159-衆-予算委員会第五分科会-1号 平成16年03月01日
本分科会は平成十六年二月二十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十七日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
大野 功統君 鈴木 俊一君 津島 雄二君 鮫島 宗明君
首藤 信彦君 谷口 隆義君 照屋 寛徳君
二月二十七日
谷口隆義君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十六年三月一日(月曜日)
午前九時開議
出席分科員
主査 谷口 隆義君
大野 功統君 大前 繁雄君 加藤 勝信君 鈴木 俊一君
津島 雄二君 宮下 一郎君 内山 晃君 鮫島 宗明君
島田 久君 下条 みつ君 首藤 信彦君 都築 譲君
中川 治君 村井 宗明君 吉田 泉君 照屋 寛徳君
兼務 井上 信治君 兼務 滝 実君 兼務 谷 公一君 兼務 辻 惠君
兼務 上田 勇君 兼務 高木美智代君
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厚生労働大臣 坂口 力君
厚生労働副大臣 谷畑 孝君
(厚生労働省医政局長) 岩尾總一郎君
(厚生労働省健康局長) 田中 慶司君
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 太田 俊明君
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍藤 忠春君
(厚生労働省社会・援護局長) 小島比登志君
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 塩田 幸雄君
(厚生労働省老健局長) 中村 秀一君
(厚生労働省保険局長) 辻 哲夫君
(厚生労働省年金局長) 吉武 民樹君
(社会保険庁運営部長) 薄井 康紀君
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 南川 秀樹君
厚生労働委員会専門員 宮武 太郎君
予算委員会専門員 清土 恒雄君
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本日の会議に付した案件
平成十六年度一般会計予算
平成十六年度特別会計予算
平成十六年度政府関係機関予算
(厚生労働省所管)
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○辻分科員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
私は、昨年秋、立候補するに当たって、地元の西成のあいりん地域をめぐりました。あいりんセンターの前で街頭演説を行い、三角公園を初めとした釜ケ崎の地域を自転車等で何度も回りました。
この釜ケ崎の地域は、二万人と言われる単身の日雇い労働者の集まる町であります。そして、その中で、日本で今二万五千人ぐらいいると言われる野宿者のうち、大阪に七千七百人、そして大阪市内に六千六百人というふうに聞き及んでおります。その半分ぐらいの方々が釜ケ崎地域に野宿をしておられる。
実際、釜ケ崎を回ってみて、就労の機会がなくて昼間からお酒を飲んだりしている人もいるし、語りかけてみても反応がいま一つはっきりしない、非常にある意味では個人の尊厳が侵されている、そういう人々がいるという事態を目の当たりにしました。
私は、この問題はやはり日本の貧困の問題である。そういう意味におきまして、今大阪は失業率が全国で第二位と言われていて、経済の活性化を図らなければいけないと言われておりますが、ある意味で、その一つの象徴としてこの釜ケ崎の問題をどのように解決していくのかということが問われているというふうに、私はこのことが私にとっての職務であろうというふうに思います。また、この問題の解決を通して、働く人々の人間の尊厳をどのように回復していくのか、このことについても考えていきたいというふうに思っております。
そこで、本日は、この野宿者、ホームレスの問題についてお伺いをさせていただきたいと考えております。
この問題につきましては、二〇〇二年の八月七日に施行されておりますホームレスの自立の支援等に関する特別措置法という法律がございます。この第五条で国の責務がうたわれており、第三条でホームレスの自立支援等に関する施策の目標ということが規定されております。そして、この法の要請に基づいて、ホームレスの自立の支援等に関する基本方針というものがつくられています。
