追加措置としての緊急野宿者対策実施さる
臨時生活ケアセンター(2泊3日・855人分)
受付・入所依頼―釜ヶ崎反失業連絡会、受入宿泊施設―自彊館三徳寮・費用負担―大阪市民生局の体制で8月17日〜9月30日の間。
右下の現金求人推移で明らかなように、釜ヶ崎の求人は昨年度を下回る低水準で推移している。7月の時点で、そのことは明らかであった。にもかかわらず、「センター夜間利用」は7月一杯で打ち切られ、野宿者の安心して寝られる空間がなくなった。
そこで、釜ヶ崎反失業連絡会は、新たな対策を求めて大阪市庁周辺で8月の第一週に1週間の泊まり込み要求活動を行った。
要求を受けた大阪市民生局は、野宿者の状況を理解し、状況の幾ばくかでもの緩和のために努力して、「臨時生活ケアセンター」の開設を打ち出した。
「臨時生活ケアセンター」は自彊館三徳寮の「娯楽室」(通常は入寮者以外の地域の労働者に開放されている)とそのほかの一部屋にベッド(計45床)を設置し、2泊3日・三食付き・衣類日用品・現金1日250円支給の内容である(写真は娯楽室を利用した部屋)。
受付は、あらかじめ釜ヶ崎反失業連絡会が配布した整理券の番号順に行われた。第1回目の整理券の配布は8月16日、午後1時から医療センター前で行われた。この日は、定員枠855名分の正規の整理券と、補欠整理券33枚が配布された。2回目の整理券配布は9月17日に行われ、補欠整理券350枚が配布された。
入所の受付は8月17日の第1回から9月28日の19回まで、毎週月・水・金の午後1時からから医療センター前で行われた。
1.利用状況
定員数は1回45名総数855名であったが、反失連受付終了後、三徳寮の受付けに間に合わなかったものが2名あり、実際の利用者は853名となった。
2.年齢構成
利用者853名の内訳は、1回のみ利用が619名、2回利用が114名、3回利用は2名であった。よって実利用人員は735名であった。
反失連受付け実人員737名の年齢構成は以下の通り。
平均年齢〜55.2歳、中央値〜57歳、最頻値〜60歳、最少年齢〜24歳、最高年齢〜71歳
3.再利用までの期間
7月16日の整理券配布から利用までの最長待機期間期間は32日である(24名が該当)。
9月17日の再配布から利用までの最長待機期間は11日である。
2回以上利用者の再利用までの期間は、平均25.4日、最大38日、最少4日、最頻値30日であった。
10日未満〜9名、20日未満〜21名、30日未満〜39名、30日以上〜49名。
10日未満のものはほとんどが整理券再配布の直前に1度目の利用(30日以上のの待機の後)をしたものである。
4.飛び番状況
整理番号順の紹介で、乗り遅れは無効となった。大きく番号の飛んだ状況は以下の通り。
9月2日〜29名、9月4日〜16名、9月7日〜46名、9月9日〜27名、9月11日〜21名、9月14日〜62名、9月16日〜42名。
番号の飛んだ中には当人から連絡があって、仕事に就けた・出会いの家に入れた・入院した等理由の判明しているものもある。
長期野宿の状態を中断させることは重要であり、もう少し宿泊期間を延ばし、1回当たりの人員を増やして実施されるべきであろう。
野宿者対策の追加措置終了後の対策
釜ヶ崎反失業連絡会は、9月21日、大阪市・大阪府に対し、「臨時追加措置」後の対策を求めて申し入れを行った。
申し入れに対して、大阪府労働部は、財政急迫・財政の再建が最大の急務を理由に何もなし得ないと回答し、もはや大阪府が行政主体としての能力を完全に失ったことを露呈した。また、財政面の急迫それだけではなく、そのことを理由にした府職員の無力感の蔓延をも示した回答とも言える。大阪府職員は現実が突きつける課題を直視し「知恵」を振り絞ろうとする気力すら失っているかのようである。
大阪市民生局も、財政難である、その中で努力し臨時措置を実施した、現在は越年対策の実施に向けて努力しているところで、これ以上臨時措置は取れない、理解していただきたい、との回答であったが、大阪府職員とは違い、いまだ現実が突きつける課題を直視し「知恵」を振り絞ろうとする気力は健全に存在していたようで、やや手間取った感はあるものの、そして、完璧とは言いがたいものの、一定の対策を打ち出した。
雨の多い日が続いた大阪市周辺泊まり込み要求行動の12日目、「皆さんの理解が得られないまま、膠着状態が続くことは望ましくない」と、高齢者清掃の10名増員(来年度予算の前倒し実施)、臨時生活センターの再開、野宿地の提供、乾パンの支給、12月からは越年対策で対応を回答した。
反失連は回答を受け入れ、台風を避けるためもあって17日に撤収作業を行った。
1食約50円の丼が野宿者を支える
郵便振込口座番号「00990−5−000000」
郵便振込口座名「釜ヶ崎反失業連絡会」
市庁舎横での泊まりこみ行動の、炊き出し費用は1日平均9万円(3食、1食600人分)でした。
三角公園での炊き出しは今後も続きます。
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