46-参-社会労働委員会-10号 昭和39年03月05日
昭和三十九年三月五日(木曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 鈴木 強君
理事
亀井 光君
藤田藤太郎君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君 鹿島 俊雄君 紅露 みつ君 佐藤 芳男君
徳永 正利君 丸茂 重貞君 横山 フク君 杉山善太郎君
小平 芳平君 林 塩君
衆議院議員
発 議 者 河野 正君
国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
政府委員
労働大臣官房長 和田 勝美君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業訓練
局長 松永 正男君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
運輸省港湾局参
事官 町田 直君
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本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
(港湾労働に関する件)
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○藤田藤太郎君 じゃ私は、この答申案についての質疑はあったと思うのですけれども、港湾労働者の環境が、だんだん一方においては機械化をしていっている。それから一方においては、経済の変動や、それから輸出入の関係で周期的に変動がある。ですから、特にまあ一番下のほうの手配師の支配といいますか、手配師によって振り回されているというところがあるわけでありますから、そこらあたりの動態は最近どうなっているかということを、ひとつこの際、私聞いておきたいと思うのですが、各主要港の常雇い、それから日雇いその他の動向がどうなっているか。それから港湾荷役もだんだん機械化していっているわけですから、機械化の関係によって、港湾労務者の動向がどうなっているか。特にいままで問題になりましたように、東京、大阪等では、大阪の有名な釜ケ崎ですけれども、いま職安ができたのでありますけれども、何かトラックを……、東京でもよく新聞に載ったのですが、トラックを持ってきて、港湾につれていく。こういうことがよく新聞の話題、問題になっておるわけですが、そういうことを含めて、ひとつ港湾労務者の現状がどうなっているかということをお聞かせをいただきたいと思うのです。
○政府委員(有馬元治君) 手配師の問題は、数年前に非常に神戸等で問題が出たわけですが、その後六大港につきましては、労働公共職業安定所を設置いたしまして、手帳制を採用して労働力の確保をはかっておりますので、表向きには、手配師の積極的な活動はないはずでございますが、実際におきましては、技能の格づけ、あるいは労務者の編成、こういった点で、昔の手配師といわれた方々の特殊技術をいろいろな面で活用しておるというふうなところは実態としてございます。
しかしながら、今度この答申を実現いたしますると、そういった手配師的な仕事というものは成り立たなくなるわけでございまして、そういう点では、今度の答申を実行することによって、名実ともに、手配師的な実態がなくなってくる。もちろん手配師であった方々の港湾作業に対して寄与する職場というものは、また、別にできてくると思いまするが、手配師的な技能は、この答申によって、今後名実ともになくなってくる、こういうふうに考えておりまするが、現状においては、われわれも数字的にはつかんでおりませんが、まあやはり旧来の手配師的な活躍が裏面にあるというふうに私は理解をしております。
その他港湾作業の機械化に伴う労働力の能率あるいは節約の問題、これはちょっと私、いま手元に資料がございませんので、もしできましたら、運輸省のほうからお答えを願えたらと思います。
○説明員(町田直君) 御承知のように、港湾運送事業の中には、船内荷役業、はしけ運送業、沿岸荷役業というのがございまして、そしてそれぞれの業種によりまして、機械化の非常に困難なものと、比較的たやすいものがございます。たとえて申しますと、船内荷役業などは、本船のハッチの中で仕事をいたしますので、何と申しましても機械化が非常に困難でございます。それに比べまして、沿岸の荷役業は、陸上で荷物を積みおろし、または運搬をいたしますので、機械化が比較的容易でございます。で、港湾運送事業者も、私どもも、港湾運送事業の近代化のため、ここ数年来、荷役の機械化につとめてまいりました。特に沿岸につきましては、たとえばトラック・クレーンとか、フォークリフトとか、そういうような機械化は非常に進みまして、ちょっとここに宙に数字を覚えておりませんけれども、数年前に比べますと、二倍くらいの数になっていると思います。また、先ほどもお話が出ましたように、港湾運送事業は、中小企業が多うございまして、したがいまして、金融の面などでも、機械化をするのに非常に困難な事情等もございますので、来年度の予算で、特定船舶整備公団という公団に、船内並びに沿岸の荷役機械の港湾運送事業者と共有方式というものをやることにいたしました。とりあえず、三十九年度は、このための資金として一億円の予算を計上いたしております。そのようなことで機械化が進むに従いまして、徐々に労務の近代化、それから労働力の節約という方向に向かっておると思いますけれども、何と申しましても、事業の性質並びに事業の実態から、なお、機械化をするべき余地は非常に多いのではないかというふうに考えております。
○藤田藤太郎君 労働省で、港湾荷役労働者の常雇い、それから日雇いとか、ここ数年間の実態が資料としてありますか。
