51-衆-決算委員会-25号 昭和41年05月10日

 

昭和四十一年五月十日(火曜日)

   午前十一時九分開議

 出席委員

   委員長 吉川 久衛君

   理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君

   理事 壽原 正一君 理事 勝澤 芳雄君

   理事 山田 長司君

      石田 博英君    原 健三郎君  福永 健司君    神近 市子君

      中村 重光君    森本  靖君  吉田 賢一君

 出席国務大臣

        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君

 出席政府委員

        厚生政務次官  佐々木義武君

        厚生事務官(大臣官房会計課長)     戸澤 政方君

        厚 生 技 官(医務局長)  若松 栄一君

        厚生事務官(薬務局長)  坂元貞一郎君

        厚生事務官(社会局長)  今村  譲君

        厚生事務官(児童家庭局長)      竹下 精紀君

 委員外の出席者

        大蔵事務官(主計官)   平井 廸郎君

         文部事務官(初等中等教育局特殊教育課長)      寒川 英希君

        会計検査院事務官(第三局長)  佐藤 三郎君

        会計検査院事務官(第五局長)  保川  遜君

        医療金融公庫理事       河野 鎮雄君

        参  考  人

        (日本赤十字社副社長)    田辺 繁雄君

        専  門  員 池田 孝道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算

 昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算

 昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 昭和三十九年度政府関係機関決算書

 昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算

 書

 昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生省所管、医療金融公庫)

 国が直接または間接に補助金、奨励金、助成金

 等を交付しているものの会計に関する件(日本

 赤十字社)

     ――――◇―――――

 

○勝澤委員 それでは、大臣が来るまで、まあひとつ質問をいたします。

 一番最初に、最近の新聞あるいは雑誌を見ましても、厚生省行政について連日のように掲載され、そしてまた国民の声が寄せられております。たとえばチフスの事件にいたしましても、あるいは精神病の事件にいたしましても、あるいはまた血液行政にいたしましても、看護婦の問題につきましても、結局世の中が進んでいくに従って、これらのおくれている社会保障という面にもう少し力を入れなければならないにかかわらず、実はそれがあとからようやく追いつきながら行っているというような状態でありまして、まあ厚生省は事件官庁だ、事件が起きて事後処理をしている官庁だ。これでは私はたいへん申しわけないと思うのです。やはり積極的に、いま起きている問題ともっと前向きに取り組んで、そして行政を正していくということをしなければならぬと思うのです。したがいまして、私はいまから二、三の問題について、そういう意味で質問いたしたいと存じます。

 まず血液行政の問題であります。御案内のように、この決算委員会で、三十九年の六月に血液の行政を調べたときに、九十数%という膨大な売血が行なわれておった。その売血は山谷や釜ケ崎の人たちから、一日四百CC、六百CCあるいは千CC、まことに驚くべき状態が出てきて、たいへん問題になりました。そのあとの状態を見てみましても、必ずしも当時の意思に沿った方向に進んでいないように思うわけであります。そこで今日、売血と献血の状態というものはどうなっておるのかという点を、ひとつ簡単に御説明願いたいと存じます。

 

○坂元政府委員 ただいま先生から御指摘のように、献血問題につきましては、一昨年の八月、政府のほうで閣議決定をやりまして、献血の推進化について施策を講じてまいったわけであります。そこで、現在までのところの献血と売血等の状況についての御指摘でございますので、その点について状況だけを簡単に申し上げたいと思います。

 御承知のように、一昨年の八月政府が献血推進を提唱いたしますまでは、ただいま先生からも御指摘がありましたように、わが国における血液の問題は、大部分がいわゆる売血というものでまかなってきていたわけでございます。大体九七、八%くらいのものを売血でまかなってきたという状況であったわけでございますが、一昨年の閣議決定以来、売血の廃止という方向で献血の施策を推進してまいったわけでございます。その結果、一昨年、三十九年の実績を見ますると、売血のほうは八六・五%、献血が七・七%、それから預血と称せられておるものがございますが、この預血のグループの割合が五・八%というのが、三十九年の年間の平均でございます。それが四十年になってまいりますと、献血の量が逐次ふえてまいりまして、四十年の一月は献血の比率が一〇%であったわけでございます。これが四十年の六月ごろになりますと二二・五%。これが昭和四十一年の一月になりますと二八%、つい最近の三月の、これはまだ確定ではございませんが、おおよその全国推計をいたしてまいりますと、三二%までに献血の量が伸びてきている。片一方売血のほうは、当初の九七、八%が、三十九年平均では、いま申しましたように八六%くらいに減りまして、現在昭和四十一年の一月になりますと五五%くらいに売血の量が減ってきているわけでございます。したがいまして、結論から申し上げますと、献血推進を政府が提唱する以前に見られたような、九七、八%の売血の量というものは、現在のところ五五%から五〇%くらいのところまで減ってきている。そして残りの三二%ないしは預血の一七、八%から二〇%程度のもので血液の総製造量の割合が構成されている、こういう状況に相なっているわけでございます。

 

○勝澤委員 三十九年の八月二十一日の閣議の決定でも、これは御案内のように、相当マスコミのキャンペーンがあって、そして三十九年の六月に、この決算委員会でも取り上げて、政府に要望いたしたわけであります。それによって実は献血の問題がようやく取り上げられて、閣議決定までなった。そしてなおかつこの後の動きを見てみますと、それに対応するような体制が厚生省でとられておったかどうかという点について、実は私疑問があるわけであります。この閣議決定の線に沿って献血を推進していく。最終的にはこの血液行政というものは、売血をやめて献血一本になるのかという点などについても、明確にされていないわけであります。そしてまた、それに対する厚生省の内部の献血に臨む体制の整備といいますか、こういう点などについても、何らなされていないようでありますが、そういう点はどうなっておりますか。

 

○坂元政府委員 御承知のように、一昨年の閣議決定の趣旨は、私どもは大体三点あろうかと思っておるわけであります。その三点と申しますのは、第一点は、献血思想の普及をしていくということが一つの柱でございます。それから第二の柱としましては、献血の組織化ということでございます。集団的な献血グループというものを今後育成していくということが献血の組織化でございます。そういう点が第二の柱でございます。それから第三の点は、献血の受け入れ体制というものを整備していくというのが大きな柱になっておるわけでございます。いま申しました三つの柱が、私ども、当面するこれからの献血を推進していく上の大きなポイントになるわけでございますので、一昨年以来、その三つの点に沿っていろいろな施策を考え、また行政を実施してきておるわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、厚生省の体制というものがどうも閣議決定の趣旨に即応していないんじゃないかということのようでございますが、いま申しましたような三点のポイントに従いまして、いろいろな施策を講じ、また私どもも現在のところ、献血の推進というために、片一方売血というものを逐次なくしていく。これはおっしゃるように、売血を献血にオール一〇〇%切りかえていくことは、一挙にはなかなか簡単にはまいらないわけでありますが、鋭意そういう努力をいま重ねておるわけでございます。先ほど申しましたように、献血の割合も月を追うてふえていく。これは四十一年度に入りましてからも、新しい施策を現在いろいろ考えて、それを各都道府県なり、日赤のほうと協力をしてやっていく、こういう状況であるわけでございます。