これは二〇〇三年七月と伺っておりますが、この基本方針の第3の「1 基本的な考え方」というところの中に、次のようなくだりがあります。「特に、ホームレス対策は、ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本である。このためには、就業の機会が確保されることが最も重要であり、併せて、安定した居住の場所が確保されることが必要である。」と述べられております。
この認識について、大臣はいかがお考えになっておられますでしょうか。
○谷畑副大臣 先生、今大阪の釜ケ崎の実態についてお話をされました。私も大阪でありますのでよく知っておりますし、ちょうど私が大学生のころ、山谷ブルースという歌がはやりました。私、これは得意な歌でございまして、フォークソングの始まりでありますけれども、そういうことで、あるキリスト教団体のボランティアで、いわゆる冬を越せないというときに、私も学生でありましたけれども、そういう支援闘争のボランティアで参加したりして、それなりに課題はよくわかっておるわけでございます。
今先生申されましたように、やはり、民主党の鍵田前衆議院議員が私どもと一緒に厚生労働委員会におられましたときに、平成十三年の六月に議員立法としてこのホームレスの自立支援法案というのを提出されました。そういう中で私どもも、鍵田先生とももちろん相談もさせていただきながら、与党として、私ども自由民主党、公明党、そして当時保守ですか、三党の関係で平成十四年に与党政策責任者会議でホームレス問題についての議論をしまして、そういう中で、与野党ともどもに議員立法としてホームレスの自立を支援する法律を平成十四年に成立させていただいたところであります。
この中ではっきりと申し上げておりますのは、やはり、自立を支援するということですから、居住だとか雇用だとか、こういうことについては非常に大事なことだ、こういうことに位置づけをして取り組んでおる、こういうふうに思っております。
○辻分科員 この基本方針の中で、「各課題に対する取組方針」ということで、今副大臣おっしゃったように、就業の機会の確保についてとか、安定した居住の場所の確保について等方針が述べられておりますが、現時点で厚生労働省の予算に基づいて行われている対策の概要を、簡略にお伺いしたいと思います。
○谷畑副大臣 厚生労働省といたしましては、昨年七月に策定をしましたホームレスの自立の支援等に関する基本方針ということに基づきまして、一つは、宿泊及び食事の提供、生活相談・指導、職業相談等を行うホームレス自立支援事業や、ホームレスの健康状態の悪化の防止等のため緊急一時的に宿泊場所を提供するホームレス緊急一時宿泊事業、いわゆるシェルター事業と申しておりますけれども、それらの事業を行っておるところであります。
さらに、平成十六年度におきましては、入浴等のサービスを提供することにより衛生状態の改善を図るホームレス衛生改善事業や、保健所等による健康相談等を行うホームレス保健サービス支援事業の実施を行っております。
また、ホームレス対策の一層の充実強化を図るという立場から、予算額におきましては、平成十五年度は二十七億円に対して平成十六年度予算案では三十・二億円、対前年度比一一・六%増ということで、これも与野党しっかりと頑張りまして、私どもその一員として参加を当時したわけでありますけれども、そのようにして増となってまいりました。
ホームレスについては、その一人一人の置かれた状況をよく把握し、それを踏まえて対応していく必要があると考えており、今後とも、地方公共団体とも連携を図りつつホームレス問題の解決に向けて努力をしてまいりたい、このように思っています。
○辻分科員 今おっしゃられましたように、平成十六年度の予算案として三十億一千八百万円上がっております。ただ、その内容として、自立支援事業等の拡充に約二十億、そして、保健衛生の向上ということで三千五百万、就業機会の確保ということで九億四千八百万円なんですね。
先ほど冒頭で、この基本方針の特に重要な点ということで、「ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本である。」最も重要なのは就業の機会が確保されることであるということになっております。
今、予算の使われ方を見ますと、就業の機会の確保は九億四千八百万、三十億のうちの三分の一弱ですよね。ですから、もう少し就業機会の確保の方に力点のある施策が行われてもいいんではないかというふうに考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
○谷畑副大臣 もちろん、就労ということが非常に大事なことでありますけれども、景気の動向ということがあり、あるいはまたホームレスの人々の平均年齢ももう六十近いということもあったりして、また、生活そのものがいわゆる不規則ということもあったりして病気になったりして、そういう関係で、就労する者が率として高く上がっていくということにはならないわけであります。
