48-参-社会労働委員会-16号 昭和40年05月07日

 

昭和四十年五月七日(金曜日)

   午後一時五十二分開会

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  出席者は左のとおり。

    委員長         藤田藤太郎君

    理 事

                丸茂 重貞君

                杉山善太郎君

                藤原 道子君

    委 員

                亀井  光君  紅露 みつ君 佐藤 芳男君

                斎藤  昇君  竹中 恒夫君 日高 広為君

                小柳  勇君  鈴木  強君

   国務大臣

       労 働 大 臣  石田 博英君

   政府委員

       公正取引委員会

       事務局長     竹中喜満太君

       法務省刑事局長  津田  実君

       運輸省港湾局長  佐藤  肇君

       労働政務次官   始関 伊平君

       労働大臣官房長  和田 勝美君

       労働省労働基準

       局長       村上 茂利君

       労働省職業安定

       局長       有馬 元治君

   事務局側

       常任委員会専門

       員        中原 武夫君

   説明員

       警察庁刑事局捜

       査第二課長    関根 広文君

       運輸省海運局次

       長        沢  雄次君

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  本日の会議に付した案件

○港湾労働法案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(藤田藤太郎君) 港湾労働法案を議題といたします。

 前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。

 

○杉山善太郎君 ほんとうは、きょうは公取や、それから警察庁からも来ていただきましたので、順序からいくというと、そういうことを聞いてもらいながら、かっちりした積み上げの中で大臣に終始おってもらうことが、きょうはあげるわけだから一番望ましいわけですけれども、わが田へ一方的に水を引くことも家庭の事情でできませんと思いますので、どうもちょっとちぐはぐの感がありますけれども、大臣に直接まず質問いたします。

 この法案の発想は、申すまでもなく、三・三答申の精神及び趣旨に照らして明らかでありますように、港湾における必要にして十分な労働力の確保と、言うならば前時代的な労働環境の中で働かされておる港湾労働者の雇用の安定と恒常化及び福祉施設の整備充実を含む労働条件の改善が目的であり、目標である、こういうふうに私受けとめておるわけであります。そういう中で、また、労働省の第一次要綱試案はそれに近いものであったと思うのです。言うならば、大臣は、例のILOの調査調停委員会にたまたま昨年の暮れにかけて行っておられましたのですが、その留守中に一応第一次要綱案なるものが新聞で発表された過去の経緯がございます。そういろ中で、大臣が帰ってこられた当時に、まだこの法案は胎児でありまして、海のものとも山のものともつかない時点においてこうこうこういうことがあったのだが、労働大臣どうかと聞いてみたら、労働大臣は、ざっくばらんにいって、そう新聞のことを気になさるなといったような、当時なかなか含蓄のあるうまいことを言っておられたので、私もそれなりに、大臣がそう言うのだから、新聞の言うことは、あれは新聞が言ったのだというふうに、その当時第一次要綱試案が発表された時点は、少なくとも今日的にひるがえって帰納的に判断をするならば、いわゆる三・三答申なり、あるいはその趣旨に最も近いものであったというふうに私は評価しております。その後、時の流れるに従って、法華の太鼓とは反対に、だんだん悪くなってきている。私もいろいろと文献を通じて精査する中では、二度ならず、三たび四たび、あすこでつつかれここでつつかれ、修正に修正が加えられて、とにかくこの法案という形で去る日に閣議の決定を経て今国会に提案をされておる。こういうような経緯を過程しているわけでありまするから、私のことばで申しますなれば、労働省の第一次要綱案はそれに近いものであった。しかるに、いつの間にか親に似ない子は鬼子であるように、二度も三度も修正されて、いま審議のまないたの上にのっているところの法案は、一口で申し上げますれば、進歩的な労働法案としての性格が骨抜きになっちゃっているのだ、したがって、港湾における労働力の不足、これは確かに需給関係からいって、今日的な時点では港湾労働力は不足しております。その労働力の不足を補うための体制と、低賃金労働力の配置体制確立のための事業法案に実は転落してしまったのじゃないかというふうに考えております。もともと発想は、むろん二面性は持っておりますけれども、前時代的な港湾労働の実態というものを、諸外国の水準にまでこの港湾労働法がやはりこれを押し上げていくというような形に私どもは理解しておったわけでありまするが、申し上げますように、かりに港湾労働法が登録制をするという中で、その登録された者を原則としては雇い入れる、それ以外の者は雇い入れてはならないということが、これが原則であるわけでありますから、これは禁止しなければなりませんけれども、しかし、禁止などということは今日そう簡単にできないにいたしましても、原則は、あくまでも常用者と登録された日日労働者を雇うということが原則ではなかろうか、そういうふうに考えているわけでありますけれども、ところが、港湾労働法の中には、「ただし」と、あるいは例外規定的な面が設けられておりまして、そこが要するに私はしり抜けじゃないか、ザル法案になってしまったのじゃないかというふうに考えるわけであります。本法の十六条には確かに例外規定的なただし書きがありまして、やはり前時代的な門前雇用を、言うならば容認しているのではないか、したがって、この法律はザル法であると極論せざるを得ないのだ、そういうふうに私は思っているわけであります。もちろんこの法律は、いまの段階では、衆議院の場はそれなりに今後の修正闘争の足がかりなり附帯決議はついてこちらに回ってきておりますけれども、本委員会には本委員会の風格なり権威というものもありますので、衆議院を通っているじゃないか、したがって、私の所属する政党が社会党であっても、社会党がかりそめにも一度原則的には賛成しておったじゃないか、だからというところにそういう言いがかりもあるかと思いますけれども、ここではやはり十分ただすべきはただし、言うべきは言って、ほんとの終着駅にも近いのでありますから、大臣が本音を言って、私の評価が間違いであるかどうか、そういう点について大臣の所信と見解をひとつ伺いたい、こう思うわけです。

 

○国務大臣(石田博英君) 労働省が三・三答申を受けて作成をいたしました考え方、その考え方から申しまして、また、労働行政の立場から申しまして、現在提出しております法律案には幾つかの問題点があることは私も認めます。認めますが、しかし、三・三答申にもいわれておりますとおり、この法律は、ほんとうに実効あらしめますためには、港湾運営の近代化、港湾運営事業の近代化というようなものと相まって行なわなければならんのてありまして、そちらを所管されておりまする関係省庁の御意見との調整をしていくということも、やはり前進途上の必要な過程ではなかろうかという考え方から現在御審議願っております法案に相なったわけでございます。

 それから、いま一つ、しかしながら、この法律が港湾労働の近代化という基本的な目標、前時代的なあり方を急速に是正していこうという目標、これからはずれているとは思っていないのでありまして、具体的な諸条項の説明は除くといたしましても、ただいま御指摘のいわゆる門前雇用の問題につきましても、これはほんとうの例外規定として設けてあるのでありまして、みだりに乱用することは許さないのはむろんのことでありますが、同時に、その場合においても届け出義務を課して職業安定所の監督責任というものは明確にいたしておるつもりでございます。

 

○杉山善太郎君 これは私の立場で主観めいた表現では、これは記録に残ることでありますので、一応これは朝日新聞の四月十五日の社説の一部でありますが、こういつております。これは大臣も見られたかと思いますけれども、数項目掲げておりますけれども、直接関係のある私の評価だけではなく、朝日新聞の四月十五日の社説では、かりそめにも、「果して港に必要な労働力が確保できるのかどうか」むろんこの法案が日の目を見て人を必要とするような場合になって、「果して港に必要な労働力が確保できるのかどうか、港湾の日雇い労働者は、山谷釜ケ崎桜木町、三宮などの居住者が多く、犯罪者や、いわゆる流れ者も混じっている。これらの人が手続のうるさい登録をいやがる場合も予想される。」こういつております。私もそう思っております。蛇足を加えて申し上げますならば、少なくとも今日、あとで警察関係の方もおられますが、いわゆることばのあやでも、全国港湾荷役振興協会と称して、これは公益法人だそうでありますけれども、この中には、大体原則的には港湾労働者が――私はかつて船員でありましたから、その発足の歴史から骨の髄まで知っているわけでありますが、そういう中で、やはりこの従来の惰性でこういうふうに法律が動いてきたので、あなた登録するな、あんなところに行ったら金縛りになってしまう、こういうことも計算の中に入れてこういう法案ができた、かりにりっぱではないにしても、とにかくできた。内容はまあ近代的だというように評価しましょう。しましょうが、はたして意のごとく、十分にしてそれに必要な労働力が確保できない場合に、一体その責任はだれが持つかということもこれは計算の中に入れておかないと、念のために申し上げますが、そういう法律ができたからじゃんじゃん登録労働者が出てきても十分というふうにはならないのではないか。朝日新聞の社説ではそういっている面がある。

 第二項としては、「例外として登録以外の労働者を事業主が直接雇えることになっているが、これではいまの実態とあまり変らない恐れがある。」これは私が言っているのではなくて、朝日新聞の社説がそういう心配をして言っているわけです。最後に、「徹底的に暴力や、ヤミ手配師が追放できないのではザル法の批判も出てこよう。」こういつております。これはとにかく朝日新聞の社説の評価というものについては、これは労働大臣、あなたはやはりジャーナリストという過去の経緯もありまして、朝日新聞の社説の評価の持つ真価というものに対しては、これはいま私が言うことについてもこう言っておるわけでありますが、端的に申し上げまするが、この法律ができて、そうして中央職業安定審議会なり、ローカルな一つのそれなりの専門的な安定審議会ができるでしょうし、中央に港湾調整審議会ができるでしょうけれども、そういう点について労働大臣の見解というものを聞いておきたいと、こう思う。

