159-衆-決算行政監視委員会第三…-1号 平成16年05月17日
本分科会は平成十六年四月二十八日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
五月十四日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
津島 恭一君 萩生田光一君 松岡 利勝君 森田 一君
山本 拓君 内山 晃君 五島 正規君 西村智奈美君
山名 靖英君 古賀潤一郎君
五月十四日
山名靖英君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十六年五月十七日(月曜日)
午前九時開議
出席分科員
主査 山名 靖英君
津島 恭一君 西村 康稔君 葉梨 康弘君 萩生田光一君
松岡 利勝君 森田 一君 山本 拓君 石毛えい子君
内山 晃君 五島 正規君 末松 義規君 辻 惠君
西村智奈美君 増子 輝彦君 松野 信夫君 古賀潤一郎君
兼務 城内 実君 兼務 城井 崇君 兼務 中根 康浩君 兼務 平岡 秀夫君
兼務 馬淵 澄夫君 兼務 赤羽 一嘉君 兼務 大口 善徳君 兼務 高木美智代君
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厚生労働大臣 坂口 力君
農林水産大臣 亀井 善之君
厚生労働副大臣 森 英介君
農林水産副大臣 金田 英行君
農林水産大臣政務官 木村 太郎君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 大濱 正俊君
会計検査院事務総局第二局長 増田 峯明君
会計検査院事務総局第四局長 友寄 隆信君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 山木 康孝君
(法務省刑事局長) 樋渡 利秋君
(文部科学省大臣官房審議官) 金森 越哉君
(厚生労働省大臣官房長) 鈴木 直和君
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 井口 直樹君
(厚生労働省医政局長) 岩尾總一郎君
(厚生労働省健康局長) 田中 慶司君
(厚生労働省医薬食品局長) 阿曽沼慎司君
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 遠藤 明君
(厚生労働省労働基準局労災補償部長) 高橋 満君
(厚生労働省職業安定局長) 青木 功君
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 太田 俊明君
(厚生労働省職業能力開発局長) 上村 隆史君
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍藤 忠春君
(厚生労働省社会・援護局長) 小島比登志君
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 塩田 幸雄君
(厚生労働省老健局長) 中村 秀一君
(農林水産省大臣官房総括審議官) 村上 秀徳君
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
(農林水産省生産局長) 白須 敏朗君
(農林水産省経営局長) 川村秀三郎君
(林野庁長官) 前田 直登君
(水産庁長官) 田原 文夫君
(農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君
決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君
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本日の会議に付した案件
平成十四年度一般会計歳入歳出決算
平成十四年度特別会計歳入歳出決算
平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書
平成十四年度政府関係機関決算書
平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書
(厚生労働省、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)
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○辻分科員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