しかし、私どもも、職業相談ということ、あるいは生活相談、そういうことを含めて、宿泊だとか食事を提供するだけじゃなくて、そういうことについて、その専門員もそこに巡回しながらきめ細かく取り組んでおる、こういうことでございます。さらにまた努力をしてまいりたいと思います。
○辻分科員 就業機会の確保ということで、ホームレス自立支援職業相談員の配置とか、ホームレス就業開拓推進員の配置、日雇労働者等技能講習事業、そしてホームレス等試行雇用事業ということで挙がっておりまして、具体的な就業の機会を国の直接的な責任において保障をするということがやや弱いように思うんですね。試行雇用事業というのも、臨時的なものというか一時的なもののようなので、そういう意味で、完全就業というか、そういう就業の機会についての国の施策として具体的にもう少しお考えいただけないのか、どのような点であればお考えいただくことが可能なのか、その点はいかがでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
現在の就業機会の確保としましては、緊急地域雇用創出特別交付金事業がございまして、地方公共団体におきまして、緊急かつ臨時的な雇用就業機会の創出として実施しているものがございます。
ただ、恒久的ないわば公的就労事業につきましては、これまでの経験から、事業の非効率性とか就労者の滞留等の問題が生じるおそれがあるということで、国の雇用対策としては現在はとっていないところでございます。
したがいまして、ホームレスの方々を対象としたものにつきましても、国の雇用対策としましては、やはり民間企業における雇用の促進を図っていくことが基本ではないかというふうに考えているところでございます。
○坂口国務大臣 この雇用対策につきまして、ホームレスの皆さん方の置かれている立場というのは多種多様なんだろうというふうに思うんですね。ですから、それに対応するように御相談に乗っていかないといけないというふうに思っております。
交付金制度は、これは十六年で一応もう終わりになるわけでありますから、恒久的なものでありませんので、今後それをどうしていくかということを今から少しずつやっていかなきゃいけないというふうに思います。そういう意味では、この平成十六年度というのはそうした移行期だというふうに思っております。
やはり、非常にハローワーク等で御相談のしてもらいにくいところもあることはよく存じておりますけれども、そうしたところも、いわゆるホームレスの皆さん方に対する対応というものも手がけて、そして徐々にそうしたところも御活躍をいただけるようにしていかなきゃいけないと思いますし、我々も、そうしたホームレスの皆さん方に対応できる人というものをつくっていかないといけないんだろうというふうに思っております。
十六年でもう一応この交付金制度は切れますから、十七年度からはそれをどうしていくかといったこともあわせて、今年中に検討したいと思っております。
○辻分科員 まさに、緊急地域雇用創出特別交付金、これが平成十六年度で切れるということになっていますね。大阪においては、この交付金をもとに高齢者の特別清掃事業とかをやっているわけであります。
確かに、雇用の創出といったときに、働く人々の側が、事務職員でリストラをされた人とか、いわゆる建築労働とかそういう現場労働で流れてきた人とか多種多様である、それに即応した雇用を準備することはなかなか難しいという御指摘ももっともなわけでありますけれども、この基本方針で、筋としては仕方がないのかなというふうに思うんですけれども、「民間団体との連携を図り、」ということで、民間団体を通して雇用の創出を図っていく、そういうやや間接的な対応になっているわけですね。やはり、今の雇用の状況とか経済の不況の状況、リストラがなお増大していくという状況の中で、民間の団体にそれを基本的にゆだねてしまうということだけでは、矛盾が解決されない点があるのではないか。
そういう意味で、国の立場における雇用の創出ということについて、一歩踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、そういう考え方、そういう姿勢については、十七年以降持って臨もうということでお伺いしてよろしいんでしょうか。
○坂口国務大臣 そこも大事なところだと思います。
ハローワーク等でいろいろの層の皆さん方を抱えているわけですから、なかなかそれを全部振り向けるわけにはまいりませんけれども、その中でホームレスの皆さん方に対してどうするか。その人専門にそういう対応のできる人を少し養成すると申しますか、そういう人を選んで、そして対応する、そして民間の皆さん方との橋渡しもそういう皆さんがするといったようなことにしていかないと、ほっておきますとなかなか民間の皆さん方も取っつきにくいというようなこともあるだろうと思いますから、その辺のところには我々の方も対応をできるようにしていきたいというふうに思っております。