 

○国務大臣(石田博英君) 私も朝日新聞の社説は読みました。そして朝日新聞の社説に指摘されてあるようなこと、また、いま杉山さんが御指摘になるようなこと、そういう心配が全くないというような強弁をいまここでしょうとは思いません。しかしながら、いかなることをやろうといたしましても、当初いかに完全にといたしましても、それを実施してまいります場合にいろいろな欠点が出てまいるものであります。したがって、その出てまいりました欠点を見て、これを直して逐次前進をしていくということでなければならないと思っておるのでありまして、この法律についてもそういう考え方を持っているのであります。したがって、私どもは、大切なことはこの問題の指示する方向であろう、意図する方向であろう、意図する方向だけを守って前へ進んでまいりたいと思っておる次第であります。

 それから、私自身も、多少山谷とか釜ケ崎という実態については承知しておりますが、確かに犯罪者その他が多くて、その犯罪者その他が職業安定所その他へ届けを出すことをいやがるものでありますから、そこにヤミ手配師の跳梁する間隙があることも事実であります。そこでわれわれ考えなければならぬことは、かつて過去に犯罪を行なったからといって、こういう更生をしようとする者をはばんではならないということです。特別の目で見てはならないということでありまして、そういうことでそういう人々が登録することをちゅうちょすることのないように、これは行政機関全体を通じて、その精神で指導いたしてまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。

 

○杉山善太郎君 きょうは大臣はILOとのかけ持ちでありますから、私もはしょって、ILOの問題は非常に必要な問題でありますので、ここでくぎづけするわけにはまいりますまいから進みますが、これはいままで私が、この法案が正式に提案をされる以前から、労働問題の調査ということに便乗、関連をいたしましていろいろと聞いておったわけでありますが、とにかく何回も申し上げることでありますけれども、この発効の日が非常に期間が長いので、そういった問題について、しかし、それなりの説明は聞いておりますけれども、もうこれでこれが最後だと思いまするけれども、どうも私は納得がいっておらぬわけであります。たとえば衆議院では附帯決議の中に、「可及的速かに、本法の全面的施行をはかること。」ということで、二年以内ということについて、もちろん運輸省も労働省も、所管の行政というものについては十分お話し合いになって、そうしていろいろおやりになるでしょうけれども、しかし、法文にうたっておる時期からいうと二年以内ということになっておりますから、もっと私どもは六カ月あるいは一年以内にやってもらいたいという願望の上からたださなければならぬわけでありますが、しかし、いままで私どもがその二カ年いうことについて、たとえば港湾労働等の問題だけではなくて、この港湾の運送事業などの問題と関連をして、そうなかなか言うとおり、思うとおりに早くならないんだ、それなりにそれは受けとめましょう。しかし、こういう点については、ひとつこういう視点からお伺いするわけであります。たとえば港湾雇用調整計画に基づく計画の策定について、これは雇用調整審議会で基本は策定されるでありましょうけれども、主役はやはり労働大臣だというふうに理解いたしております。そこでやはり日雇い労働者の登録制の問題や、それから雇用調整手当の問題や、それから関係事業主から徴収する納付金の問題、これはたとえば退職手当に相当する雇用調整手当の問題ですか、それから福利厚生施設に対する一つの分担金などという問題もくるめて、関係事業主から徴収する納付金の問題等のことで、実際にこの法律が日の目を見れば、そういうことも予測の中に、計算の中に入れなければならないと思うのです。その場合に、事業主はおいそれとなかなか金を出すことはいやがると思うのですけれども、これは本質的には人を雇う限り、どういう雇用の形態であろうと、今日的な近代的な風格の中では、その福利施設を整備充実するとか、そのために国もある程度助成をしよう。それから、そういうような場合については、その労働者などというものは考えの外に置いて、その事業主固有のそれはぼくは責任であり、義務であると思う。それはとにかく金を出すことは舌を出すのもいやだというような、そういうような形で出し渋るなんということを計算に置かなくて、むしろこれは義務感であり、責任感であるというようなふうにするのが一つの常道じゃないか。そういうふうに説得し、行政指導を、これは労働省においても運輸省においてもなさるべきじゃないか。それでないと、なかなか私どもの査察しておる状態では、出先にはたとえば職安局がある、基準局もある、あるいは海運局もある、港湾局もあるが、業者間にはなかなか浸透していない。悪い面だけがとにかく浸透しておって、少なくとも現在人を雇う限りにおいて、その福利厚生施設なり、まあ世間並みの労働条件というものについても、雇う者の立場から自主的に配慮するということは事業者の固有の義務であり、責任である、道義的なそれは考え方であるということを、十分これはこの場合において、労働大臣だけでなく、むろん運輸省ともこれはやってもらわなければ、やはりこの側面が、事業法的の性格も持てば、労働法的な性格も持つというものでありますから、こういう点について、やはり私は、この雇用調整計画に基づく計画の策定という出発点において、いわく、日雇い労働者の登録の問題であるとか、雇用調整手当の問題であるとか、関係事業主から徴収する納付金の問題、そういったような問題について、手間がかかるからというようなことが口実となって、だから、あるいは港湾荷役施設がまだ近代化されていないからとか、そんなことは、なぜいままでそんな港湾荷役に銭がなかったのか、施策の貧困か、どこかに隘路があったと思うのですが、少なくとも外国と日本との内情から比較対照しますれば、そういった面が非常に立ちおくれておるということは客観的にとらえられまするけれども、なぜ港湾の面だけがそんなに立ちおくれておるかということも一応反省をされ、そして追いつき追い越すような速度を出していただかなければ、これこれがおくれておるから、たとえば港湾労働の近代化とか雇用の安定とかいうことだけやっても、結局港湾運送の事業改善であるとか近代化であるとか、あるいは港湾管理運営の一元化というものが並行していかなければやっちゃいけないというようなブレーキをかけるようなことになっては、はなはだこれは法の精神や、その生みの親であるところの三・三答申の趣旨や精神や、あるいは前文にうたってある内容や、あの三本の柱に対してはなはだ迷惑な話じゃないか、そういうふうに実は受け取れるわけであります。そこで、そういったような点についてひとつ見解を承りたい、こう思うのです。

 

○国務大臣(石田博英君) 私は、およそ人を雇って事業を営む者は、少なくとも近代的な国家においてはそれにふさわしいだけの労働条件を付与し、施設をつくるのが経営者としての当然の義務である。したがって、そういうこともできないで、そうして人を雇って事業を営むなどというようなことは、これは恥辱であり、その義務を行なわないものだと、私はこう考えておる次第でありまして、そういう観点から、ただいま御指摘のことについての行政指導は敏速に、かつ、強力にやってまいりたいと思っておる次第であります。

 それから、港湾の近代化、これは三・三答申が行なわれるか行なわれないかは別といたしまして、その以前からわが国の長い間の課題であったことは言うまでもないのであります。できるだけすみやかに三・三答申の中にうたってあり、それが出たことでもあり、また、港湾労働法がこうやって制定せられる段階にもなったのでありますから、速力をつけて実施をしてもらいたいと思いますが、これは直接私の所管ではありませんから、担当者からお聞きいただきたいと思います。しかし、これも、それを理由にして、港湾が近代化がおくれているから、荷役の業者の近代的な再編成がおくれておるから、労働法の施行をそれまで待てば――いつまでも待てというのでは困るのでありますから、最大限そういうことは二年の間には少なくともやっていただかなければなりませんよというのがいわゆる二年という期間であります。そこで、今度は二年という期間が長いか短いか、私どもは、二年という期間は、当初われわれが考えたことからいえば長いと思います。したがって、関係各省庁の御協力を得て、そしてまたわれわれの行政指導の努力をすることによってできるだけ早く全面実施が行なわれるように、衆議院の決議が守られるようにやってまいりたい、こう考えておる次第であります。

 

○杉山善太郎君 大臣は非常に忙しいですけれども、これは二つの側面を持っておりまするから、もう一、二点労働大臣にお尋ねするのでありますけれども、この時点で、ひとつ港湾局長ですか、私は午前中の連合審査でも、もちろん運輸大臣はかつて運輸大臣もやられ、いま運輸大臣をやっておられますので、両面を知っておられ、実態を把握しておられると思いますが、大体日本の港湾荷役装備だとか港湾荷役のつまり指導体制というものが立ちおくれがあるないということについては、行政指導の中核は、りっぱな運輸省というものがあって、そして相当にこの海運資本に対しては、たとえば相当な巨大な補助、助成や何かがきているはずです。また、倉庫資本に対しても、陰に陽に、そういう中でその面だけが立ちおくれているのは自分のせいじゃないようなことを言っていることについて、これはここでせんさくしませんが、そういうふうに、言うならば、言いようはいかようにもあるものだと私は受けとめているわけでありますけれども、いまの問題とは別に、いまぼくが大臣に時間少ない中で、はしょってお尋ねしているという関連で、やはり港湾の実質上の大臣の補佐官である港湾局長、あなたから考えを伺いたい、こう思うのです。

 