○政府委員(有馬元治君) 常用と日雇いの比率の問題ですが、これは資料としてもございますが、三十七年だけの比率を申し上げますと、全国平均では六九.一%が常用労働者で、残りの三〇・九%が日雇い労働者でございます。ただ六大港だけをとってみますと、少し比率が変わりまして、六六・九%が常用労働者で、日雇いが三三・一%ということで、六大港の場合には、平均的にいいまして日雇いの比率が高くなっております。
○藤田藤太郎君 大体、六六とか六九というのは、コンスタントで荷役がつく、あとは日雇いという産業予備軍的な要素で、こういう仕組みになっているのですか。
○政府委員(有馬元治君) これは、御承知のような港湾作業の波動性から、こういった雇用形態が従前とられてきたと思います。また、この比率自体は、過去の実績をずっと比較してみないとわかりませんが、傾向としては、常雇い方式を私どもも運送業者に勧奨しておりますし、比率は、だんだん常雇いのほうが高まってきつつあると思いますが、今度の答申では、御承知のように、常雇い対日雇いの関係は、四分の一という比率を暫定的にといいますか、完全に常雇い方式に持っていくということを理想としながら、当面四分の一の比率で認めていこうという考え方でございますので、現在の三分の一の比率から四分の一に改善をしていくと、これは非常に大きな画期的なやり方ではないかと思います。そういう点でも、いろいろと実施の面で私どもも準備をしなければ、急にはできない問題が、いろいろと含まれておるわけでございます。
○委員長(鈴木強君) それでちょっと私から、二、三お尋ねしたいのですけれども、この答申を見ますと、大体三つに分かれておりまして、港湾労働問題、それから港湾運送事業に関してですね、それから港湾の管理運営の改善についてと、三つのパートになっておりますね。運輸省の町田さん、これはこの答申を受けて、あなたのほうで所要の法律改正なり、抜本的な対策を立てなければならぬものも、この中にはあるのでしょう。この点どうですか。
○説明員(町田直君) 先ほど申しましたように、運輸省だけでやれる分ももちろんごさいますけれども、たとえば港湾労働との関係とか、そういう相互関連した面が非常に多うございますので、各省と十分協議をいたしていかなければならないと思っております。
○委員長(鈴木強君) それで、この答申を見ますと、石井先生以下慎重に審議していただいて、内外の労働事情も検討しというふうに、かなり専門的に研究されて出された答申ですから、これは相当に権威のあるものと理解しなければならぬと思います。
そこで労働大臣がさっきお話のように、労働省としては、特に調査を海外に向けてやりたいと、こういう考え方なんですけれども、いままで、そういうことについて必要があれば、行政上できたことでもあったと思うのですが、そのことは一応おくとしても、杉山委員が言われたように、非常に複雑多岐になっておりますから、各省とも関連があるのですから、それは私は、杉山委員が言われたように、関係閣僚のあるいは懇談会的なものか何かわかりませんが、そういった連絡等もされ、この答申に対して、どう政府は対処するか、それに基づいて外国を、この答申でも、まだいろいろ調査しなければわからぬということになれば、各省とも連絡をして、そういう共同的な各般にわたる答申を受けた海外調査が必要であれば、私はするのが筋じゃないかと思うのですね。そういう点は労働大臣、あれですか。各省とも御相談なすって、ほかのところでは、そういう必要はない、しかし労働省はやるのだ、こういうことになったのか。そういう連絡はとらずに、労働大臣として、労働省ではやる必要がある、こういうふうに判断されるのか、私はその点を伺いたい。
それから、もしあなたが、労働省だけでお考えになったとするならば、杉山委員の御質問にもありましたように、非常に、各省ですね、運輸省とか通産省とか、いろいろあるようですから、そういう省とも連絡をとって、全体の責任ではないでしょうけれども、そういう連係をもって施策をするような方法をお考えになる必要があると思うのですけれども、その点については、いかがでございますか。
○国務大臣(大橋武夫君) 各省でこの答申に基づいて相談をできるだけ早くしなければならぬということは、これは私も、さように考えております。これについては先ほど杉山委員に申し上げたとおりでございます。調査のために海外出張を命じておりますのは、これは労働省としても必要を認めてやったことでございまして、特に労働省といたしましては、外国における港湾労働者の労働者としての社会的地位なり、あるいはまた港湾労働者というものの生活状態なり、そういうことは、また、将来の労働力の吸収の上に非常な参考になるべきことだと、そうしてまた、実際の労働者の生活状態、また労働の状態、賃金の状態、またそれと荷役料金との関係というような労働省的な立場で、これを実施するとせざるにかかわらず、今後の労働行政として必要な勉強を係官にさしておきたい、こういう意味でやったことでございます。
○委員長(鈴木強君) そうしますと、一般的な労働行政も兼ねるような格好にも聞こえるのですけれども、それもいいと思います。私は、だから必要な視察をして、よりよい方法を見出すということは賛成ですから、それが必要であれば、一カ月でも二カ月でも、これはいいと思うのです。大いに先進国の、そういう情勢を調べてもらってけっこうですけれども、問題は、この答申を受けての立場の中で出ております労働大臣の考え方はわかりましたから、なお全体に、この答申を受けて実施する場合に、必要な各省との連絡が必要だといっているわけですから、そういうものも十分していただいて、必要があれば、各省とも一緒に歩調を合わせて、この港湾の問題を中心にして視察もされる、こういうふうな方法にしたら、なお効果があると私は思うのですが、そういうふうなことは当然やってもらえるのでございましょうね。
○国務大臣(大橋武夫君) 私どものほうは、係官の勉強をさせるという意味でございまして、各省がまた、実施についていろいろ協議の上、一緒に視察する必要があれば、その問題はまた別途に各省と、そのときには相談をしたらよかろうと、こう思っております。各省と一緒に、ぜひ視察させなくちゃいかぬとはいま思ってはおりません。しかし必要があれば、そういうことも考えていいと思っております。