○辻分科員 この緊急地域雇用創出特別交付金について、同じ形で継続していただくのか、いずれにせよ、名目なり形は変えても、その実質について継続、さらには拡充していっていただきたい。今の大臣のお言葉では、単に民間にゆだねていただけではなかなか問題が解決しないので、そういう視点が重要なんだ、厚生労働省としてもそういう立場に立って十七年以降考えていくんだという姿勢を御表明いただいたというふうに受けとめさせていただきたい、このように思います。
それで、一方で、先ほどちょっと御紹介させていただいた十六年度ホームレス対策予算案という三十億一千八百万円の件でありますが、この基本方針の後、各地方自治体において実施計画ということを発表して、具体的に自立支援の実施計画に取りかかっております。
そういう意味におきまして、この平成十六年度の三十億という予算は、その地方公共団体の行う実施計画を概観した上で、具体的にそれをどのようにさらに評価して伸ばしていくべきなのかという観点で出てきた予算の額ではないというふうに思いますので、十七年度以降、この三十億円という予算について、倍増、三倍増、十倍増していただく方向でぜひともこれはお考えいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○小島政府参考人 今先生お尋ねの実施計画でございますが、今現在、各自治体におきまして実施計画の策定を準備中でございます。一番進んでおりますのが大阪府大阪市というふうに聞いております。それに続きまして名古屋市ということで、各自治体で進んでいるわけでございますが、私ども、それができました段階で、十六年度につきましては、もちろんお認めいただきました予算で最大限のバックアップをいたしますし、また、計画ができ上がった段階では、それに基づきまして必要な予算を確保してまいりたいというふうに考えております。
○辻分科員 大阪の実施計画を含めて、地方自治体の実施計画の現状で把握されている内容、そして、その中で雇用の創出について評価すべき点、さらに改善すべき点、その点についての御意見について伺わせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○小島政府参考人 実施計画の案は、現在、先ほど申し上げましたように各自治体で策定中でございますので、まだ私どもも詳しい内容を承知しておりません。できました段階で、私どもで協議をしてまいりたいというふうに考えております。
○辻分科員 インターネット等で素案等は既に出ていると思いますので、正式な御発言ということにはならないのかもしれないですけれども、お気づきの点等があれば、可能な範囲でお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○小島政府参考人 今、公開の協議を行っているところでございますので、私どもとしても、それを見まして、気がついたところがあれば、各自治体と協議をしてまいりたいと考えております。
○辻分科員 どうも基本方針が、民間の施設とか民間団体との連携とか、また地方公共団体を通して雇用の確保等にという基本姿勢になっている点について、いかがなものかと私は思っておりましたけれども、きょうの質疑を通して、国の側も同等の立場でというか、より責任ある立場でこの問題について踏み込んで対処していかなければいけないという御発言をいただきました。
また、十七年度以降の交付金の問題についても、そして予算についても、かなりこれは期待できる内容で御検討いただけるものだと思います。この問題は、ある意味で、日本の経済を活性化させていくに当たってどうしても乗り越えなければいけない、解決していかなければいけない問題だと思いますので、ぜひともその点、善処をよろしくお願いしたいというふうに思います。
そこで、具体的な雇用の確保ということについてはこの程度でとどめますけれども、リストラがさらにどんどん進んでいって、一向に、なかなか減らないというか、だから、そういう野宿者となることを防止するための予防策等についてはどのようなお考えをお持ちなんでございましょうか。お聞かせ願えればと思います。
○坂口国務大臣 そこが一番大事なんでしょうね。私もそう思います。
しかし、現実にホームレスになられた皆さん方の理由は千差万別、それぞれの事情があって、なっておみえになるんだというふうに思いますから、一つか二つの予防策をして、それで減るというわけにもいかないんだろうというふうに思いますが、結局のところは、委員も御指摘になりましたように、安定した社会をどうつくっていくかということが一番の基本にあって、そしてその中で、やはりバラエティーに富んだ対応をしていかなければならないんだろうというふうに思います。