○政府委員(佐藤肇君) との法律の施行を二年以内ということにしておるわけでございますが、この法律をつくるにあたりましては、もちろんわれわれは労働省の当局といろいろ協議をいたしましたし、なお、広く利用者、さらには荷主等の意見も聞いておるわけでありまして、その間において、新しい制度であるから慎重にやってほしいという声があったことは事実でございます。そういうことと、さらに内閣に置かれます港湾調整審議会の意見を聞いて雇用の調整計画をつくっていく、そういうようなことの具体的な事務の流れはどうなっていくか。たとえば一つ例をとりましても、日雇い労働者の定数というのはどこで押さえたらいいかという問題だけでも非常に議論のあるところでございまして、そのようなことをしんしゃくして二年以内という長い期間が設けられたのだと思っております。しかし、二年以内ということであるからといって、われわれのほうから申しますと、港湾運送事業の近代化をおくらせていいという気持ちは全然ございません。この法律の施行に追いつくようにわれわれとしては近代化を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。

 

○杉山善太郎君 労働大臣にお尋ねいたしますが、先ほどはしょって、関連質問の中で午前中の段階で申し上げたことでありますけれども、これはしいて社労のほうで申し上げて大臣の見解なり所信を伺いたい点だと思うのでありますが、私はそう信じておるわけであります。たとえば経済問題の中核的要素は労働問題であるという評価は、今日的ではやはり常識化されておる、そういうふうに理解をし、また、それが新しい進歩的近代社会におけるやはり一つの評価の時点だというふうに私は理解をしております。したがって、開放経済体制下における港湾の運営であるとか、あるいは港湾労働の近代化、あるいは新秩序の確立及び公正な労使関係の確立こそが焦眉の問題である、こういうふうに思っておるわけであります。たとえば、この法律のかなめであるところの新しく設けられる港湾調整審議会等の組織構成については、港湾関係の労使及び公益の三者構成にすべきであると思うが、労働大臣の見解はどうかというわけでありますが、この点については、実は総理府の関係者からも、大臣はお見えになりませんでしたが、前段に一応聞いたわけでありますけれども、やはりこれは形式上は総理府の中に何々ができましても、実際これを推進する一つの方向づけの中心は、やはり労働大臣にいろいろ骨を折ってもらわなければならぬ問題だというふうに考えまするからこのような質問を労働大臣にして、労働大臣からなまの肉声であなたの見解なり、今後一ぺんにはこういかぬが、こうすればこうなるのだというふうな点についてひとつお聞かせいただきたい、こう思うのです。

 

○国務大臣(石田博英君) けさの合同審査会でお二人の方に同じようなお答えをいたしたのでありますが、これは直接には総理府の所管でありまして、私の所管ではありません。ありませんが、港湾労働法の運営に重大な関係がありますので、総理府と連絡をとりまして努力中でありまするが、ただいままだ経過的な段階でありますけれども、予算では審議会の委員は五人ということになっておりますが、これを七名にいたすべく交渉中であります。そして七名の場合には、二名は港湾労働の立場を代表し得る経験者、二名は同じく使用者を代表し得る経験者、三名は公益の委員、こういう構成で運営さるべきが正しい方法だと考えます。その方向に向かって努力中であり、かつ、また、実現し得るという見通しを持っておる次第でございます。

 

○杉山善太郎君 大臣はおそらくそういう答弁をされるであろうと思っておりましたが、実はこれは先ほどちょっと申しましたように、総理府の審議官でありますか、大体そのような形式上の数字については、たとえば港湾調整審議会の委員は七人である、そしてその下に二十人の公労使の専門員というものを置く。そしてさらに私は、これは新しい法律であるし、ILOの例の港湾内陸運輸委員会の問題も背景に、十分に内外の情勢というものを身につけて、これはあなたのほうの所管だからしっかりとやってもらいたいということもその時点で申し上げたのであります、希望意見として表明したわけであります。さらに、これは申し上げるまでもなく、職安審議会の中に内陸専門委員会がつくられるとか、あるいは地方の新しい地区職業安定審議会も三者構成的なものがつくられるというふうには聞いておりますけれども、そもそものかなめは、やはり港湾というところは、労働省、運輸省、通産省、大蔵省と、非常に多岐にわたっておる。しかし、実際のかなめ、推進の核はどこかということになると、やはり港湾調整審議会だというふうに考えます。あれもありこれもあるということで、その一つ一つは飾りものでもなく、さしみのつまでもない、重要な役割といろいろな機能を果たさなければならんし、また、果たすべきものだと思います。しかし、やはりそれらのかなめであるところの港湾調整審議会については、いまの大臣の説明だけでは私はもの足らぬのでありますけれども、繰り返してねばってもしかたありませんが、もう一つ。大臣は、内閣の大改造があってもかわられないかもわからぬし、かわられるかもわからぬが、かわられるとすれば、この辺のところは事務引き継ぎをしっかりやってもらわなければなりませんし、かわらなければ、ますますいま言われたことが、悪いことばですけれども、みそくそにならぬように十分やってもらわなければならぬ。こういうことでありますから、所信といいますか、決意といいますか、そういったような点をひとつ聞いておきたいと思います。

 

○国務大臣(石田博英君) 港湾調整審議会の構成は、いままで申しましたような構成でいくことがこの法律を正しく円滑に運営していくゆえんであると、私は強く信じております。

 それから、私がかわるとかかわらぬとかは別といたしまして、私は佐藤内閣の閣僚として、佐藤内閣の責任においてお答えをいたしているのでありまして、私がお答えしていることは、当然その責任を継承されるものと考えておる次第であります。

 

○杉山善太郎君 もう一点質問いたします。これは大事なことでありますので、どうしても大臣からお聞きしておかなければならぬわけであります。港湾荷役事業者は、まず常用の港湾労働者を雇うでありましょう。次に登録日雇い労働者をもって仕事につかせる。そうして、なお登録日雇い労働者が足りない場合には、その次に日雇い労働者を職安が紹介する、大体こういうことにいくのが序列であり、順序だろう、こう思うわけであります。ところが、この法案の中にはただし書きがあって、ただし、技能とかの理由、その他労働省令で労働省が定めた事項に合致するときは、この法律案では、業者が門前募集ができることになっている。これは言うならば、三・三答申の趣旨に基づけば、事業者は必ず登録日雇い労働者を雇い入れなければならぬという原則に反するのじゃないか、そういうふうに私は思うのでありますが、しかし、この限りにおいて、やはりそれは登録日雇い労働者という原則に反している。法律案はそうなっておるのでありますが、これは事業者と職安のなれ合いであるとか、あるいはただし書きの悪用によって門前募集が公然と横行したり、手配師が暗躍するのではないか。このことについては、ひいては港湾地帯におけるところの、いわゆる組織暴力といいますか、組織暴力の定着性を、好むと好まざるとによらず、容認することになるのではないか、そういうふうに私は考えるわけであります。したがって、いかなる理由にせよ、登録者以外の労働者を雇用してはならないということに、そうして、前時代的な門前募集などというものを実際の運用の面で禁止するようにこの取り締まりを厳にしなければならぬのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点に対して大臣の見解を伺いたい、こう思うのです。

 

○国務大臣(石田博英君) この例外規定はあくまで例外規定でありまして、例外規定を悪用するようなことは厳に慎しむのはむろんの話であります。これはほんとうにやむを得ない場合に適用せらるべきものだと考えておる次第であります。

 ヤミ手配師の存在、これはいろいろな原因がありまして、その原因を除去していくことがヤミ手配師の存在をなくするゆえんであると思っておるのでありまして、この法律案におきましても、その原因の排除にできる限りの努力をいたしたつもりであります。ヤミ手配師の排除、あるいは暴力の追放、これは鋭意努力をいたしまして、行政面においても警察庁その他と協力して効果をあげたいと存じております。

 

○杉山善太郎君 ちょっと……。

 

○委員長(藤田藤太郎君) 速記をとめて。

  〔速記中止〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 速記を起こして。

 

○杉山善太郎君 それでは、何もかも排除しながら、ひとつ時計を見ながらやりますので、大臣はもう少しおってもいいようでありますから、おってください。

 公正取引委員会の事務局長、午前の連合審査の続きで、前段は抜きにいたしますけれども、前段はそれなりにお聞かせいただいたわけでありまするが、いわゆる午前中も連合審査の中でお答えをいただいた全国の港湾における港湾荷役独占化の傾向について、たとえば公正取引委員会がその後関知しておられる実態を説明いただきたい、こう思うわけであります。この点については、御承知のように、全国港湾荷役振興協会、これは公益法人だそうでありまするが、そのうちのやはり神戸の船内荷役部門の独占化の傾向に関連をして、略称全港振と私ども言っておりますけれども、それに勧告された過去の経緯があってこれこれだということは聞きましたが、その後どうなっておるのか、一年も一年半もたっておるわけでありますが、その後姿勢が正されておるのか、旧態依然として公取が何だか言っているけれどもということで、馬耳東風になっておるのかどうか、そういう点について、港湾労働法はひとり歩きをすれば、非常なこれはやはり二面性を持っておりますから、そういう点についてひとつお聞きしたいと、こう思います。

 

○政府委員(竹中喜満太君) 午前中お答えいたしましたように、昭和三十八年の十月に全国港湾荷役振興協会ほか四団体に対しまして、独占禁止法違反の疑いで審決をいたしました。審決が確定をいたしましてから審決の執行をいたしたわけでございますが、この際は、事業者団体の欠点の提起と、その事実の会員に対する周知徹底ということになっておりまして、これが一段落いたしますとそれで事件は終わりということになっておるのでありますが、その後は、大体私どものほうでその事件をトレースして監査をするということになつております。しかし、私どものほうでこういうことは申し上げにくいわけでございますけれども、人員が非常に少ないものですから、新しい事件に追われまして、監査になかなか手が回らぬということで、その後監査はいたしておりません。それで、最近になりまして新聞紙上にいろいろ記事が出ておりますので、先般来、これは一応決定を破棄して、また復活しておるんじゃなかろうか、監査をする必要があるんじゃなかろうかということで、部内で近くもう一度調べ直す必要があるということを申しておるわけでございます。