前回、予算委員会の第五分科会、これは本年の三月一日に行われたものでありますが、そのときに、野宿者の問題について坂口厚生労働大臣を初めとして質問をさせていただきました。本日は、前回の質疑の中で明らかになった点、さらに、今後の課題ということで残っていた点に関連して、質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、この問題につきましては、二〇〇二年の八月七日にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が施行され、これに基づいてホームレスの自立の支援等に関する基本方針というものが二〇〇三年七月に策定されました。この基本方針の中で、ホームレス対策については就業機会の確保をされることが最も重要であるということがうたってあります。ただ、同じ基本方針の中では、このことについては民間団体と連携を図って進めるんだということがうたわれております。
そこで、国として、ホームレスの就業対策について独自の施策がやはり必要とされるのではないかと思いますが、この点については、大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 ホームレスの問題につきましては、皆さんに法律もつくっていただきましてようやくスタートをしたところでございまして、それは雇用の問題、健康の問題、住宅の問題、福祉の問題等々、さまざまな角度からスタートいたしておりますが、いずれにいたしましても、スタートしたところでございまして、まだどの分野におきましても十分といったところは私は存在しないんだろうというふうに思っております。これから引き続き全体的にこれは充実をしていかなければならない。
とりわけ、今まで雇用の問題もかなり手がけてきているようでございますけれども、それではもうこの人たちの雇用が十分かといえば、一般の雇用がまことに厳しい中でございますから、これはこれからも積極的にやらなければいけないというふうに思っております。
健康問題も指摘されておりまして、この健康問題も大変大きな問題でございますから、ただ単にホームレスの皆さん方だけの問題ではなくて、例えば結核でございますとか伝染性の疾病というものもあるわけでございまして、周辺に拡大をするということもあり得るわけでございますので、健康診断等につきましてはより積極的に行っていかなければいけないというふうに思っております。
いずれにしましても、この皆さん方お一人お一人に丁寧に対応をして、そしてお話を聞いていかないと前に進まないんだというふうに思っておりますので、そこのところをこれからどう手数をふやしてやっていくかというところが、課せられた課題として、いずれの問題を解決するのにも大事な問題だというふうに今認識をしている次第でございます。
○辻分科員 今御答弁なされましたように、健康の問題とかいろいろ多岐にわたる問題の中でホームレス問題を考えていかなきゃいけないということは御指摘のとおりだと思いますが、やはり就労支援の問題というのも大きな核として重要なのではないかというふうに考えるものであります。
平成十六年度のホームレス対策予算案の概要を見ますと、三十億一千八百万円でありますが、そのうちで就業機会の確保ということで予算が組まれているのは九億四千八百万円、三分の一弱なのであります。
この点に関して、前回の分科会では、恒久的な公的就業事業というのは本来国の雇用対策としてはとっていないんだというようなお話があって、それとの関連で緊急地域雇用創出特別交付金事業というもののお話がございました。この交付金事業に基づいて地方公共団体においては緊急かつ臨時的な雇用就業機会の創出の施策を講じている、そういう関連でありますが、この交付金制度が平成十六年度で期限切れになるということに関連して、坂口大臣、前回、交付金制度は今後どうしていくのかが問題である、そして、平成十六年度はまさに移行期にあるんだ、こういうお答えをいただきましたが、この御趣旨はどういうことでありましょうか。どういう状態からどういう状態へどのように移行するということで移行期ということをお述べになられたのか、その点をお伺いさせていただきたいと思います。
○坂口国務大臣 今御指摘の緊急地域雇用創出特別交付金でございますが、これは平成十六年度を限りといたしました制度でございまして、失業者が非常にふえておりますときに、失業されている皆さん方にとにかく一時的に職をつないでいただいて、そしてそれを本格的な雇用にどう結びつけていくか、そういうことでスタートしたというふうに思っております。
経済の動向も若干は変わってまいりましたけれども、雇用全体の状況が必ずしもそれに並行いたしましてよくなってきているというところまでも至っていないというのが現状ではないかというふうに思っております。そうした中で非常に目立ってまいりましたのが、いわゆる地域格差でございます。
