第1回学習会報告
釜ヶ崎の課題とは何であり、
解決に向けてどういうことがなされなければならないか
10月19日(日)午後2時から、ふるさとの家で「釜ヶ崎の課題とは何であり、解決に向けてどういうことがなされなければならないか」を考える学習会が開かれた。当日は釜ヶ崎の内外から多くの人が参加して、ふるさとの家の2階集会室は一杯になった。
まず大阪市大の福原宏幸さんが「大阪釜ヶ崎における日雇労働者と野宿者」というタイトルで報告を行なった。
福原さんは96年の9月に実施した釜ヶ崎の日雇労働者と野宿者への労働・生活実態調査をふまえて
釜ヶ崎労働者・野宿者の歴史的位置と
現在の概観について述べた。
1。においては、これまでいわれてきたことー日雇労働者の就労業種の建設業への特化、釜ヶ崎の男子単身者化、高齢化ーが、あらためて統計数値によって確認された。
2.では、日雇労働者・野宿者を、就労日数と居住形態から3つの類型(右図)に分けたうえで、それぞれの類型の特徴が述べられた。
次に神戸学院大の三輪嘉男さんが「大都市における日雇労働・スラムの変容と住環境整備」について報告を行なった。
三輪さんは、
大正期から戦後の高度成長開始前あたりまでの、スラムとドヤ地区および被差別部落の変容についてふれた後、
高度成長期以後の釜ヶ崎の住環境の変化について述べた。
最後に大阪市大の玉井金五さんが「あいりん地区の雇用問題対策について」と題して報告を行なった。
玉井さんは、まず
第1次世界大戦後から高度成長期頃までの日雇労働概念の変遷と、とりわけ高度成長期における寄せ場での日雇労働システムの構築についてふれた後で、
今日的状況の特徴として、従来のストック型雇用(終身雇用)の位置づけがバート・アルバイト・派遣などのフロー型雇用の増大によってゆらぎつつあることを指摘し、釜ヶ崎の労働者の雇用対策においても従来のような常傭化に力点を置くのではなく、日雇というフロー型のままで職域を拡大していくような戦略が必要ではないかと述べた。
3つの報告の後、活発な質疑応答があった。
いまそのなかで一つだけあげれば、玉井さんの報告に関して、「フロー型雇用の増大は認めるとしても、だからといってパートやアルバイト、派遣などの労働者と釜ヶ崎などの寄せ場の労働者とを同列に論じていいのか、両者にはさまざまな点で大きな違いがあるのではないか」という意見が出された。
それに対して玉井さんは「同列に論じることには無理があるとしても、しかしアルバイトなどのフロー型が現実に釜ヶ崎労働者の仕事を奪いつつある以上、建設以外の領域にもあらたな仕事を見い出していく必要があるのではないか」と応じた。
時間の関係でこれ以上深められなかったが、報告者も参加者の多くも共通して、寄せ場が日雇労働市場としての機能を縮小させられていっている現状に対して何らかの対応を迫られていると考えていることは確認された。
そうであるならなお一層、玉井さんの提起をめぐって今後議論を積み重ねていくことが必要ではないだろうか一そんなことを一参加者として考えた。(なお3人の報告は多岐に渡っていて、ここでふれたのはほんの一部にすぎないことをお断わりします。)
↓(参考)
11月だというのに、回復どころか落ち込んだ。