 

○杉山善太郎君 こういう視点から、私ことばのあやで申し上げますけれども、たとえば船内への物品販売であるとか、船内の修繕であるとか清掃業などにも、言うならば、この全国港湾荷役振興協会の中で、正式には港湾運送事業法によって許可、認可を受けておられる事業者というものが、船内荷役というものは、それなりに独占化の傾向というものに関して警告はあっても、今度は空気まくらの一方を押えたらば一方がふくれるといろかっこうであって、御承知のように、外国船にいたしましても日本船にいたしましても、船が入れば、船員というものは当面の日用品を需給するために相当に船内売り込み、まあ船乗りことばでは沖売りと言っておりますけれども、沖に出かけていっていろいろな船員の日用品というものを並べておるわけでありますが、日本の全港湾では相当な、ことに六大港においては相当な取引なんです。これもだれだれの杯をもらわなければ、だれだれの息がかからなければならぬというようなかっこうで事業家が痛めつけられてしまっておる。そういったような、具体的には修繕であるとか船内の物品の販売業であるとか、今日いろいろな毒薬であるとか、いろいろなものを積んできた場合については、往年は船員がそれを掃除したわけでありまするが、それを拒否する。そうして好むと好まざるとにかかわらず、いろいろとそれを清掃するといったような事業が一つの業態として成り立つわけでありますが、そういう問題についても、これを一つのほうで牛耳ってしまって他にはやらせないとか、そういうふうに私どもうかがい知っておるわけであります。そういう点について公取はどういうふうに見ておられますか。

 

○政府委員(竹中喜満太君) ただいまお話のようなことも最近耳にいたしております。しかし、私のほうの法律に違反する場合は、事業者が話し合いをいたしまして、いわゆる協定でそういうことをやった場合にこれは独占禁止法違反になるわけでございまして、いまお話のようなことが協定によるものか、あるいは特別の力によるものか、そこらに独禁法の適用では問題があると思います。

 それから、また、船内におけるそういう商品の販売が一つの独立した取引分野と見るべきかどうかという法律上の問題もございます。しかし、最近そういうことが問題になっておりますので、私のほうだけで解決できる問題かどうかわかりませんので、関係官庁ともいろいろ話し合いをいたしまし、て、調べてみたいと考えております。

 

○杉山善太郎君 今度は警察庁のほうはどなたがお見えになっておられますか。

 

○委員長(藤田藤太郎君) 警察庁のほうは関根捜査第二課長です。

 

○杉山善太郎君 あなた午前中の連合審査には出ておられましたですか。

 

○説明員(関根広文君) 午前中は刑事局長が出ておりました。

 

○杉山善太郎君 午前中、おおむね港湾地帯における組織暴力団体の実態とその動向というものについて概要は伺ったということにいたしましょう。したがって、ここ、ではこういう点を一つお伺いしたいと思います。

 去る四月二十一日に、神戸市の生田区役所で開かれた、これは警察庁主催ということに相なって、新聞が書いておるのでありまするから、これは間違いないと思いますが、広域暴力団取締連絡会議の席上で、兵庫県警察から、神戸港での組織暴力の実態を盛り込んだ「広域暴力団の対策について」と題ずる調査資料が提出され、神戸港を舞台にしての組織暴力の全容が公式の席で明らかにされたと聞くが、その実態の説明を願いたい、こう思うわけでありますが、実際にこれは開かれておると思いまするが、そういう点についてひとつ説明をいただきたい、こう思うわけであります。

 

○説明員(関根広文君) 警察庁におきましては、いろいろな形で暴力団対策の会合を持っておりますが、関西の広域暴力団の最近の動向に対処いたしまして、これを中心として中部、中国、近畿管区内の暴力担当者、主として専従しておる警部クラスでございますが、そういう人を集めて、警察庁主催で神戸でただいまお話のありました会合を持ったのでございます。それは、警察庁からは私が参りまして会議を大体主宰したのでございまして、その会議の内容は、ただいまお話がございましたような、関西における警察が広域暴力団として把握しております団体に対する取り締まりのしかた、それの最近の動向というものをいろいろと掘り下げて内部的に検討したのでございます。その際に、兵庫県警察におきましては、兵庫県下における暴力団の実態、港湾問題も含めて、当然でございますが、それを含めましていろいろとお話がありまして、われわれ当事者の参考にいたしておる、かような状況でございます。

 

○杉山善太郎君 これはあなたが直接行かれておられるわけでありまするからはっきりした問題でありますが、こういうことがございましたでしょうか。たとえば兵庫県警では、その手配師の暴力事件を訴えると、やはり仕事を、もらえないとか追っ払われてしまう、そういう心配から労務者は泣き寝入りをしてしまっている。そこで、今後、港湾運送船内事業者は、港湾運送事業法に基づく許認可によってそれなりの監札を受けておるわけでありますが、おのずから欠格条項というものがあるわけでありますが、そういう欠格条項に相当するような業者を摘発する方針を、やはりこれは神戸市会などの問題にもなった関係もこれあるかと思いますけれども、そこに焦点をしぼってスポットライトを当てて、なるほど港湾運送事業法によって認可をもらっておるけれども、これは明らかに港湾運送事業法による認可の欠格条項に適合するのだ、そういうものをメスをふるって摘発するのだというふうな点まで発展をしておるか、その辺、デリケートな点だと思いますが、ひとつ伺いたいと、こう思うわけであります。

 

○説明員(関根広文君) ただいまお話のございました点は、あるいは新聞報道かと存じますが、会議の席上いろいろな話が出たことは出たのでありまして、逐一それは申し述べるわけにまいりませんが、ただ、新聞記事の場合は、かねて新聞記者が神戸地域におきまして取材しておる問題を、当時の会合の開催を機会に、会議の内容として協議されたというふうに報道しておる部面も中にはあるんじゃないか、かように存じますが、ただいまおっしゃられたようなことを直ちにそうだというわけにはまいりませんけれども、過去においていろいろな問題がありまして、警察としては、午前中に局長からお話しされたと思いますけれども、現在までに事件として検挙しております例は非常に少ない。しかしながら、潜在化しておる形というのはいろいろな形があるというふうなことを聞知しておりますので、これらを今後あらゆる面から掘り下げて摘発していくというふうなことはどうしたらいいかということを含めて、いろいろと研究した、かようなふうにお答えしたいと思うわけであります。

 

○杉山善太郎君 新聞の使命と新聞記事の内容評価の問題は、いろいろな立場や見方があると思いますが、組織暴力というものは、その資金源というものが、パチンコの景品買いとかいうようなそういう比ではなくて、港湾における手配師が労務連絡員などというような慣行で、あるいは地下足袋を一足貸すとか、あるいはちょっとその手配をすることによってはっぴ賃だとかいったような形で、いろいろな前時代的な収奪をやっておるのだ。したがって、その資金源は、陸上における変な芸能団体のあっせんをやったり何かしている資金源や、パチンコの景品買いの比じゃない。港湾におけるそういう点において船込みがあるし、そういうような点について、なかなか港湾におけるこの組織暴力の定着性というものについて憂うるものがある、こういう時点でとらえて新聞というものは報じておりますが、私どもは、新聞の評価というものに対して、かなりこの面に関する限り、相当高くそれを評価して、これは架空ではない、でっち上げではない、そういうふうに見ておるわけでありますが、そういう点について、もちろんこれ以上論議はここでは筋が違いますし、場が違いますから申しませんけれども、その辺の点についてあなたのお考えをひとつ聞かしていただきたいと、こう思うのです。

 

○説明員(関根広文君) 警察が対象としております暴力団の資金源の大きな部面に港湾関係の問題があるのではないかというふうなことにつきまして、私どもがこれを問題として取り上げておるということは、私どもが港湾労働の問題と暴力団の関係について非常にこれを重視しておるということを申し上げられると思うのでございます。問題は、暴力団がいろいろな資金を収得する際に、いわゆる刑法の構成要件に該当するような犯罪を犯して資金を獲得するという面につきましては、警察は相当積極的に現在まで検挙してきておりますが、資金の収集の方法が、ただいま申されましたように、あるいは犯罪行為がまつわっているかもしれませんが、被害が出ない、あるいは犯罪行為として問擬できない。いわゆる暴力的な背景を中心としながら、力関係で金銭を収得しておるという関係が犯罪面として取り上げられないというふうな面も、かなり実情としてはあると思うのであります。そういったような面の実態を解明いたしまして、警察としては、犯罪面として浮かび上がれる面を中心にこの問題の摘発に当たっていきたい、こういうことでこの問題に対処しておると、かようなことでございます。

 

○杉山善太郎君 運輸省からはきょうは海運局長がお見えでありませんね。港湾局長お見えになりますが、運輸省は、これは出先機関に海運局なり港湾局というのがあるわけでありますが、いま私が質問しておる中で、変なことばのあやで単刀直入に公取やあるいは警察庁に申し上げておるわけでありますが、こういう実態についてどの程度掌握しておられますか。出元機関について、具体的には神戸の実態というものについて、これは神戸市会でも問題になり、新聞にも出ておるわけでありまして、この実情というものをどの程度に把握しておられるか、把握しないなどというばかなことはないと思いますから、その辺のところをひとつ……。