一つは、非常に経済的に厳しい状況が続いたということも、確かに私は原因の一つになっているだろうというふうに思いますから、経済を再生させる、経済をもう少し立て直していくということは、それは当面の課題として一番大事なことであり、そのことによっていい影響を与えるということはあり得るだろうというふうに思いますが、それだけでいいかといえば、恐らくそれだけではいけない。経済的な問題だけではなくて、全体としての社会の仕組みそのものも、やはりホームレスを生み出していくような制度というものであってはならない。
ですから、事業に失敗をする、しないというようなこともあるわけでございまして、一度失敗して、もう一度立ち直れるような、そういう仕組みというのはまだ十分に日本の国の中ででき上がっていないという側面もあるんではないかというふうに思いますから、そうしたことも含めて、新しい対応が迫られているというふうに感じる次第でございます。
そうしたこと以外にも、家族的な崩壊の問題でございますとか、あるいはまた、地域あるいは企業の中でのいろいろの問題等もあろうかと思いますけれども、一番大きな問題は、そうした経済並びにそれにまつわって立ち上がることができないような状況というものを、どうこれから克服できる社会にしていくかということが、予防という意味では私は一番大きいのではないかというふうに思っている次第でございます。
○谷畑副大臣 大臣が答えておられますので、それ以上はないと思うんですけれども、ホームレスにやむなくなってしまって、それからいわゆる長期化してしまうと、なかなか脱出できないというのがある。だから、ホームレスになって、その初動というのか一、二年の間に、就労だとか、一般社会で働いたり居住の場所を確保したりして、そういう中でスムーズに立ち直っていけるということが非常に大事だと思います。まず、早い段階が非常に大事じゃないか。
そして、先ほども言いましたように、平均年齢が六十歳近いということで、どうしても生活が不安定な中でリズムが狂ってしまうということで、病気になることが多い。そういうことで、居住に当たっての支援も大事な支援だと思います。そういう点もしながら、また、時には医療を受けられること、あるいは社会の福祉を含めて容易な形で受けられる、そういうことで、両面の形でやはりやっていくことが非常に大事じゃないかな、このように思っています。
○辻分科員 きょう、私が冒頭で、この問題は社会的貧困の問題であるということを申し上げました。同時に、人間の尊厳を回復すべき問題でもあるんだというふうに申し上げました。雇用の創出をすることによって、就労の機会を確保すること、そして居住も確保すること、また、差別をされ、暴行の対象になったり、そういうことに対して人権を擁護する、守っていくことも重要だと思います。
私が西成、釜ケ崎の地域を回って感じたことは、冒頭でも申し上げましたけれども、どうも精神的に反応が、通常と言うと語弊があるのかもしれませんけれども、反応が遅いというか、ある意味で、何か社会性を奪われてしまっている、非常に大きなトラウマにとらわれている、そのような感じを持つわけであります。そういう意味におきまして、福祉とか就労の問題と同時に、そういう精神的なケアの問題ということが重要なのではないかというふうに思うわけでありますが、この点について、何か具体的に考えておられること、具体的に施策として実行されているようなことはございますでしょうか。
○小島政府参考人 先生の御指摘の点、大変重要だと思うわけでございますが、基本的にはやはり、保健所におきます精神的な面を含めました相談、健診事業というものを充実すべく、十六年度予算案におきましても一千万の事業費の増額ということを計上しておりますので、保健所と各自立支援センターあるいは市町村と連携を持って、そういった面につきまして施策の充実を図っていくということを考えているわけでございます。
○辻分科員 私は、このホームレスの問題について、今後もみずからの、ずっと背負って解決していかなければいけない課題だということでかかわっていきたい、このように考えております。
そのような観点に立って、ぜひとも平成十七年度以降の交付金についても、継続、拡充をしていただきたいし、予算についても倍増、三倍増、四倍増していっていただきたいというふうに強くお願いいたすものであります。
そして、何よりも、雇用の創出ということが最も重要であると基本方針でうたわれていること、このことにかんがみて、従前の失業対策ということについては失業対策法が、九八年でしょうか、廃止になったというふうに伺っておりますけれども、やはり国の立場でもう一歩踏み込んだ雇用の創出をお考えいただくという意味で、第二失対法的な、そういう失対事業というものをぜひともお考えいただきたいということを最後にお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。