で労働者を過剰とする業者がおる、他方で労働者を不足とする業者がおる、こういうことが共存をしておる状況にあるわけでございます。

 同時に、昨年の閣議決定されました骨太二〇〇四、この中で、建設業におきまして関係省庁が連携をして、生き残りをかける、そういう観点からの新分野への進出、これを支援していこう、こういうような大きな背景事情があるわけでございます。

 こういう中で、私ども雇用を預かる立場の厚生労働省といたしまして、やはりこうした状況にあることを踏まえて考えますと、工事の受注というものがそう大きくは回復しない、むしろ減っていく、こういう厳しい状況にある中で、建設労働者の雇用の安定をどう図っていくか。また同時に、業界内では、例えば新分野進出等々を図ります場合にも、技能労働者をどう確保していくかということも大きな課題になるわけでございまして、こうした観点から、一つは、やはり雇用の安定を図っていくために、場合によっては円滑な労働移動を図っていただく必要もあろうかと思いますし、同時に、新たな業界内での労働力需給システムというものが考えられないだろうか、こういうような認識、問題意識のもとで、昨年来、新たな労働対策を策定すべく、労働政策審議会で御議論をいただいたわけでございます。

 この一月に結論というものを取りまとめていただいたわけでございますが、この中で、一つは、実施計画の認定を受けました事業主団体、これが実施をいたします建設業務有料職業紹介事業、これを創設していく。いま一つは、新たな労働力需給調整システムとして、やはり実施計画の認定を受けました事業主団体の構成事業主間で、自己の保有する常用労働者、この常用労働者を送り出す、あるいはまた受け入れる、こういうこととしての建設業務労働者就業機会確保事業、こういうものを創設するということを御提言いただいたわけでございます。

 こうした趣旨を踏まえまして、今般、私ども、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案、これを今国会に提案させていただいたということが概要でございます。

 

○中川(治)委員 この建設業の有料紹介事業、それからもう一つは派遣事業ですね。そういうものを認めて、全国的にアンバランスになっている、その中で仕事にありつけない、そういう建設労働者の雇用機会をできるだけ確保していこうということですよね。そういうことが趣旨でされているんだと思います。

 ただ、もともといわゆる建設現場でのピンはねを許さないということでずっとかかってきた規制が今回初めて緩和をされる、こういうことになるわけですね。そういうこととの関係での留意点というのはあるんですか。

 

○高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、一般的に申し上げまして、有料職業紹介事業なり労働者派遣事業につきまして、建設業務は禁止をされております。これは、その背景として、やはりこれまでの歴史的経過等々を踏まえますと、悪質なブローカーが介在することによって、中間搾取でありますとか強制労働でありますとか、こういう懸念というものがあるということがその前提としてあるわけでございます。

 ただ、今回、今御説明申し上げましたように、事業主団体が実施計画を策定し、それを認定を受ける。この事業主団体にかかわって、一つの有料職業紹介事業を認めていこう、あるいは、派遣というお言葉がございましたが、余剰、過剰の間で労働力の送り出し、受け入れを行っていこうという新たな事業を創設するということにいたしたわけでございます。

 そういう観点から申し上げますと、実施計画を策定いたします事業主団体を、どうその対象を絞っていくかということが大変重要な課題でございまして、この点につきましては、労働政策審議会での御議論とその結果としての報告の中でも、特に悪質ブローカー等の介入等による中間搾取、強制労働等の弊害の排除に万全を期す、その観点から、認定を受けることができる事業主団体については可能な限り対象を限定することが必要である、こういうような御指摘がございまして、私どもとしても当然、この構成事業主を指導し、また、適正に実施計画の内容を実施する能力のある事業主団体、これに極めて限定した形で対象を定めていこうということを考えておるところでございます。

 

○中川(治)委員 事業を実施する団体、それを極力限定するというふうに私も聞きました。

 一方で、やはり、公共事業も含めて値段は安い方がいいということもあるんですけれども、日本じゅうから一番安いでき合いの技術者を集めてくる、私は、ある意味ではこれは緊急避難的措置としてやむを得ないのかなという思いはありますけれども、かつては、それぞれの企業の系列ごとに、職人を育てる、技術者を育てる、そういうことを大手の企業は一つの流れの中でやってきたんですね。そういうことをもうやめてしまうということにならないように、本当に現場で働いている皆さん方のところのその技術レベル、そういうものを確保するためにも、きちっとした入札のあり方だとか、上だけがかすめ取るんではなくて、下の方にしっかりとお金が回るような仕組みというものが私は必要なんだと思います。

 そういうこととの関係で、これが野放しになると、本当の意味で日本の現場での技術力といいますかそういうものが完全に低下していくな、これは逆に言えば、これこそ日本の建設文化の崩壊につながるな、極端に言えばそういう思いがしておりまして、この法案は厳格に適用すべきだということを大臣からもぜひ厚生労働省の方に、成立すればでございますが、やっていただきたいなというふうに思っております。

 気になって調べてみましたら、例えば事業協同組合ならオーケーだ、事業協同組合でも十年たったら、こういうことも後で決めるということになっておるんですね、省令か政令で決めるということになっておるんですね。それで、社団法人だとか財団法人はオーケーだ、しかし事業協同組合については、一定の制約をやって、十年以上の事業協同組合。御存じのように、事業協同組合というのは四つの会社でつくれますから。

 それで、大阪なんかを調べてみますと、大臣、建設関係の事業協同組合というのは二百二十二、そのうち、十年以上たっているのは何と百六十七団体あるんです。関空のときにいろいろもめました。あそこは人夫出しだけでピンはね企業やとかピンはねグループやとか、いろいろな系列の人もおったり、一生懸命まじめにやってはる組合も含めて、百六十七の中にいろいろな人が入っておるんです。

 やはり、そんなことも含めて、通り一遍で規格を決めたらオーケーですということではなくて、厳格に適用するということをやらないと、私はこれは大変なことになるなと。日本の建設現場の、これ以上低くなってはならない、一番底で働いている人らの給料がさらに引き下げられるということにもなりかねないなというふうにも思っております。

 それから、ホームレスの問題に取り組んでいましたら、釜ケ崎の仕事のあり方、表に出てこないようなところでいっぱいそういう問題も出てきます。そういうことが法的にオーケーなんだという風潮にならないように、ぜひ厳格な適用を求めるということをやはりやらないと国土交通省としてはだめなんじゃないのかなという心配がございまして、きょうは取り上げさせていただいております。

 大臣の感想、考え方をお伺いしたいと思います。

 

○北側国務大臣 建設業が依然として厳しい経営環境にある中で、建設技能労働者の就業の場を確保し、その雇用の安定を図るということは大切なことであると思っております。ただし、今回のこの改正案というのは、そういう意味では緊急避難的かつ限定的な仕組みとして検討がなされているものというふうに理解をしておるところでございます。

 委員のおっしゃったとおり、この新たな制度の導入に当たりましては、建設労働者の適切な雇用環境が維持されるとともに、悪質ブローカー等の介入を許すことがないよう制度が厳格に運用されることが重要であると考えておるところでございまして、この事業者団体につきましても、今、厚生労働省において限定する方向で検討されているというふうに聞いておりますが、私どもといたしましても、悪質ブローカー等の介入による中間搾取等の弊害の排除に万全を期す観点から、特に慎重に検討する必要があると考えております。

 いずれにしましても、厚生労働省とはよく連携を密にとりまして十分に調整をしたい、今の委員の質問の御趣旨に沿うような形でよく調整をさせてもらいたいと思っております。