 

○政府委員(佐藤肇君) 神戸の暴力の問題でございますが、私どもが港湾運送事業法に基づく監督をしておる範囲においては、具体的な事例としてこの法律の違反は認められないわけでございます。ただ、新聞紙上その他にいろいろと問題が出ております。で、私どもが関知しておる一番大きな問題といたしましては、あぶれ補償金と申しますか、そういう形で船主その他から金を取っているのではないか。これが神戸市会でも非常に大きく問題になった点でございます。この点につきましては、私どもの承知しておる限りにおきましては、昭和三十七年九月に神戸港におきまして、神戸港船内荷役調整会議というものがございまして、これは当時非常に船込みでございまして、労務者の不足ということもその大きな原因であったので、その対策を講ずるための協議会でございますが、この席上で、船内荷役労務者の確保ということが問題になりまして、その結果、港湾運送事業者に対して、利用者である船主、荷主等がこの協議会のいずれもメンバーでございますが、そこから最繁忙時における労務者を確保するということで金を拠出すると、こういうことになってまいりまして、それは一つは料金ではないかというような問題もございますが、われわれは、これは料金としてはとっておりません。で、これは神戸港の特殊事情、すなわち、船内荷役の労務者が非常に少ない。しかも、月末月初に船込みがあるということで、それを円滑に処理してもらいたいという船主側の要望から出た業者間の話し合いというように解しておるわけでありますが、それが現在まで続いておりまして、現在、このため支払われる金が約一千百万円程度と聞いております。ちなみに、船内荷役全体の月間の収入というのが約五億円でございますが、一千万円程度がそういうことで支払われておる。これが暴力団の資金源になっておるのではないか、これが神戸市会で問題になったことだというように聞いております。われわれの承知するところでは、これは労務者に対して的確に払われている、かように聞いておる次第でございます。

 

○杉山善太郎君 海運局の次長が来ておりますか。近畿海運局は一番大きい海運局ですが、そういう点については港湾局長よりも、その所管の行政系列では、いろいろその実態についてはそれなりに把握しておられますので、ひとつお述べをいただきたい、こう思うのです。

 

○説明員(沢雄次君) これは地方では、地方海運局は、港湾の面と、それから、船の定期航路の監督というような面をやっておりますが、本省では海運局とは申しますが、本省の海運局は、港湾の面は全然タッチいたしておりませんで、船会社の監督でありますとか、船会社の再建整備、そのようなことをやっておりまして、この港湾の面につきましては、港湾局長が運輸大臣を補佐して地方海運局を監督しておる、こういう官制になっております。

 

○杉山善太郎君 法務省のほうから来ていただいておりますので、一応これは法務省、警察庁のほうからもお聞きしたわけでありますけれども、法務省のほうでも、この港湾労働法の生みの親で、言うならば港湾労働等対策審議会が、三十九年の三月三日付で内閣総理大臣に答申しておるのでありまして、大臣の諮問は、昭和三十八年の八月九日付諮問第一号で、「近年の港湾労働及び港湾の運営、利用の状況にかんがみ、これが改善のためとるべき対策について貴会の意見を求める。」これが総理大臣の諮問であったので、それで三・三答申というものが出ておるわけでありますが、したがって、申し上げるまでもなく、開放経済体制の中で、海と陸の接点であって、言うならば外国文化の海の停車場に相当するものに前時代的な暴力団が定着性を持って、これが非常にまだ発展をする可能性を持っているんだと、警察庁では一生懸命あの手この手でやっておると思いますが、法務省のほうでは大所高所からこれをどういうふうに見ておられるか、そういう点についての見解を伺いたい、こう思うのです。

 

○政府委員(津田実君) ただいまのお尋ねの点でございますが、もちろんこの暴力団の掃滅、あるいは暴力関係事犯の防遇に関しましては、数年来から非常に力を入れてまいりまして、御承知のとおり、昨年には暴力行為処罰法の一部改正も御審議をいただきまして施行になったわけです。法務省といたしましては、昨年夏に暴力係検事を全国に配置いたしまして、暴力団対策を一そう強化してまいったのでございますが、その暴力団対策の一環といたしまして、港湾所在地につきましては、もちろん港湾暴力の問題についても十分の防遏対策を講ずることといたしておりまして、その後しばしばこれらの係の検事の会同を開催いたしまして、その趣旨を訴え、あるいはその取り締まり対策について協議をいたしまして今日に至っておるわけでございます。警察のほうから申し上げたかと思いますが、なかなかその外部にあらわれました暴力事件というものは、これは検挙することは比較的たやすいのでありますけれども、港湾関係の、ことに労働関係にまつわりますところの表面に出ないような事犯というものにつきましては、なかなか検挙がむずかしいわけでございます。検挙いたしました場合には、もちろん厳重な処置をいたしてまいっておるのですけれども、今日におきまして、まだこれといってそう目ぼしい事件は起訴されておるとは申しかねるわけでございまして、あるいはこれらの労務者に関する恐喝事件、つまり手配師をめぐる恐喝事件でありますとか、あるいは労務者を対象といたします賭場、賭博の開帳事件、そういうものを起訴処理はいたしておりますけれども、組織的なものとしての暴力団というものが、港湾問題を契機にして取り締まりの対象になったということは、まだ遺憾ながら、その大きなものはないわけでございます。しかしながら、これに対しまして、法務省、あるいは管下の検察庁におきまして、そういうことについて関心が全然ないわけではなく、むしろそれにつきましては十分の関心を払うように指示もいたしておりますし、やっておるわけです。で、まあ最近におきまして、神戸におきましては、神戸市の主催によりまして関係者のいろいろその暴力対策というような会合も開かれておりますし、そういう面につきましては各方面と連絡をとって十分やることに努力はいたしておるわけでございます。で、今後とも、かようなものにつきましてはいろいろな方面、たとえばその暴力団の資金源と目されるものに対する税法の面からの処置等、まあいろいろな方向から暴力団のはびこることを押さえますと同時に、かような港湾に対する暴力の面につきましても、暴力団を制圧することによってその防止につとめていきたい、これが法務省並びに最高検察庁の方針でございます。

 

○杉山善太郎君 今度は、労働省の出先機関には職業安定所だとか労働基準局というものがあるわけでありますが、前段申し上げましたつれづれの点について、出先機関は、一体その点については、かりに港湾労働者の専門の職安というものもあるというふうに聞いておりますし、労働基準局もあるので、そういう問題について、ひとつ職安局長から伺いたい。

 

○政府委員(有馬元治君) われわれの出先からは、先ほど申しましたように、港湾労働に関するまあいろいろな情報も入っておりまするが、直接まあ暴力事件に関する問題がわれわれのほうには入っておりませんので、今後この港湾労働法を施行いたしまして、全体として、先ほどから申し上げておりますように、暴力の介入する余地がなくなってくると、こういうことを機会に組織暴力の排除につとめてまいると、こういう考え方で善処してまいりたいと思います。

 

○杉山善太郎君 もう一、二点質問をいたしますが、これは港湾局長にお尋ねいたしますが、まあお尋ねしようと思うことは、かりに神戸市会などの問題も関連をして、あるいは私どもがやはり港湾運送事業法に照らしてみて、料金や運賃面でこういうような、たとえば何と申しますか、口数増強協力金であるとか、あるいはこういうようなものが港湾運送事業法の料金の中で一体容認されていいものかどうかという点については、もう時間がありませんけれども、あなたも知っておられるし、いみにじくもさっきあなたのほうから言っておられますから、いまこの場に及んで根掘り申しませんけれども、この点だけはひとつ一点、港湾労働法もいずれ脚光を浴びて日の目をみてストライキをするわけでありますから、そうして港湾の近代化、労働の秩序も確立されなきゃならぬわけでありますから申し上げますが、いま六大港の船内荷役で、日曜日に労働者が働いた場合に、船会社から、外航船に対しては料金の四割、内航船に対しては二割五分の料金の割り増しが荷役会社に出ておるわけであります。この料金は一体賃金なのか何なのか、どうも私どもの労働法的な基準の考えからいって納得いかないわけでありますが、これ一体どういうわけですか。同時に、関連して海運局のほうからも、運輸省のほうでも海運局関係でお尋ねいたしますけれども、大体日本船主協会の各汽船会社に、年間いろいろな形で国がたくさんの金を出しておると思うのですけれども、そうだといえども、金のなる木を持っておるわけじゃありませんけれども、相当な荷役協力金とかという金を、おそらく暴力団なんかがゆすり取っておるわけじゃないだろうと思うのです。十分相互が良識の上に立って出しておるという内部矛盾が内蔵しておるのじゃないかと思うのですが、たとえば運輸省の港湾局長の場合については、この日曜の問題の金は一体どういう形に受けとめておられるかということと、海運局のほうでは、日本船主協会に対して、たとえば昭和四十年度の予算については、利子補給なりその他の助成について予算上総額どれくらい出ておるんだということをお聞かせいただきたい。大体わかっている範囲でけっこうだと思うんですが、これは港湾局長からひとつお願いいたします。

 

○政府委員(佐藤肇君) 日曜日に荷役をした場合に、外航船四割、内航船二割五分という割り増しの料金を払っているわけでございますが、これは賃金ではございませんで、料金の中の強行荷役割り増し料というものに該当するわけでございます。これは十割以内ということになっております。

 

○杉山善太郎君 そこが問題になるんですよ。それは一体、賃金なら働いた労働者に払わなきゃならぬですが、一体賃金の流れはどう流れておるんですか。

 