例えば、雇用の問題で非常に失業率が依然として高いのは、北から言えば北海道地域、大阪を中心としました近畿、そして、福岡を中心といたしました九州の地域といったところが特段失業率が高い、そこは依然として変わっていないという状況にあります。地域によりましては非常によくなってきているところもありまして、失業率三%台になっているところもございますし、それから、全体の求人も非常にふえてきている地域もあるわけでございます。
今後、この交付金をどう、私は、交付金をこのままで今後もまた続けていくということはもうできないというふうに思っております。しかし、今後の雇用情勢を見ながら、これにかわるべきものとしてどうしたものをつくり上げていくかということが大事だというふうに今考えているところでございます。
それは、今申し上げましたように、地域的に非常に失業が多いといった地域に対してどういう手を打つか、そこにどう手を差し伸べるかということが一つの大きな柱ではないかというふうに思います。それから、もう一つは年齢的なものでございまして、とりわけ高校生でありますとか高校を卒業して間もないお子さん、そういう非常に若い皆さん方に対してどう手を差し伸べていくかというような問題がある、あるいは六十歳代の皆さん方の問題もありますし女性の問題もあろうかと思います。
そういう年齢とかあるいは地域というふうに特化をして、今御指摘になりましたホームレスの問題等もその中に特化すべき課題の一つかもしれません。そうしたところに特化をして、これからどう手当てをしていくかということに非常に重点的な財源の使い方をしていくということが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
○辻分科員 今御答弁いただきましたように、この交付金制度というのは、本来は、財政構造改革の中で失業者が生じる可能性があるということで、その対策として、平成十一年度から三年間、そして新たに平成十四年度から三年間、これは補正予算として組まれたものであるということから、ある意味で暫定的なものであって、これは本来的には失業対策全般の問題であるという性格を持った交付金なわけであります。
そういう意味で、今大臣がお答えいただきましたように、地域格差の問題に特化した対策とか、あと年齢に特化して高校生の問題とか、そして、あわせてホームレスの問題についても特化した対策を立てなければいけないんだ、こういうお話だと思います。
これは後でまた少し突っ込んで伺わせていただきたいと思いますが、ホームレスに関して特化したものとしては、先ほど申し述べましたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法というのがありますから、本来的には、この措置法の中でホームレスの問題をもっと充実した施策を講ずるように論じられるべきなんだ、こういう理解になるかと思いますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
○坂口国務大臣 それはそういうことだというふうに思います。
○辻分科員 雇用対策ということで、前回の御答弁では、ハローワーク等の中でホームレスの対策についても特別な対応ができる専門員を養成する等施策を講じなければいけないというこのお答えは、国の雇用対策全般の中で、その一環としてホームレス問題をどう考えるのかという関連で御答弁いただいた、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○坂口国務大臣 そういう趣旨で御答弁させていただいたというふうに私も思っております。
○辻分科員 そこで、今後どうするのかという問題でありますが、一方でこの交付金から拠出される基金の中からの拠出によって、現に今、地方公共団体の雇用創出の施策は講じられている。だから、交付金がなくなると、地方公共団体としては現在ホームレス対策として雇用創出の施策の資金が、ある意味では一時的な交付金の中で手当てしているものが、交付金の性格が先ほど大臣も述べられたような暫定的なものであり、それをそのまま継続するのが難しいということになるのであれば、どこからか拠出する資金が講じられなければ地方公共団体側としても非常に困るわけであります。
ですから、国の側の施策として、現在地方公共団体が行っているそういう雇用創出の施策とリンクするような予算の措置をどのように講じていくのかということが課題となると思いますが、この点についてはどのようにお考えですか。
○太田政府参考人 ホームレスの雇用対策でございますけれども、御案内のように、現在でも求人情報の収集とか求人開拓とか、あるいはきめ細かな職業相談、さらには試行雇用事業あるいは技能講習等々やっているわけでございます。また、今年度からも、新たにホームレスの方々のニーズに合わせて求人が確保できるようにホームレスの就業開拓推進員を配置したところでございます。
