第2回学習会の報告

1998年3月8日午後2時から5時。ふるさとの家で、高齢者の雇用創出の可能性の検討として「釜ヶ崎の将来・資源のリサイクルと分別収集の可能性を探る」とのテーマで、学習会を開いた。参加者35名。(報告:黒田伊彦)

<司会>反失連が行政に対して「大阪市内の24区にリサイクルセンターを作り、釜ヶ崎の労働者を各100人当て就労させよ」と要求を出している。ドイツでは分別と資源のリサイクルを制度化することで30万人の雇用を創出したという。

大阪市は環境条例でリサイクルを促進するとあるが、現状はどうなっているかを聞き、リサイクル分別収集作業などへの高齢者の雇用創出の可能性を検討してみたい。

大阪市・ごみ処理の現状報告

若菜俊雄

(大阪市職労組・環境事業局支部副支部長)

今日は労働組合とか行政とかを離れて個人の立場で、私が知っている範囲内で、ごみの処理についての理解を深めるために、お話しさせていただくことを、あらかじめおことわりをもうしあげます。

大阪市は

1994(平成6)年10月より、一般ごみと資源ごみ(空き缶・空瓶・なべ釜など金属製の食生活用品)の分別収集を行ってきたが、「容器リサイクル法」の試行にともない、199710月より資源ごみにペットボトルを加えて収集し、鶴見リサイクル選別センターに搬入して、瓶とカンは手で分け、スチール缶とアルミ缶は磁石で分けている。

従来

,大阪市は分別収集せず、1963年に焼却炉を導入し、計画的に焼却炉と処分地を整備して、焼却灰と燃えないごみを最終処分地として埋立地の造成を行ってきた。

広島などは最終処分地の確保が出来なかったので、早くから分別収集し、資源の再利用を図ってごみの減量化に取り組んだ。

大阪市の場合、細かく分別すると分別した物の種類毎に回収車を走らせなければならないので、一括してひとつの袋に入れ、回収した後鶴見のリサイクルセンターで分別作業を行っている。

だが、

2000年からは@瓶は白・茶・その他に。Aスチール缶とアルミ缶、B紙パック、Cペットボトルの4種類に、家庭から出すとき選別してもらい、回収することになる。

事業所系のごみの収集は民間業者が行っているが、

386業者の大半が車一台で家族労働であるため、分別収集に対応することは困難である。

鶴見リサイクル選別センターは

60歳〜65歳の人16人が、月1415万円で働いている。労働組合として定年退職後から年金受給までの間の雇用確保に迫られている。

「障害」者団体からも参入の申し入れがあるが、

1時間1万本をオートで選別可能という機械も出来ており、雇用創出は多く望めない。

釜ヶ崎の高齢者の雇用は「夢物語」といわざるを得ない現状である。

<意見・質問>

分別収集による釜ヶ崎の高齢者の雇用の見通しが暗い状況だ。三角公園で温泉を掘削し、公園に自分たちで木を植え育てるなど、街に愛着を持ち自立した街づくりの意識形成が必要だ。アルコール依存症も、農耕し、野菜をつくり、鶏を飼い、自立した生活の中で治る。そういった活力をつける拠点が必要だ。

分別収集実施のために、市民への「しつけ」が必要というが、共働きの忙しい家庭や単身労働者の買い食い生活では、全てのごみを一緒くたにして出さざるを得ない現状を直視する必要がある。一般家庭の狭い家・玄関では、幾種類もの分別用の袋を置いておけるものではない。各地区に回収所を設け、毎日そこに出せるようにすれば良い。

中間回収センターをつくるとコストがかかるので無理だろう。

<司会>高齢者の就労確保の一つの方策として、再生資源の分別作業に注目し、現在の状況を知ろうということであったのですが、あまり期待できそうにないというのが現状だということです。しかし、大阪市の分別収集はこれから本格化し、その具体的な実施方法についてはいまだ確定した策はないということなので、更に学習会を積み重ねて、可能性を追及していくことが必要だろうと思います。


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