○政府委員(佐藤肇君) この割り増し料金といいますのは、港湾運送事業の料金というのは認可料金になっておりまして、その認可料金の項目の中に強行荷役割り増し料というのがございます。先ほど私十割以内と申し上げましたが、実は五割以内ということになっておるわけでございまして、これを適用いたしまして、そういう荷役をさせた船主がそういう荷役を引き受けた運送事業者に払う金でございます。

 

○杉山善太郎君 神戸の日雇い労働者がこの金をどんな名目で実際にいま受け取っているか。つまり貿易会社なり荷主なり汽船会社から船内荷役業者が――これは下請ですが、そういうものを受け取とったというかっこうで、それは受け取る理由も根拠もないんですよ。働いた者が、日曜に出て本らっておるわけでありますから、そこらが問題の非常にわれわれがガンであり、封建性であり、前時代的だ。力点を入れるのはそこなんですよ。これはやはりパイプを通さなければいかぬので、こういう点について一体どうなっているのですか、その点が。

 

○政府委員(佐藤肇君) これは運送契約によりまして船主と運送事業者が契約して、その料金として運送事業者が受けるわけでありますが、それを、当然この中から店費のようなものがあれば店費のようなものが引かれると思いますが、労働者に対して賃金として払うということは労働協約の範囲内でございまして、これに違反すれば当然労働基準法その他によって処罰されることだと思います。

 

○杉山善太郎君 労働協約の範囲内と言われますけれども、供給源はルンペン労働者ですよ。私は労働者の出身でありますけれども、いま申し上げている立場は国会議員で、国民の代表でありますけれども、だから、みそもくそも一緒にものを申しますことは避けますけれども、働いたルンペン労働者が労働協約だとか就業規則だとかいうものはおそらくあってなきがごとく、労働協約なんてありませんよ、実際問題は。だから問題は、受け取る賃金は、それはもとから、下請の業者からそれを受け取るならそれでいいですけれども、受け取ったものをピンはねすることもそれはよくないです。かりにピンはねがあったとしても、一応それが渡ってないかどうかという問題については、われわれは渡ってないということを一応把握しているけれども、しかし、実際は申しわけ的でもやはりあるかないかという問題について――これはこれ以上申しませんけれども、そうなんです。だから、基準法や職安法の四十四条に違反であるから問題だと、こういうわけなんですよ、実際問題として。

 

○政府委員(村上茂利君) 先ほどからいろいろ御質問がございましたが、私どもの承知いたしておまりす点で、二点お答えいたします。

 問題を逆にしまして、いま問題にされておる事柄でございますが、問題の本質は、日曜に労働しないという、日曜が休みであるという前提に立って、そのときにそういう前提にかかわらず出勤をしたということでございますから、労働基準法上は二割五分以上の割り増し金は払わない、こういう問題があるわけでございます。今度はそれとうらはらと申しますか、別個と申しますか、料金の問題でございますので、原資を生み出さなければいけない、こういう問題があろうかと存じます。先ほど運輸省のほうからお答えいたしましたのは、特別料金その他名目はいろいろございますが、要するに、私どもは、実は事業主が労働者に払うべき原資の問題、捻出の問題でありまして、使用者が労働者に渡すものは、これはまさに賃金でございますので、日曜出勤の場合の割り増し金を払うというべき性質のものであり、また、支払われるように監督いたしておる次第でございます。

 それから、もう一点、先ほど神戸の事例として千百万円ほどの特別の金額が支払われておるという問題がございました。あの問題につきましても、いわゆる手配解けの場合に一人平均三百五十円支払うというような慣行があったようでございますが、そういった慣行は労働基準法二十六条の休業手当の支給義務との関連で問題がございますので、是正方を私どもは要望いたしました。その結果、本年一月一日から労働基準法の二十六条に定める休業手当の六〇%支給、平均賃金の六〇%支給するということに明確に支払い方式が改められました。そういった点につきまして、私どもは、労働基準法の定めるところにより、法どおりの適正な賃金が支払われるように監督につとめておるような次第でございます。

 

○杉山善太郎君 これは確認しておきますけれども、ともかくも、その金は実際に働いた労働者に、名目は一応外に置くとしても、しかし、実際はやはり支払われていることについては出先の基準局としていつも掌握されていられるわけですね、そういう点は。

 

○政府委員(村上茂利君) 港湾荷役業者が受け取った金額がまるまる労働者にいくべきかどうかという点については、労働契約とは別個の、荷主と荷役業者との契約の問題でありますので、基準法ベースで直ちにそれをどうい弓ふうにするということも困難な問題がございます。しかし、ただいま申しましたように、日曜、休日出勤であるとか、あるいは休業手当を支払うべき場合に、法に定められたものが支払われておらないという問題につきましては監督を厳重にいたしまして、原資もあることでありますから、正しく賃金が支払われますように監督をいたしておるような次第でございます。

 

○杉山善太郎君 大体これは、いろいろ時間が頭の中にあるので、弾力的に質問をやっているわけでございますが、この問題は重大であります。一応これはとにかく神戸ですから、一つの玄関口です。こういうような内部矛盾をいまなおせんさくしなければならぬというような点については、ほんとうはこれは問題があると思うのでありまするから、十分これはやはり労働基準法のものさしを十分使って、厳格にひとつやっていただかなければなりませんし、運輸省のほうでも、ひとつ十分労働協約がどうだとかこうだとかということではなく、かりに労働協約があって本就業規則があっても、あってなきがごとき申しわけ程度のものでしかないから、私どもは、だから港湾労働の近代化とか合理化の確立ということを、せっかくの機会でありますので、一応申し上げているわけであります。

 そこで、もう一つお尋ねいたしますが、これは海運局次長が来ておられますのでお尋ねいたします。私は重ねて言いますが、政府は、たとえば海運企業資本、言うならば日本船主協会に対して、傘下の株式会社に対していろいろと助成金なり補助金というものを出しておられますが、これはとにかく筋が通ったものならいいけれど本、料金とか賃金というものをむやみやたらに出しておられる、相当なものです、全国から出ているものについては。それで、なおかつ、やれ利子補給だとか何だとかいうことについて、その経緯についても十分精査して、一体どれだけ金を出しておられるか、そういったような点についても十分これは問題があるというふうに考えておるわけです。

 

○説明員(沢雄次君) ただいま先生のおっしゃられましたとおり、日本の船会社は、非常に多くの償却不足と、それから、延滞金に悩んでおります。政府も、これに対しまして利子補給、あるいは猶予利子等、相当多額の金を海運企業に出しておりますので、この経費の支出につきましては厳重な監督をやっております。しかし、船会社としまして、同時に、一番金が出ますのは港がとまる――港がとまりますと申しますのは、船がとまりますと、最近の巨額の資本を投入いたしました船が一日港に滞船いたしますと、約七十万円の金が飛んでしまうわけでございます。先ほど御質問の日曜日の荷役をどうするかという問題につきましても、船を一日とめられますと非常に巨額の金が出まして、船会社の再建整備にも響いてくるという状態になりまして、船会社は、これは労働組合の人とではなしに、港湾運送事業者といろいろ話し合いをして、先ほどのような日曜日の特別料金を出すということについてある程度の話し合いがつきまして、われわれ同僚の港湾局も、これは現在の港湾運送事業法に基づく料金表によって読むことができる、合法的なものであるということなので、船がとまるよりも、それではそのような料金を支出してもやむを得ないということでわれわれむ了承した次第でございます。

 

○杉山善太郎君 一運輸省や一海運局に申し上げておるわけじゃない。政府、言うならば佐藤政権に申し上げますけれども、政府は、海運企業自身にいろいろな形で、やはりあの手この手で助成金を出していることは、私どもは的確にそれなりに知っております。したがって、たとえば料金とも賃金ともつかない不明確なものを年間神戸だけでも一億二千万円も荷役業者に出しておるというようなことは、これは非常に大きな矛盾ですよ。予算上、支出上、国民の中から、そういうことについて、とにかく船が停滞をすればどうだとか、国際レベルの中での日本の停船料とか、そういったものについては比較にならない問題なんです、実際問題は。それについて、船がとまると荷役業者が因るなんということだけでこれは済まされない。いわゆる公費の乱費なんです、実際問題は。だから、これは大きな矛盾であるということを私は申し上げて、また不日、差しかえはきくのでありますから、運輸委員会にとけ込んで、大いにこの問題は究明、追及するという余地を残して、私は今日的な段階では、大臣本忙しい中を来られたようでありますから、一応この点で質問をとめておきます。

 

○小柳勇君 その問題は明らかにしておきたいと思うのですのですが、いまの一億二千万円の特別料というのは、これは労働者の賃金として支払われておるかどうか、その点は明らかでありますか。

 

○政府委員(村上茂利君) 先ほど私ちょっとその点に触れましたので、私からお答え申し上げますが、その支出するお金をどのように使うかという、その趣旨は、船会社のほうから港湾荷役業者に渡します際の一つの契約内容となろうかと存じます。その内容が、すべて労働者に支払われるべきものであるというものが支払われなかった場合には、船会社と港湾荷役業者との間の契約不履行の問題を起こすでありましょうが、そのこと自体が直ちに労働者に賃金請求権として請求権が発生するかいなかという点については、私どもその点はまだ明確にいたしておりませんが、どうも必ずしもそうではないようなふうに理解をいたしております。そこで、労働省といたしましては、その特別に払われる料金が原資となりまして、休日労働をした場合に労働基準法によって支払われるべき割り増し賃金等が正しく払われるという点に重点を置きまして監督指導をいたしておるということでございます。したがいまして、問題は、その一億二千万ならば一億二千万の金額を船会社から港湾荷役業者に渡します際、それが賃金請求権として労働者のほうにどうはねかえっていくかといった、その法律問題をたださなければならない問題がございます。その点いろいろ調べてみたのでございますが、その料金がすべて賃金に回されるというような形には必ずしも明確になっていないというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、趣旨、目的が、少なくとも休日停船滞貨をなからしめるために労働力に大部分が依存するというような状態にあります際に、その稼働された労働力に対して賃金が払われないということでは本来の趣旨が貫徹しないわけでありますから、そういう点については実質的に十分配慮してまいりたいと、かように考えておるわけであります。