こういう形で総合的な就業機会の確保に取り組んでいるところでございますけれども、今お尋ねのように、交付金事業が大変大きな役割を果たしているということも事実でございますので、これにかわる新たな対策を実施する予定はないのか、どうするのかということでございますけれども、来年度以降、新たな対策につきましては、大阪府や大阪市からもさまざまな御要望をいただいているところでございますので、私どもとしましても、今申し上げました現在の対策に加えてどのような対策が必要なのか、どういうことができるのかということにつきまして、御要望も踏まえまして十分検討していきたいと考えているところでございます。
○辻分科員 あいりん地区について、雇用創出として予算として八億五千万ほど組まれていて、このうちの六億六千万が交付金からの基金から拠出されているという関連になっているわけであります。ですから、交付金制度が期限切れで、来年度、平成十七年度からどうなるのかということは、今、例えばあいりん地域で雇用創出の施策を講じている地方公共団体、大阪府、大阪市の側からすれば、非常に重大な関心のある事項なわけであります。
今、その辺については、前向きに府、市からの要望も踏まえて努力をするというようなお話がございましたが、もう少しその辺について、検討されていること及びどのように努力をされようとされるのか、ある程度概括的にしかお答えになれない面もあるかと思いますが、その辺、少し基本姿勢を伺わせていただきたいと思います。
○太田政府参考人 先ほど来お話ございますように、交付金事業につきましては、まさに期間限定の特別事業、それからまた、ホームレスということではなくて一般的な雇用対策事業で、それを大阪においてホームレスにも活用していただいているところでございますので、これを延長することは、正直言ってなかなか困難と考えております。
その後どうするかということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、大阪府、大阪市からもいろいろな御要望をいただいておりますので、そういうことを踏まえて、どういうことが必要なのか、何ができるのかということを検討してきたわけでございますけれども、ホームレスの方々の就業ニーズ、あるいは置かれた状況というのも極めて多様でございます。年齢もかなり高くなってきている、平均年齢が五十六歳ぐらいになってきているというような状況もございます。それからまた、健康状態も、健康の不調を訴えている方が半分ぐらいおられるということでございます。そういう中で御要望を聞きますと、なるべく軽く臨時的な仕事が欲しいというような要望もございますので、そういう仕事を何とか確保できるような事業ができないかということも含めて、何ができるかということを十分検討してまいりたいと思っております。
また、あわせて、健康状況とか生活状況とかいろいろな問題がございますので、仕事の確保も大事でございますけれども、ホームレス対策全体としての対応も必要ではないかと考えているところでございまして、こういうことも、全体、総合的に検討させていただきたいということでございます。
○辻分科員 非常に前向きに検討していただくという御答弁をいただいて非常にありがたいことだと思うんですが、やはり予算措置が講じられて現実の施策を行うことができるわけでありますから、先ほど御紹介申し上げたように、あいりん地区では八億五千万円の雇用対策費のうち六億六千万円が交付金から来ている。そうすると、その足りない分をどこで手当てするのかということが当然問題にならざるを得ないわけでありますが、それは厚生労働省の十七年度以降のホームレス対策予算案の中で予算措置を講ずるということを基本と考えておられるのか、それ以外の手段、方法を同時にお考えになっているのか、その点はいかがなんですか。
○太田政府参考人 交付金事業そのものは確かにかなりの額に上っておりますけれども、これはまさに臨時、緊急として、補正予算を講じまして基金から講じているということで、特別な枠でもってやったものでございます。
ただ、今回、新たにホームレス対策を考えますと、そういう特別の事業枠というのはなかなか探すのは困難でございますので、やっぱり一般的なホームレスの対策の中で、予算の枠はございますけれども、考えざるを得ないということであると考えておるところでございます。
○辻分科員 各自治体では実施計画というのを具体的に策定して、この四月から具体的に実行しているところであります。
大阪府におきましても、例えば大阪府ホームレスの自立の支援等に関する実施計画というものを策定して具体的に進めている。その中では、ホームレスの方々を四タイプに分けて、就労を望むタイプ、福祉等の支援で就労して生活を望むタイプ、福祉制度の活用を望むタイプ、社会生活を望まないタイプということで、四つのタイプに類型化できるのではないかということで、それぞれに対して施策を講ずるということを実施計画の中で予定しているわけであります。