 

○小柳勇君 抽象論をやっているわけじゃないのですよ。具体的にこの神戸だけでも一億二千万の金が日曜に停船することを阻止するために出されておるといえば、明らかにこれは世界共通、ほとんど世界で日曜出勤に二割五分なり四割の割り増しがつきます。そういう世界的な常識をもって料金がきめられる、そこまではいいわけです。あなた方が料金を許可するまではいいが、その金が労働者のほうにいかないで、ただ何か日曜に仕事をするから、そのリベートだぐらいのもので会社にとどまっておることはぼくは許せないと思うのだが、その点、具体的な賃金としていっているかどうかを基準局長に聞いておるわけです。

 

○政府委員(村上茂利君) 性質としては二つの問題がございます。休日出勤で労働した場合の割り増し賃金が払われるかという問題と、それから、あぶれ手当的なものに払われるかどうかという問題がございます。この点、神戸の先ほどの例は、あぶれ手当の支給原資というような面もあるようでございます。そこで、先ほど申しましたように、面着したけれども労働しなかった場合、いわゆるあぶれ手当、労働基準法でいう休業手当の支給外財源に使われておるということでございます。要約しますれば、割り増し賃金として支払われる場合と、休業手当的なものとして支払われる場合と二つの面がございますので、その面から検討しておるわけでございます。

 

○小柳勇君 日曜出勤手当で支給されるのはわかりますよ。日曜にあぶれたので休業手当ということは理解できないじゃないですか。しかも、一億二千万の金は、許可するまではよろしいでしょう、二割五分あるいは四割の割り増しはいいでしょう。普通日曜出勤する場合は労働基準法できめているのだから、二割五分というのは、日本だって労働基準法できめておるのだから、それはいいでしょう。しかし、その金は日曜に働いた労働者にいくべき金である。日曜に仕事をさしたからと会社がとるべき金じゃないと思うのだが、それはどうなんですか。

 

○政府委員(佐藤肇君) 実は、ただいまの話は両方のお話がありますので、両方ちょっとこんがらかっているわけでございますが、一つは、一億二千万円と申しますのは、これは神戸港だけの特殊事情でございまして、船内荷役業者を確保するという意味で、採算上、船内荷役業者の口数を確保してほしいということで、船主と船内運送事業者との間で話し合いがついて、その金を月々一千万円程度出しておる。ですから、これが一億二千万円になるわけでございまして、これにつきましては、先ほど基準局長から、出ても仕事がないときにはその金を支払っているということを申し上げたわけでございます。それで、私、基準局長からもう一ぺんお話をしてもらったのですが、そのときに、たまたま日曜、祝日のときの四割ないし二割五分というのを混同いたしまして、ですから、神戸の問題はいまのようなあぶれ賃として出したものが年間で約一億二千万円ということでございます。もう一つ、この日曜、祝日の場合は、これは本来であれば、いまおっしゃられましたように、二割五分以上というのが労働基準法上の日曜出勤の場合の割り増し賃金でございますから、当然そういうものを料金に盛り込めばいいわけでございます。ところが、この問題が起こりましたのは去年のたしか八月か九月ごろだったと思うのでございます。ちょうど九月に港湾運送事業の料金の値上げをいたしまして、それがきまった直後でございます。さらに、この問題だけで料金改定ということは非常にむずかしい段階にあったわけでございます。たまたまこの運送事業料金体系の中には割り増し特別料金というものがございまして、その一つとして強行荷役割り増し料というものがあるわけでございます。それを適用いたしまして、船主と運送事業者の間の話し合いで、日曜、祝日に荷役をやらしたときには、割り増し料金として、外航船は四割、国内船は二割五分、こういうものがきまったわけでございます。それから、それを今度は実際に労働者に支払うという段階になりますと、基準法からいきますと二割五分以上でございますが、それを全部支払うかどうかということまでは、私どものほうでこれを規制することはできないわけでございます。

 

○国務大臣(石田博英君) 私のところで所管をしておる範囲において、いま関係者から聴取いたしましたことをまとめてお答えをいたしたいと思います。

 これは問題が二つあるようでございます。一つは、荷役業者に対して船主が一定の仕事数を約束しておる。その一定の仕事数に達しない場合のあぶれ料として大体月一千万円程度のものを払っておる。それは必要労働者を確保するためとか、その他事情はいろいろありましょうが、とにかくある一定の口数に達しないものについての補償準備金みたいなものとして払っておる。しかし、に約束しただけの仕事があった場合においては、あとで精算をしてそれを差っ引く、こういうことのようでございます。第一の問題は、これはあぶれの問題。

 もう一つの問題は、日曜出動の四割と二割五分の問題が残ってくるわけでありますが、その場合は基準法によって、二割五分以上日曜出勤をさした者に対して払わなければならぬのでありますから、この場合は、私どもは、払わない者に対しては基準法上の監督を厳重に実施をいたしておる次第であります。そこで、残っておりますあとのほうの問題、四割と二割五分取ったやつが現状は一体どうなっておるか。こちらは違反事項の摘発のみでございますが、至急にひとつ現状についても監督を実施いたしまして、御報告申し上げたいと思います。

 

○小柳勇君 もう一点、くどいようですけれども、日曜出勤の実績ですね、日曜出勤の場合の賃金支払いの実績を把握しておられるかどうか。平常は一日五百円であるけれども、日曜の場合は六百円でございますが、そういう実態を把握しておられるかどうかという点。それから、今度の港湾労働法ができたら、そのような船主から荷役業者に月に一千万円出す必要があるのかどうか、その点も聞いておきたいと思います。

 

○政府委員(村上茂利君) 神戸港に特有な問題と、それから、休日出勤の問題とに分けてお答えしたいと思うのですが、ただいま大臣から神戸港の場合のお答えがございましたが、ちょっと趣旨を補足さしていただきますが、昭和三十七年六月以来、船内荷役口数増強協力金という制度が設けられております。それがいま御指摘になっておるように、千百万円ほど毎月支給されるというものでございます。これは荷役の能率を増進させるために、荷役業者に対して、労務者をうんと集めて、そうして取り扱い口数を増加してくれるようにという趣旨のお金でございます。ところが、集めたけれども、口数が逆に足りなくてあぶれてしまうという場合がございますので、面着はしたけれども仕事がなかったという場合が出てくるわけであります。その際に、その千百万円の月々もらう金を原資にいたしまして、三百五十円ぽっきりだけしか払わなかったというのが従来の慣行で、それは労働基準法違反じゃないか――これはむしろ休業手当的なものだから、平均賃金の六〇%以上を支払うべしという指導を行ない、本年一月一日からそのように改めさせましたということでございまして、それはそれなりに一応の改善をみたところでございます。今度はその問題とは全然別に、休日労働をさした場合の割り増し賃金が支払われておるかどうかということは、単に神戸港にとどまらざる一般的な問題でございます。この点につきましては、ただいま、手元にその違反件数等につきましての資料はございませんが、一般的に申しますと、港湾荷役関係の監督は、一年間に全事業場について監督をいたしておりますが、その際の監督の重点は、第一は、災害対策関係、それと並行いたしましてただいまの休日労働、長時間労働と関連した割り増し賃金の支払いという問題を監督の最重点にいたしております。もちろん違反件数もございますが、手元にいま資料がございませんので、お許しをいただきたい。

 

○小柳勇君 第二の問題は、今度の労働法ができたら、その金が必要なんですか。

 

○政府委員(有馬元治君) 千百万円の協力金の問題ですが、これは港湾労働法ができましたら、この対象労働者が常用労働者になるか、登録日雇い労働者になるかによって問題は分かれてまいります。常用労働者であれば、当然休業補償の問題になってきますし、日雇い登録労働者であれば調整手当の問題になってきます。したがって、先ほどから港湾局長が御説明になりましたように、この協力金が現行料金制度の中でまかなわれておればそれでいいと思いますが、われわれのほうの労働法の立場から申しますならば、対象の労働者がどっちの種類になるかによって性質が分かれてくると思います。いずれにしても、港湾労働法の施行後においては問題ははっきりしてまいると思います。

 

○小柳勇君 ことばじりじゃありませんけれども、常用労働者のほうが主体であるということは間違いないですが、日雇い労働者というのは、これはなるべく滅らさなければならぬ。常用労働者というのが主体であるという意味でしょう。そうしますと、いまの答弁は、これはこじつけになりますからね。ただ、神戸だけになぜ荷役増強協力金というものが必要であるか、ほかのところにはない、神戸だけに月に一千百万円必要になる、この点はどうなんですか。

 

○政府委員(佐藤肇君) 常用労働者と日雇い労働者の比率でございますが、神戸港は、船内荷役につきましては非常に常用労働者が少なくて、日雇い労働者が多いわけでございます。したがいまして、労働者の確保というのは非常にむずかしい、こういう特殊事情から神戸港だけがこういう制度をとっているのだと思います。