就労を望むタイプにつきましては、職業紹介とか職業訓練とか技能講習とか、就労、自立に向けた施策を講じなければいけない。福祉等の支援で就労して生活を望むタイプにつきましては、生活、住宅等の支援とか仕事で自立できるよう提供するとかいうことが必要である。福祉制度の活用を望むタイプについては、やはり生活保護、社会福祉ということが主要な施策になろうと思います。そして、このままでいい、もう社会生活を望まないんだというタイプについては、社会的な適応をしていただくための相談事業等を充実させていかなければいけないということで、大阪の場合はその実施計画を進めようとしているわけであります。
現段階でこのような実施計画、これは結局、実施の状況を見て具体的には評価をし、さらに国としてそれとの関連でどういう施策を講ずるのかというお考えになろうかと思いますが、このように四つのタイプに分けて施策を講じようとしているということについて現段階でどのような評価をお持ちなのか、お答えいただければと思います。
○小島政府参考人 私どもの行いました実態調査におきましても、ホームレスの方は約半数が就労を望んでおられる、しかしながら、約一割の方は、もうこのままでいいという方がおられるということでございまして、その間に、いろんな考え方なり過去の人生経験等を踏まえましてこれから老後に向かってどうしていったらいいかというふうな考え方は、それぞれかなりばらつきもあろうかと思いますので、大阪府におかれましては、最大の、日雇い労働者が数多く集まっておられますあいりん地区の状況を踏まえて、そういった実施計画を策定されているというふうに認識しております。
○辻分科員 時間が余りありませんから先に進みますけれども、先ほど四タイプに分けた、福祉制度の活用を望むタイプという、類型化されている関連でいうと、やはり生活保護の問題にかかわってくるわけであります。
大阪市の生活保護の予算は約二千億円超であって、受給率を見ますと、市内全体で千分比で三五パーミル、西成地区に限ると千分比で一五〇パーミルということで、非常に高率なわけであります。そういう意味におきまして、生活保護に伴う予算というのは、非常に金額としても巨額に上る形になる。一方で、自立支援、就労を強化すれば、その分、生活保護に依拠する人の割合が減るわけでありますから、生活保護の予算は低減化することができる、こういう関連になるのかなというふうに思います。
国の立場と地方公共団体の立場でその辺の役割分担という問題は一応ありますけれども、やはりホームレスの自立支援なり就労対策ということを十分に講ずれば生活保護を必要とする層も低減するという意味におきまして、予算措置も非常に講じやすくなる。そういう観点からいえば、生活保護との関連で見たときに、やっぱり国の積極的な施策が要請される、政策的な有効性をそこで確認できるのではないかというふうに思いますが、この考え方についてはどのようにお考えでしょうか。
○小島政府参考人 ホームレスの就労対策ということにつきましては、まず、自立支援センターというものが各地域にございまして、そこで、ホームレスの方々が入所していただきまして、四カ月から六カ月間の間、生活相談あるいは就労相談をして、できれば就労していただくということでございます。全国的に見ますと、約半数は就労なさっていますが、約四割弱ぐらいは福祉の措置ということで生活保護の方に来られる方も多数おられます。
生活保護に来られましても、やはりそこは自立支援、就労ということが大変重要でございまして、生活保護制度のサイドからも、十六年度から自立・就労支援等事業費ということで新たに二十億円の予算を計上いたしまして、自治体に、被保護者の方に対する就労支援というのを行っていくということでございまして、ホームレスの方々につきましては、まず最初に、その地域の自立支援センターにおける就労指導、それから、生活保護になられてからもきめ細かな特別補助制度による就労指導ということを行おうとしておりまして、先生おっしゃるとおり、もし就労して収入を得ていただければその分保護費の支給は減るということですから、財政的な効果はあるということでございます。
○辻分科員 生活保護について、現段階では国の負担割合は四分の三である、これが三分の二に低減化するんだということについては、その妥当性については疑問であると私は思いますけれども、生活保護を、とりわけこの西成のホームレス問題を考えるときに、その割合をどのように低減化させていくのかというのは非常に重要な視点であって、そういう意味におきまして、就労の機会を増大させていく、国の施策としてそのことを講ずべき必要性というのはやはり非常に重要なものではないかというふうに思うわけであります。民間施設へ委託するということだけではなくて、国が独自に雇用拡大に向けた施策を講じていくということが要請されているんだろう、このように思います。
そこで、最後に、ホームレスの自立支援等に関する特別措置法の第三条の二号を見ますと、「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行われる、これらの者に対する就業の機会の確保、生活に関する相談及び指導の実施その他の生活上の支援により、これらの者がホームレスとなることを防止すること。」というのが法の目的の中に入っているわけであります。ですから、このホームレスの自立支援等に関する特別措置法は、ホームレスだけにはとどまらず、そのようなホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域においては、いわばホームレス予備軍とみなされる人たちに対する施策も同時にこの特別措置法の射程範囲に入っているというふうに理解できますが、これはこういう理解でよろしいんですね。
○小島政府参考人 先生御指摘のとおりであるというふうに思います。
○辻分科員 この「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域」というのは、全国で寄せ場と称せられるところ、山谷とか寿とか笹島とか釜ケ崎だ、そういう地域がこの法律の三条の二号で言う地域であるという理解でよろしいんですか。
○小島政府参考人 必ずしも地域限定をしているわけではございませんが、そういうところが該当するというふうに思われます。
○辻分科員 大阪の釜ケ崎地域を考えてみた場合に、大阪市の出身の人が一割、二割で、残りの八割、九割は近畿圏とか西日本から集まってきておられるということのようであります。そういう意味で、寄せ場のホームレスを含んだ日雇い労働者の人たちというのは、その地域の住民だという住民性といいますかその性格が希薄である。したがって、住民というよりは国民ということでくくることがより濃厚なわけであります。
だから、そういう意味で、寄せ場の問題というのは、地方公共団体のその地域の住民性の問題というよりは、むしろ大きく都市問題という性格を持ってきているものだと思います。そういう意味で、ホームレス及びホームレス予備軍に対する就労支援、就労機会の増大ということを保障するのは、本来、国の施策であるというふうに私は考えますが、この点はいかがですか。
○小島政府参考人 今御指摘されましたように、大阪府が、ことしの四月、「ホームレスの現状」といたしまして、他府県出身者が七六・四%、大阪府出身者が四人に一人にすぎない、こういうふうに言われております。
ホームレスの多くは職を求めて大都市に流入しました地方出身者であるというふうな実態はあろうかと思いますが、しかしながら、ホームレスの方々にとりましては、やはり最も身近な市町村といえばきょう住んでいる市町村だということでございまして、それなりの対応というのをしていただかなきゃなりませんし、国は、厚生労働省といたしましては、引き続き、地方自治体と相協議いたしまして、必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○辻分科員 時間が参りましたから、また改めてこの問題については継続的に取り上げさせていただきたいと思いますが、やはり最後の点が問題だと思うんですね。自立支援法で、ホームレスだけでなくホームレス予備軍についてもこの自立支援法の射程距離に入っている、そして、雇用対策がこの中で重要な問題とされている。だから、国の施策として、ホームレス及びホームレスの予備軍に対する措置を講ずる直接的な責任、義務があると思います。
ところが、それを、民間団体を通してとか地方公共団体がまずは第一義的な施策の担当であるというニュアンスがどうも御答弁の中では返ってくる。これでは根本的な解決にならない。やはりこれは都市問題であり社会的貧困の問題ということで国の問題であるということで、本当に覚悟を決めてこれをやっていただきたい。この特別措置法は十年の時限立法でありますし、また、実施計画の策定についても、これは五年以内ということになっておりますから、やはり期限がある。だから、五年、十年の間に、このことについて本当に前向きに、国として責任を全うする方向で考えていただきたいと思います。
最後に、この点についての決意のほどを大臣に伺いたいと思います。いかがでしょう。
○坂口国務大臣 大阪におみえになりましても必ずしも大阪の人ではないというお話は、全くそれはそのとおりだというふうに思っております。ただし、どこかで職を求めるということになりますと、やはり大阪なら大阪の周辺で職を求めるということが多くなってくるということも、これもまた事実だというふうに思います。
地域の協力もそういう意味では得なければいけませんが、国としても責任を持って取り組んでいかなければならないというふうに思っております。