 

○小柳勇君 けさからの議論で、神戸の暴力団の話が再々出てまいりましたが、こういう荷役増強協力金などというものはそんなものとの関連はないでしょうね。たとえば門前雇用する親分衆に対する船会社からの協力資金、そういうものではないでしょうね。

 

○政府委員(佐藤肇君) これはいまのようなことで神戸の市会で問題になったわけでございますが、それに対しまして、私が神戸の新聞紙上で見たところによりますと、このあぶれ賃と称される金は、労働者が不就労された場合に確実に払われているということが現地の基準監督署長の言として出ておったわけでございます。したがいまして、私といたしましては、これが手配その他に行く金でなくて、労働者に不就労手当として渡っておるものと思っております。

 

○小柳勇君 市会でも問題になったことは私もいま初めて聞きましたけれども、そういう市会の問題があって、現地の基準局がそれを証言しておったそういう証拠を出してもらいたい。現地の神戸の労働基準局が調査した結果、日曜の出勤に支払った事実があるという証言をなされたそうだから、日曜でなくして、あぶれ手当の。いまでも港湾局長はこれが必要であると思っておるのですか。神戸だけはどうしてもこの金を出さなければならぬと考えておられるのですか。

 

○政府委員(佐藤肇君) この制度は、昭和三十七年、非常に船込みのときに起こったわけでございます。長い契約ということでなくて、毎年両者が話し合って、こういうものを、そのときによって金額には多寡があるようでございますが、やっております。そうしてだんだん貨物軍がふえてくるということもあると思いますけれども、確保すべき口数を船主のほうはよけい要望すると、したがいまして、金額がふえているというようなことでございまして、私といたしましては決して好ましいものだとは思っておりませんが、神戸の特殊事情から見て、現在はやむを得ないものではないかと思います。

 

○小柳勇君 全国にたくさん港があるのに、神戸の港だけこれが年間一億何千万の協力資金が必要だといまでもお考えですか。

 

○政府委員(佐藤肇君) これは要するにピークが非常に大きゅうございまして、月末、月初とそうでないときの船の入り方が、月末、月初に非常に船が込むわけでございます。したがいまして、多数の労働者をかかえておりましても、遊ぶ期間というものが月末、月初以外には相当多い、こういうことからきておるわけでございます。で、一千万円ということを申し上げたわけでございますが、一カ月における神戸港の実績として、船内荷役量というのは大体五億円程度でございます。その中の一千万円でございますし、私自身としては好ましいとは思いませんが、両者が話し合ってきめて確保してもらっておるという実情から見まして、現段階におきましてはやむを得ないものだと、こういうふうに思っておるわけでございます。

 

○小柳勇君 最後に労働大臣に。これは新しい労働法ができるんですが、港湾労働法という、近代化していかなければならぬ港の姿というものを描いてみまして、まあ常用を中心として考えるならば、いまのような増強協力費なとというもの――もちろん日曜出勤、休日出勤に対する割り増し賃金は常識ですから、それは除外いたしますよ。また、あぶれ問題については調整手当などをもっと考慮しなければならぬ。特に神戸だけこういう金が必要である、新しい労働法ができても必要であるとは思われないのですが、ひとつ早急に検討されて、この問題はわれわれが理解のできるような解決をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(石田博英君) いまの一千百万円の何とか協力費というのは、日雇い労働のあぶれ手当的な性格のものであるといたしまするならば、この法律ができますと、これは調整基金になるわけでありますから、自然解消さるべきであり、荷役業者がその負担するだけ余力があるなら、それは業者の協力義務のほうへでも回してもらうべき性格のものだと思いますし、常用工に対しては、もしそれが必要であるとするならば、神戸だけにあるのは非常におかしい話でありますから、これは廃止する方向へ持っていくべき性質のもので、また、これも余力があるなら、一般にこの制度に対する協力として行なわれるべきものだと考えております。

 

○委員長(藤田藤太郎君) 私も一つ質問をしたいんですが、佐藤港湾局長に質問したいんですけれども、日本の船員が外国の船に乗りましたら外国の賃金をもらいますね。外国のオーバータイムは五〇%ですね、割り増し賃金は。日本は二五%だから、実態は、外国は一〇%まけて四〇%、それはオーバータイム料金の比率で、全部の賃金と言いませんけれども、そういう比率で外国から四〇%とっているんですから、とった分はとっといて、国内は二五%で割り増し金を払うというところに問題がありはしませんかという気が私はしているんですけれども、そういうところはどういう認識をとっておられるか、ちょっとこの際聞いておきます。

 

○政府委員(佐藤肇君) この四割、二割五分の問題が起こりました端緒は、船内荷役の労働組合と船内荷役業者との間で、船内荷役の労働組合からは、日曜、祝日に休みたいという要望があったわけでございます。そこで、その休みたいということに対して、船主としては休まれては困る、こういうことで、大体当初は労使の話し合いから始まっているわけでございます。この問題が解決しないままに、九月から十月にかけて日曜、祝日に荷役拒否ということがございました。そういう中で運輸大臣が調停をいたしまして、この荷役業者と船主との間に四割ないし二割五分というものをきめたわけでございますが、そのときに外航船主が一番困った。そこで、外航船主と船内荷役業者の間の調整をやったわけでございますが、外航船主にとりましては、四割というものは負担し得る額だったわけでございますが、国内の小さい船を扱っている定期船業者にとっては、四割というのは非常に過重な金でありまして、その後ネゴシェーションを重ねて二割五分というものがきまったわけでございます。したがいまして、これは港湾運送事業者と船主との間の話し合いでありまして、実際労働者にどれくらいの金が渡るかということは、そのことの始まりが、労使の間の話し合いで、日曜は休みたいというのを日曜にも出勤して働きなさい、こういうことできまったわけでございますから、必ずしも四割、二割五分というものが労働者にいく場合に、国内船の荷役をした者は少なく渡っているということは考えられないのでございまして、この間でどれだけ国内船の場合に労働者が収受し、また、外航船のときにはどれだけ労働者が収受しているかということはわかりませんが、港ごとに労使の間で話し合いをつけて日曜出勤の場合の割り増し賃金をきめてやっていると思っているわけでございます。

 

○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと一言言うておくけれども、あなたのことを尋ねているわけじゃないのです。外国はオーバータイムの割り増しはみんな五〇%なんですよ。それを比率で、外国船は日本へ来ても五〇%払わんならぬやつを、一〇%まけさせて四〇%でやっているわけでしょう。そのことの理解の上に立って割り増しの問題を、全額を賃金にやれとは私は言いませんけれども、そういう理解に立たなければ問題がありはしませんかということを聞いているのです。取りきめのことを聞いているわけじゃないのです。佐藤港湾局長、何かありますか。

 

○政府委員(佐藤肇君) 外航船と申しましたのは外国船ではございませんで、日本の船で外航に従事している船でございます。それから、国内船というのは、日本の船で国内の定期航路に従事している船でございます。

    ―――――――――――――

 

○委員長(藤田藤太郎君) 委員の異動についてお知らせいたします。本日、館哲二君が委員を辞任され、その補欠として日高広為君が選任されました。また、山本杉君が委員を辞任され、その補欠として斎藤昇君が選任されました。

    ―――――――――――――

 

○委員長(藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。

 それでは、これより討論に入ります。御意見のある万は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。

 それでは、これより採決に入ります。

 港湾労働法案(閣法第八六号)を問題に供します。

 本案に賛成の方の挙手を願います。

  〔賛成者挙手〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

 

○杉山善太郎君 私は、各会派の御了承を得まして、ただいま可決されました港湾労働法案に対し、各派共同の附帯決議案を提出いたします。まず、案文を朗読いたします。

   港湾労働法案に対する附帯決議案

  政府は、港湾労働法の運用に関し次の事項について、すみやかにその実現を期するよう要望する。

 一、可及的すみやかに、本法の全面的施行をはかること。

 二、本法の適用対象港湾の範囲を拡大すること。

 三、港湾労働者の常用化を促進し、日雇港湾労働者に依存する割合をできるかぎり低減させる方途を講ずること。

 四、日雇港湾労働者の雇入については、暴力の介入等の弊害を生ずることのないよう厳正な措置を講ずること。

 五、港湾運送事業法と本法とは密接不可分に関連しているので、本法を効果的に実施するために、本法違反業者に対する許認可等については厳重な規制を行なうこと。

 六、本法の施行について労使関係の意見が充分反映されるよう港湾調整審議会の組織構成について充分配慮すること。

 右決議する。

 以上でございます。何とぞ御審議の上、御賛成くださるようお願いいたします。

 

○委員長(藤田藤太郎君) ただいま述べられました杉山君提出の附帯決議案を議題といたします。

 杉山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

  〔賛成者挙手〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 全会一致と認めます。よって杉山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

 ただいまの決議に対し、石田労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。石田労働大臣。

 

○国務大臣(石田博英君) 政府提出の港湾労働法案を満場一致で御可決願いまして、まことにありがとうございました。政府といたしましては、審議の過程に生じました各委員の御議論を十分尊重いたしまして、この法の目ざしますところの成果をあげるように努力をいたす所存でございます。同町に、ただいまやはり全会一致で御決議に相なりました附帯決議につきましては、政府はこれを全面的に尊重いたしまして、その実現のために全力を尽くしたいと存じます。

 

○委員長(藤田藤太郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。

   午後三時四十三分散会

     ―――――・―――――